ダンケルク級戦艦
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ダンケルク級戦艦

艦級概観
艦種戦艦
艦名都市名
前級ノルマンディー級戦艦
or リヨン級戦艦
次級リシュリュー級戦艦[注釈 1]
性能諸元 (括弧内はストラスブール)
排水量基準:26,500トン(27,300トン)
常備:30,264トン(31,687トン)
満載:34,884トン(36,380トン)
全長215.14 m(215.5m)
水線長209 m
全幅31.1 m
吃水基準:9.63 m(9.82m)
満載:10.15 m
機関インドル式重油専焼缶6基
+ラテュ式ギヤード・タービン
4基4軸推進
最大
出力通常時:130,000 hp
公試時:133,730 hp
最大
速力通常時:30.0ノット
公試時:31.5ノット
航続
距離10ノット/10,500海里
15ノット/7,500海里
31ノット/3,600海里
燃料重油:3,600トン(常備)
6,500トン(満載)
乗員1,381?1,431名
兵装Model 1931 33 cm(52口径)四連装砲2基
Model 1932 13 cm(45口径)連装速射砲2基
+同四連装速射砲3基
Model 1933 37mm(60口径)連装機関砲10基、
Model 1929 13.2 mm(76口径)四連装機銃16基
装甲舷側: 125?225 mm(283 mm)
甲板: 115?140 mm(主甲板)、40 mm(断片防御甲板)
主砲塔: 330 mm(360 mm)(前盾)、250 mm(側盾)、345 mm(355 mm)(後盾)、150 mm(160 mm)(天蓋)
四連装副砲塔: 135 mm(前盾)、80 mm(側盾)
連装副砲塔: 20 mm(前盾)、20 mm(側盾)、20 mm(後盾)、20 mm(天蓋)
主砲バーベット部: 310 mm
航空
兵装ロアール・ニューポール 130水上機3機
カタパルト1基
折り畳み式クレーン1基

ダンケルク級戦艦(ダンケルクきゅうせんかん、Dunkerque class battleship)は[1]フランス海軍戦列艦(Navire de ligne、batiment de ligne)の艦級[2][注釈 1]ドイツ海軍ポケット戦艦に端を発した建艦競争の最中[4][5]ワシントン海軍軍縮条約における代艦建造規定に基づき建造された、いわゆる条約型戦艦 (Treaty battleship) である[注釈 2]
コンセプト本級の武装と装甲を示したイラスト

本級はワシントン軍縮条約の制限内において、攻撃力・防御力・機動力を高い次元でバランスを取った超弩級戦艦である[注釈 3]。デュモン海軍大臣のもとで立案された1931?32年度の海軍拡張計画が承認され、その中に含まれていた[8]。艦型は13インチ砲8門(四連装砲塔2基)2万6000トン級となり[9]、1932年後半に建造が命じられた[注釈 4]。内外にはドイツ共和国海軍 (Reichsmarine) の装甲艦[11][注釈 5]ドイッチュラント級[13](通称“ポケット戦艦”)に対抗するためと喧伝され[14][注釈 6]、ポケット戦艦を圧倒する性能を持っていた[16]。実際には次期主力戦艦への実験艦的意味合いも含まれていたため、旧来の技術に囚われない以下の自由な設計が投入されている。ダンケルクの艦内配置図

主砲・副砲への四連装砲塔の採用による軽量化。

機関のシフト配置による生存性向上、対空電探の採用。

対空・対艦両用砲の採用。

水線下装甲区画への浮力材の充填による対水雷防御等。

これらの工夫により、「装甲区画の短縮による軽量化」により浮いた重量を防御装甲の充実と搭載燃料の増加に成功している。装甲範囲は全長の60%に及び、船体重量の40%を装甲重量に充てられた。表向きは「ポケット戦艦追撃・捜索のため」の長大な航続能力と充分な防御力が必要とされたが、実際は通商破壊任務の性格も含まれた。

また、前級のプロヴァンス級戦艦までの一般的に戦艦と呼ばれる艦種は、フランス海軍の分類によるとcuirasse d'escadreであるのに対し、本級はcuirasse rapideに分類されている。これは本級が新しいドクトリンの産物であることを示している。cuirasse rapide(英訳するとrapid cruiser)は高速戦艦と和訳される言葉と解釈して差し支え無い。他国海軍では、いわゆる高速戦艦は俗称であり、正式な艦種名として採用した例は無いが、本級は唯一の例外と言える。

また、本級はしばしば海軍強国(イギリス海軍日本海軍)から「巡洋戦艦」と評された[注釈 7]。マスメディアでも、大型巡洋艦[18][注釈 3]、装甲巡洋艦[注釈 4]、巡洋戦艦[19][注釈 8]と報道した事例が少なからずある。

実際は、それまでフランスが建造した戦艦としては最大である。ただし米英日各国が建造した新世代戦艦との比較では、ひとまわり小型である[注釈 9][注釈 10]。さらに再軍備宣言後のドイツ海軍 (Kriegsmarine) が本級に対抗してシャルンホルスト級戦艦を建造する[24][注釈 11]。ダンケルク級戦艦に衝撃をうけたイタリア王立海軍 (Regia Marina ) も[26]旧式戦艦高速戦艦化をおこなうと共にリットリオ級戦艦を建造する[27]仮想敵国の新型戦艦の前にダンケルク級(26,500トン級)は優位を失い[28]、フランス海軍も35,000トン級新型戦艦(リシュリュー級戦艦)の建造を承認した[29]


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