チェルノブイリ_(テレビドラマ)
[Wikipedia|▼Menu]

チェルノブイリ ーCHERNOBYLー
Chernobyl
ジャンル
歴史ドラマ災害
脚本クレイグ・メイジン
監督ヨハン・レンク
出演者ジャレッド・ハリス
ステラン・スカルスガルド
エミリー・ワトソン
音楽ヒドゥル・グドナドッティル
言語英語
製作
製作総指揮クレイグ・メイジン
キャロリン・ストラウス
ジェーン・フェザーストーン
制作HBO & Sky UK

放送
放送国・地域 アメリカ合衆国
イギリス
日本
放送期間2019年5月6日?2019年6月3日
放送分60-72分
回数5
公式ウェブサイト
テンプレートを表示

『チェルノブイリ ーCHERNOBYLー』(原題: Chernobyl)は、2019年より公開されたHBOSky UK制作によるアメリカ合衆国イギリス連続ドラマ。クレイグ・メイジン(英語版)脚本ヨハン・レンク監督チェルノブイリ原子力発電所事故を描いたノンフィクション作品である。全5話からなるミニシリーズ5月6日から6月3日まで両にて放送されたテレビドラマ

冷戦下の1986年、当時のソビエト連邦の構成国の一つであるウクライナ・ソビエト社会主義共和国(現:ウクライナ)において発生したチェルノブイリ原子力発電所事故の際、事態を隠ぺいしようとする連邦政府の対応や、事故がもたらした人々への影響、被害の拡大を少しでも抑えようと奔走した人々の苦闘を描く。主にイギリス人俳優がソビエト人を英語で演じる。

第71回エミー賞リミテッドシリーズ部門作品賞、監督賞、脚本賞受賞。主演男優賞(ジャレッド・ハリス)、助演女優賞(エミリー・ワトソン)、助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)ノミネートなど高い評価を受けた。

第77回ゴールデングローブ賞テレビドラマ部門では作品賞と助演男優賞(ステラン・スカルスガルド)受賞。
あらすじ「チェルノブイリ原子力発電所事故」も参照
第1話「1時23分45秒」

1988年4月、モスクワでKGBの監視下にあった51歳の科学者が、ある告発の録音テープを秘密の場所に隠した後、自宅で首吊り自殺する。彼は、チェルノブイリ原発事故の調査と収束を指揮した人物である。

1986年4月26日未明、つわりで目覚めたワシリー・イグナテンコ消防士の妻のリュドミラは、地響きと共に爆発音を聞く。遠方のチェルノブイリ原子力発電所が建屋から上がる炎と青白い光束で夜空を照らす、異様な光景が窓越しに見える。ほどなく、建屋に発生した火災を消火するための出動命令が下される。消防士たちは化学事故の発生を疑う。一方、発電所の制御室では、咄嗟に何が起きたのか、誰も分からない。責任者のディアトロフ副技師長は、タービンホールから出火という報告を受けて、非常用タンクが爆発したのだと思い込んで、原子炉の爆発の可能性を疑わなくなる。制御棒を炉心に挿入するため、自ら予備室に出向くが、その途中、衝撃波で割れた窓から、炉心で減速材として使うグラファイト(黒鉛)片が地上に散乱しているのを見ても、認識が変わらない。死の灰が飛び散る中、放射線焼けを負う部下たちが次々と最悪の事態を予感し始める一方で、炉心への注水操作の必要に心を奪われてしまう。現場に到着した消防士たちは口々に「金属の味がする」とつぶやき、間もなく、通常の火災にはない、異様な雰囲気を感じ取る。グラファイト片をつかんだ消防士の手は、放射線焼けでボロボロになる。

連絡を受けたブリュハーノフ所長とフォーミン技師長が到着するが、非常用タンクの爆発と建屋の火災というディアトロフの話を鵜呑みにする。同じ頃、原発から離れた橋で花火を見物するかのごとく火災を見守る老若男女の上に、死の灰が粉雪のように降り注ぎ始める。爆発の際、命じられるがまま制御棒を操作していたアキーモフ副技師長とトプトゥーノフは、爆発により既に炉心が無くなっていることを知りつつ、自責の念から、手動注水操作を行うために炉心近くの注水バルブに赴く。黙々と作業する2人の身体は次第に放射線焼けに覆われていく。プリピチャチ市執行委員会は、パニックを防ぐため、情報を統制し、市民の避難を禁止するという政治決定を下す。その間、高性能な線量計での測定も行われるが、非常用タンクの爆発説が信じられているので、誰も測定結果を信じない。遂には、ディアトロフ自ら屋上から見下ろして炉心の無事を確認すると言い出すが、放射線障害で嘔吐し、それに至らない。兵士2人によって運び出された彼の目には、原子炉から立ち上るまがまがしい黒煙や、被曝して救急車で運ばれる消防士たちの姿が遂に目に入る。嫌がるシトニコフは強要されて、屋上から燃え盛る炉心を見下ろすことになる。その顔も見る間に放射線焼けに覆われていく。

その頃、クルチャトフ原子力研究所の第1副所長であるヴァレリー・レガソフ博士の下へ、閣僚会議副議長兼エネルギー部門担当のシチェルビナを名乗る人物から、RBMK原子炉の専門家としての事故処理のための政府委員会への出席を求める電話が掛かってくる。不用意な発言を慎むよう釘を刺して電話が切られ、伝えられた放射線の数値にレガソフは不安を覚える。

