オカダンゴムシ
Armadillidium vulgare
オカダンゴムシ Armadillidium vulgare
分類
ダンゴムシ(団子虫、英: woodlouse, pl. woodlice)とは、ワラジムシ目(等脚目)の動物のうち、陸生で刺激を受けると体を丸める(団子のような体勢になる)習性を持つものを指す。一般に「ダンゴムシ」と呼ばれるものはオカダンゴムシである[1]。
広範囲の土壌に生息して分解者の役割を担い、土壌形成上、一定の役割を果たしているものと考えられており、食性と生態から自然界の分解者という要素が強い。
分類
オカダンゴムシ科 Armadillidiidae
オカダンゴムシ属 Armadillidium
オカダンゴムシ A. vulgare
ハナダカダンゴムシ A. nasatum
ハマダンゴムシ科 Takano
ハマダンゴムシ属 Takagi
ハマダンゴムシ T. Granulatus
コシビロダンゴムシ科 Armadillidae
タマコシビロダンゴムシ属 Spherillo
コブコシビロダンゴムシ属 Hybodillo
ネッタイコシビロダンゴムシ属 Cubaris
日本においては明治期以降に国内に移入したとされているオカダンゴムシ科のオカダンゴムシやハナダカダンゴムシが森林、市街地などの広い範囲で見られ、森林など、多くの場合人為的撹乱の少ない場所では、総じてオカダンゴムシ属に比べやや小型のコシビロダンゴムシ科に属する種類がみられる。国内においてはコシビロダンゴムシ科はほとんどの場合一定以上の規模をもつ自然度の高い植生に見られるのに対しオカダンゴムシ科が人為的影響の強い場所に多く見られるという違いがあるが、これはコシビロダンゴムシ科が含水率が高くA?層の厚い環境を好みオカダンゴムシ科が含水率が低く土壌pHの高い環境を好むという違いからであり、後者に関しては原産地である地中海沿岸に近い場所を選択している可能性が示唆されている。[2]また、海岸線、特に砂浜ではやや大型のハマダンゴムシ科に属するハマダンゴムシが見られる。
コシビロダンゴムシについては研究が待たれ、種のおおむねの数さえよくわかっていない[3]。現状国内ではコシビロダンゴムシ科から3属34種類が報告されているが、近年ではシノニムが報告され[4]、またその一方で未記載種と考えられる国内採集のコシビロダンゴムシが多く知られている[5]。全般的に暗所や夜の方が活動が活発である。 落ち葉を食べて、微生物が分解しやすい状態にするダンゴムシは土壌を豊かにする[6]。しかし、落ち葉以外にも農作物の葉や茎(特に新芽)も食べたり、不快害虫としての側面も持ち、駆除[7]の薬剤も販売されている。 漢方では中: 鼠婦(そふ)と呼び、乾燥させた全虫が用いられる。利尿作用・排尿困難・尿量減少に効能があるとされる[8][9]。 コンクリートや踏み固められた粘土質の土など固い地面の上に置くと、少し息を吹きかけただけで丸まりよく転がるため、子供のおもちゃ替わりにされてきた[10]。踏みつけると子供の体重でも潰れるが、柔らかい土の上で丸まっていれば潰されないだけの硬さを持つ。森の生態系の理解に役立つ教材として小中学校の教科で用いられる[注 1]。 アリと同様、ダンゴムシが地上に大量に這い出してきたときは地震が起きるという宏観異常現象が、伝承的あるいは迷信的に言われている[要検証 – ノート]。
人間との関係
脚注
注^ 平成28年度の小中学校教科書に掲載。これまでの教材研究には理科の生態観察[11]、生活科の教材[12]、あるいはダンゴムシとワラジムシの対照[13]に使われる。
出典^ <7552300>寺田美奈子「鎧を着た愛嬌者 オカダンゴムシ」科学博物館後援会(編)『季刊自然科学と博物館』第40巻第4号、科学博物館後援会、1973年12月、pp.185-188。近代デジタルライブラリー、ファイル番号0015.jp2。
^ [栗田あとり, 原田洋(2011)都市域におけるオカダンゴムシ科とコシビロダンゴムシ科の分布特性]
^ 青木 2015, pp. 1030?1065「コシビロダンゴムシ → アガタコシビロダンゴムシ(pp.1034, 1050, 1064)、イシイコブコシビロダンゴムシ(pp.1030, 1049, 1063)、イシダコシビロダンゴムシ(pp.1033, 1051, 1065)」