チェダー
原料牛乳
原産国 イングランド
原産地サマセット州チェダー
形状四角もしくは円盤状
熟成3 - 60ヶ月までまちまち
呼称統制West Country Farmhouse Cheddar
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チェダーチーズ (cheddar) は、牛乳を原料とするセミハードタイプのチーズ。マイルドでさわやかな酸味、熟成が進むとコクが増す[1]。元来はイングランドのサマセット州チェダーで作られていたが、今では世界中で生産され、ゴーダチーズと並びプロセスチーズの主な原料となっている。 チェダリングという特徴的な工程を持つ。
特徴と種類
生産方法による分類サマセットで開かれた見本市に並べられたチェダーチーズ
チェダー・スタイルのチーズは、現在イギリスに限らずアメリカやオーストラリアなど世界中で生産されている。あまりに多くの地域で生産されているために、同じ「チェダーチーズ」と称していても、低脂肪のものから高脂肪のものまでバリエーションも様々である。
「チェダー」と呼ばれるチーズは、生産方法によって大きく二つに分けられる。すなわち、伝統的なチーズ職人が手がけるアルチザナル・チーズ(artisanal cheese、職人チーズ)と、安価に大量生産することを可能にしたインダストリアル・チーズ(industrial cheese、工業チーズ)である。アルチザナル・チーズは、時とともに複雑で強い味わいを深めていく。現在生産される「チェダー」の大半を占めるインダストリアル・チーズは、幾分かは食品添加物による味の強調もなされるが、「マイルド」「ストロング」「オールド」などと包装に記される味わいを保証している。本項ではおもに、アルチザナル・チーズの特徴と種類を述べる。 チェダーチーズの生産方法と品質を確立し、「チェダーチーズの父」と呼ばれた酪農家ジョセフ・ハーディング (Joseph Harding
質感と味
チェダーチーズは、はっきりとした刺激の強い味を持つ。6ヶ月以上の長期熟成が行われ乳酸カルシウム (Calcium lactate
) の大きな結晶を含む、伝統的な製法でつくられるチーズの質感は堅いが、農家の自家製チーズなどでは構造が脆いものもある。15ヶ月以上かけて熟成されたチーズは、ストロング・チェダー(strong Cheddar)、エクストラ・マチュア・チェダー(extra-mature Cheddar、超熟成チェダー)といい、ヴィンテージとも呼ばれる。
色と形ロンドンのバラマーケットで売られていたチェダーチーズ
チェダーチーズは、本来淡い黄色(オフホワイト)をしているが、オレンジ色に着色されることもある。着色にはアナトー色素が使われることが多い。一般に着色されたものをレッド・チェダー、着色されていないものをホワイト・チェダーと呼んで区別する。また、アメリカではホワイト・チェダーをバーモント・チェダーと呼ぶこともある。
チーズへの着色は古くから行われていたが、なぜ着色をするのか、1860年頃にはすでにその理由は分からなくなっていた[要出典]。ジョセフ・ハーディングは1860年の雑誌において「純粋なものよりまぜものを好むロンドンの消費者はチーズ生産者にアナトーによる着色を強いているが、私はアナトーに関する一つの改良点を発表しなければならない。(中略)それは、今や固体ではなく液状のアナトーが手に入り、削り取る必要がなくなったことだ。」と記している[3]。
現在生産されるチェダーのほとんどは工場で生産されて四角く成型されているが、ごく少数、農家で生産されているものがあり、こちらは円盤状をしている。
かつては汚れを防ぎ、なおかつチーズが「呼吸」できるよう、表面に黒いワックスが塗られたり、タールを塗った黒い布で包まれたりして流通していた。現在、こうした包装は、職人によるチーズの一部にのみ見られる。
原産地名称保護4州
「チェダーチーズ」はあまりにも広く使われているため、原産地名称保護制度(POD)の対象とはなっていない。しかし、欧州委員会はウェスト・カントリー・ファームハウス・チェダーチーズ(West Country Farmhouse Cheddar)をPODの対象としている。これは地元の材料・伝統的な製法基準を満たしているチェダーチーズにのみ許される名称で、生産地はサマセット・デヴォン・ドーセット・コーンウォールの4州に限定されている。
ただし、実際に「ウェスト・カントリー・ファームハウス・チェダーチーズ」と認証されるチーズを生産しているのは、チェダーに本拠を置くThe Cheddar Gorge Cheese Co.一社のみである。 チェダーチーズは少なくとも1170年には生産されていた。この年以降のヘンリー2世のパイプ・ロール(財務府記録)に、このチーズの生産と課税の記録が残っているためである[4]。一説に、このチーズの製法は、ローマ人がフランスから持ち込んだものともいう[5]。伝統的にチェダーチーズは、ウェルズの大聖堂 (Wells Cathedral 19世紀には、チェダーチーズ生産の近代化・標準化が進められた。その中心人物がジョセフ・ハーディング (Joseph Harding
歴史
発祥
近代化