夜が明け、危機的状況を知らされないプリピャチの子供達が通学する歩道に、一羽の鳥が落ちて来て死んだ。火勢の衰えない発電所が吐き出した煤煙が、赤く枯れ始めた森を越えて市街地へと流れて行く。
第2話「現場検証」

地元のプリピャチ病院には、放射性火傷を負った消防士たちが続々と運ばれてくる。核事故の対処法を知らぬ医師も居り適切な処置が行えないばかりか、強い放射能を帯びた防火服を廃棄するために地下室に運ぶ人々の手も放射線火傷で赤くただれる。

レガソフ博士は、ゴルバチョフ書記長も出席する閣僚会議の政府委員会に出る。タンクが爆発しただけであり弱い線量しか観察されないと報告され、知識の乏しい出席者は安堵する。しかしレガソフ博士は、グラファイト(黒鉛)片が散乱している以上、炉心が爆発して剥き出しとなり、放射性物質が放出されて周囲を激しく汚染している筈であり、測定された線量3.6レントゲンは一般的な線量計の測定上限だと指摘する。ゴルバチョフは見知らぬレガソフの場の空気を読まない発言に苛立つが、シチェルビナ副議長とレガソフに現地調査を命ずる。ヘリコプターで現地に急行した2人の目には、黒煙を噴き上げる原子炉、建屋の屋上に散乱するグラファイト片、放射性物質によりイオン化されて青白く光る大気などの光景が次々と目に入る。出迎えたブリュハーノフ所長とフォーミン技師長は炉心爆発を否定し、建屋の屋上に散乱しているのはコンクリート片であると虚勢を張るが、シチェルビナに問い詰められると返答出来ない。

現地に派遣された化学部隊を指揮するピカロフ大将が自ら建屋の近くまで装甲車を走らせ高濃度線量計で放射能を測定したところ、報告とは比較にもならない15,000レントゲンを記録し、原子炉の爆発以外あり得ないと確認する。ブリュハーノフとフォーミンは連行される。火災ではないため放水では消せないと聞いたシチェルビナは、レガソフに言われたとおり、炉心溶融物を封じ込めるための5,000トンのホウ素と砂(ケイ素)の調達に動き出す。ヘリコプターからの投下作業は、1号機が墜落したものの、続く20回の投下に成功する。火災は沈下に向かい、放射性物質の放出は減少し始める。意気込むシチェルビナに、レガソフは、近隣住民の避難が不可避であることと、既に自分たちが5年も生存しない量の被曝をしたことを告げる。諸外国が原発事故を知るところとなって、ようやく近隣住民の避難が開始される。

一方、約300キロ離れたミンスクの職場で異常な量のヨウ素131ウラン235の核分裂生成物)を検知してから独自のルートで情報収集して事故の発生と規模を掴んだ白ロシア原子力研究所のウラナ・ホミュック博士は、直ちにチェルノブイリに急行する。シチェルビナとレガソフに、消防車の放水に由来する汚染水で溢れる地下貯水槽に炉心溶融物が流れ込み、核爆発に匹敵する規模の水蒸気爆発が発生するまで2日もないと告げる。ヨーロッパ全土の核汚染につながる大惨事を回避するには、建屋の内部構造に詳しい技師3名が炉心直下の地下タンクに入り、仕切弁を手動操作して排水しなければならない。被曝死が避けられない作業だが、シチェルビナの言葉に意気に感じた3人(アナネンコ、ベスパロフ、バラノフ)が名乗りを上げる。防護を施したウェットスーツに身をつつんで地下貯水槽に入り込むが、線量計ががなり立てる中、放射能の影響で懐中電灯が次々と消えていき、漆黒の闇の中に取り残される。
第3話「KGB」

地下貯水槽に入り込んだ3人は手動電源で懐中電灯の光を回復させながら進むと排水操作に成功し、しかも、奇跡的な生還を果たす。火災は鎮火に向かい、ヨウ素131セシウム137の放出量は減少していったが、炉心の温度が上昇し、核燃料の被覆管に使うジルコニウム95が検出されて、遂にメルトダウンが始まる。

炉心溶融物が最下部のコンクリート床を突き抜けると、地下水と接触し、ドニエプル川に沿って、キエフから黒海までが核汚染される。電話で報告を受けたゴルバチョフは、事故により権力基盤が揺らぎ始めたことを感じて不機嫌となり、避難区域の拡大を求めるレガソフを全く相手にしないで電話を切る。憤るレガソフをシチェルビナは半ば強引に散歩に誘い出す。シチェルビナは技師や消防士など重度の被曝者の末路をたずねる。彼らは潜伏期間を経て皮膚に水疱が浮かんで黒ずむなど容態が急変、細胞組織が損傷し、骨髄が破壊されて免疫不全となり、臓器や軟組織の腐敗が進み、血管が破壊されて出血などした末に、モルヒネも効かない激痛に襲われて落命することになる。それを聞いたシチェルビナは、「ガンや再生不良性貧血で死ねる我々は幸せ」と冗談を飛ばす。空気が和んだところで、自分たちには常時、尾行がついていることを示し、室内での会話も全て盗聴されていることを伝える。

レガソフがホテルに戻ると、ウラナ・ホミュックがまんじりともせずに事故の原因を検討している。原子炉の爆発という、理屈の上では起こり得ない事故の原因は、当直だった技師たちから事情聴取しないと分からない。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:65 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef