チェスターヴェース（Chester Vase）はイギリスのチェスター競馬場で行われる競馬の競走。英ダービーの前哨戦として知られる。2013年の格付はG3。

チェスターヴェース
Chester Vase
開催国イギリス
競馬場チェスター競馬場
創設1907年
2017年の情報
距離芝左回り1マイル4ハロン63ヤード
（約2472メートル）
格付けG3[1]
賞金賞金総額58,000ポンド[1]
出走条件3歳牡馬・?馬
負担重量8ストーン12ポンド
（約56.2kg）
※7ハロン以上のG1･G2戦の優勝馬には4ポンド（約1.8Kg）を加増。
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概要

チェスター競馬場は、イギリス北部で最も人気がある競馬場の一つとされ、チェスターヴェース（Chester Vase、もしくはChester Vase Stakes）はその開幕週の目玉競走である。ダービーの約1ヶ月前に開催され、距離もダービーとほぼ同じ距離で行われることから、ダービーの前哨戦として定着している[2]。

近年では2013年のルーラーオブザワールドがチェスターヴェースを勝ってダービーを制しているほか、1990年にはチェスターヴェース2着のクエストフォーフェイム（Quest for Fame）がダービーに勝った。
レース名について

日本では、チェスターヴェースの「ヴェース」（Vase、花瓶の意味）を「ヴァーズ」と表記することもある。「Vase」という語はアメリカ風に発音すると「ve?s」（ヴェイス、ヴェース）だが、イギリス風には「v??z」（ヴァーズ）と発音する。チェスターヴェースはイギリスの競走であるので、「チェスターヴァーズ」と表記するほうが、より原語に即している表記ともいえる。

しかし本項では、日本語では一般的にvaseの発音は「ヴェース」のように表記すること、「チェスターヴェース」と表記する出典が複数あることから、「チェスターヴェース」表記で統一する。しかし「チェスターヴァーズ」という表記にも充分な妥当性がある。

「チェスターヴェース」表記の日本語文献

『日本の種牡馬録5』白井透・著、サラブレッド血統センター・刊、1987、p24

『最新名馬の血統 種牡馬系統のすべて』山野浩一著、明文社刊、1970、1982、p318

『新・世界の名馬』原田俊治・著、サラブレッド血統センター・刊、1993、p437

『サラブレッド種牡馬銘鑑』第4巻、日本中央競馬会・刊、1977、p384


歴史

チェスターヴェースは1907年に創設された。優勝馬の馬主には、賞金とは別に100ソブリン相当の花瓶（Vase）が贈呈されたことからこの競走名がある[注 1]。

創設時には3歳馬と4歳馬が出走可能で、1マイル5ハロン75ヤード（約2684メートル）で行われた。1着は同着となり、賞金は折半され、花瓶はSancyの馬主が受け取った[3]。

1959年に3歳限定となり、距離は1マイル4ハロン53ヤード（約2462メートル）に短縮された。

1970年からはわずかに距離が伸び、1マイル4ハロン66ヤード（約2474メートル）となった。

2017年からは1マイル4ハロン63ヤード（約2472メートル）で施行されている。

現在はチェスター競馬場の開幕開催「メイ・フェスティバル（May Festival）」で行われる[4]。
チェスター競馬場

チェスター競馬場は、イングランド北西部のチェシャー州の州都チェスターにある。公式記録によると、現在も競馬が開催されているものとしてはイギリス最古の競馬場で、発祥は1539年まで遡る。一周は1マイル1ハロン（約1800メートル）で、重要な競走が行われる競馬場としては最小でもある[5]。
記録
歴代勝馬

＊印は日本輸入馬。国際競走出走などによる一時的な入国も含む。

施行年優勝馬備考
1907Earlston / Sancyデッドヒートによる同着。
1908Galvani
1909St Ninian
1910Bayardo
1911Maaz
1912Lycaon
1913Cylba
1914Dan Russel
1915Esplandian
1916
1917
1918
1919Air Raid
1920Buchan
1921
1922Fodder
1923Papyrusダービー優勝
1924Inkerman
1925Vermilion Pencil
1926Swift and Sure
1927Lone Knight
1928Hectare
1929En Garde
1930Pinxit
1931Sandwich
1932Bulandshar
1933Hyperionダービー優勝
1934Windsor Ladダービー優勝
1935Valerius
1936Taj Akbar
1937Merry Mathew
1938Cave Man
1939Heliopolis
1940
1941
1942
1943
1944
1945
1946Sky High
1947Edward Tudor
1948Valognes
1949Swallow Tail
1950Castle Rock
1951Supreme Court
1952Summer Rain
1953Empire Honey
1954Blue Rod
1955Daemon
1956Articulate
1957King Babar
1958Alcide
1959＊フィダルゴ
1960Mr Higgins
1961Sovrango
1962Silver Cloud
1963Christmas Island
1964＊インディアナ
1965Gulf Pearl
1966General Gordon
1967Great Host
1968＊リマンド
1969洪水被害のため中止[6]
1970Politico
1971Linden Tree
1972Ormindo
1973Proverb
1974Jupiter Pluvius
1975Shantallah
1976Old Bill
1977Hot Grove
1978Icelandic
1979Cracaval
1980Henbitダービー優勝
1981Shergarダービー優勝
1982Super Sunrise
1983
1984Kaytu
1985Law Society
1986Nomrood
1987Dry Dock
1988Unfuwain
1989＊オールドヴィック
1990＊ベルメッツ
1991Toulon
1992Twist and Turn
1993Armiger
1994Broadway Flyer
1995Luso
1996High Baroque
1997Panama City
1998Gulland
1999Peshtigo
2000Millenary
2001Mr Combustible
2002Fight Your Corner
2003Dutch Gold
2004Red Lancer
2005Hattan
2006＊ペイパルブル
2007Soldier of Fortune
2008Doctor Fremantle
2009Golden Sword
2010Ted Spread
2011Treasure Beach
2012Mickdaam
2013Ruler of the Worldダービー優勝
2014[7]Orchestra
2015[8]Hans Holbein
2016[9]US Army Ranger
2017[10]Venice Beach
2018[11]Young Rascal
2019[12]Sir Dragonet
2021[13]Youth Spirit
2022[14]Changingoftheguard
2023[15]Arrest
2024[16]Hidden Law

脚注
注釈^ かつては賞金のかわりに賞品が出る競走は数多くあり、美術品や名馬のたてがみ、鞭などが賞品になった。日本でも天皇賞のルーツとされる帝室御賞典では長い間、1着馬には賞金はなく、皇室からの下賜品だけが唯一の賞品として行われていた。明治時代には皇室から下賜される花瓶が賞品の「Mikado's Vase」という競走もあった。

出典^ a b ⇒2014 International Cataloguing Standards Book2014年12月25日閲覧。
^ The highlight of the opening day's programme at Chester - one of the most popular courses in the North - is the Chester Vase.The Glasgow Herald紙 1959年5月5日付2013年10月28日閲覧“”
^ The Glasgow Herald紙 1907年5月8日号2013年10月28日閲覧。
^ ⇒The Chester Vase Derby Trial2013年10月28日閲覧。