ダメおやじ
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ダメおやじ
ジャンル
ギャグ漫画→蘊蓄漫画
漫画:ダメおやじ
作者古谷三敏
出版社曙出版
小学館
掲載誌週刊少年サンデー
発表期間1970年43号 - 1982年30号
巻数全39巻(通算)
全21巻(ABC)
全18巻(SSC)
アニメ
原作古谷三敏
シリーズ構成安藤豊弘
音楽Amp
製作ナック
放送局東京12チャンネル
放送期間1974年4月2日 - 10月9日
話数全26話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『ダメおやじ』は、古谷三敏とファミリー企画による日本のギャグ漫画作品。また、それを原作としたテレビアニメ映画

週刊少年サンデー』(小学館)にて、1970年43号から1982年30号まで連載された。第24回(昭和53年度)小学館漫画賞少年少女部門受賞。
概要

もともとは全8回の短期連載の予定だったが、爆発的な人気を得て、12年にも及ぶ長期連載を果たした経緯を持つ[1]

単行本は曙出版からアケボノコミックスとして全21巻、小学館から少年サンデーコミックスとして全18巻が刊行された。曙出版刊行版の続きが小学館刊行版となっており、両者間に二重収録は無い。社長就任後のいわゆる「マイウェイ編」は小学館刊行版の第4巻以降となる。また双葉社からも双葉文庫として傑作選が刊行されたが、収録作品のほとんどが社長就任後の話であり、この作品を世に広めたいわゆる前編は「地獄のオニババ編」として1巻にまとめられている。上記書籍はいずれも絶版となっているが、現在は電子書籍(地獄のオニババ編全24巻・マイウェイ編全15巻。2017年12月以降はアケボノコミックス版が『元祖ダメおやじ』と改題されたバージョンと小学館刊行版のフルコピーに切り替え)として出版されている。

アケボノコミックスに収録されている漫画は原則としてオリジナルサブタイトルを記載しているが、本作は第3巻までは「第〇悲話」という独特のサブタイトルを記載し、第4巻から通常通りのサブタイトルを記載している。電子書籍版では第3巻までは通算した「第〇悲話」、そして第4巻からアケボノコミックスと同じサブタイトルを記載している。

なお、原作者のクレジット表記は、曙出版版では「古谷三敏 フジオ・プロ」、少年サンデーコミックス版では「古谷三敏 ファミリー企画」となっている。ただしアケボノコミックスの原作者クレジットは古谷のフジオプロ脱退と同時に「古谷三敏 ファミリー企画」とクレジットが変わっている。

また、1974年度[2]にはテレビアニメ化に伴うタイアップで小学館の学年誌に『ダメおやじとタコ坊』のタイトル[3]で連載され、アケボノコミックスにも収録されている。

1999年には『ダメおやじ?平成版?』が「20世紀最大の読み切りシリーズ」の1作として『週刊少年サンデー』に読み切りで掲載された。
赤塚不二夫の関与

連載開始当初は赤塚不二夫のアシスタントと掛け持ちであり、古谷を「アイデア会議」に参加させるためとして赤塚がネームを代筆していた[1]。赤塚は後にエッセイやテレビ(『徹子の部屋』など)でも代筆を公言していたが、それと同時に、同作に人気が出たのは古谷が本格的に描くようになって古谷独特の味が出て以降とも語っている。

なお、赤塚作品を歌でフィーチャリングしたアルバム「赤塚不二夫ソングブック」にも「ダメおやじ」の歌が収録されている。ただし、この歌は赤塚が作詞したもので、テレビアニメの主題歌とは異なる別の作品である。

赤塚作品の中には、ダメおやじがクロスオーバーおよび客演したのが一種ずつある。クロスオーバーは、1970年 - 1971年に『週刊少年サンデー』に連載した『ぶッかれ*ダン』の最終2話に、ダメおやじ一家がダン・アイちゃん・ゲスペタと共演するもの。客演は『週刊ぼくらマガジン』版『天才バカボン』の「BAKA型の輸血なのだ」で、「どうせわたしはダメですよ」と言いながらダメおやじが登場するというもの。また扉のみでは、『レッツラゴン』の扉で、サーフボードに扮したベラマッチャにゴンとおやじが乗っているまねをして、ダメおやじの上にオニババとタコ坊が乗っている。

なお、赤塚は、集英社文庫『人生これでいいのだ!!』の「弟子を育てるコツ」(104-106頁)にて、「女房と子供がオヤジをイジめるなんて作品、ウケるのかな」と悩んでいた古谷に、「やるんだったら徹底的にイビリまくったほうがいいよ」とアドバイスした、ということを明かしている。
時代背景

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出典検索?: "ダメおやじ" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2009年1月)

本作が連載を開始した1970年代には、「父親は一家の大黒柱で、一家の収入を支える」、「母親は家庭に入り、夫を支えて家事や子育てを担う」といった考えがあり、まだ「親父の威厳」が存在していた。本作品では敢えてこれを徹底的に扱き下ろすことで、現実にはありえないダメダメっぷりを描くというギャグが成立していた。ただし、前半においては主人公が受ける暴力は、棍棒や針、熱湯などを情け容赦なく用いた、虐待を超えた壮絶な拷問が多く(現実に行っていたら間違いなく死んでいるような)、また、同時期に残酷ギャグを得意とした赤塚不二夫も本作に関与しており、赤塚ギャグの姉妹的なシュールな作風となった。

しかし連載が続くうちに、女性の社会進出が増えたことにより女性の地位が向上した事で「男女同権」の考えが社会に浸透した事により現実の社会での父親像の権威が落ち始め、小学館単行本4巻以降では、その暖かい人間性から大会社社長に雇われることで内容は大転換する。性格的なダメっぷりは相変わらずだが、人生の機微を扱ったり、アウトドア薀蓄が顔を見せるなど、後の薀蓄漫画の原型とも言える動向も見られた。

作者自身によると、作品の内容が変わったことについては「連載が始まって10年ほど経った時、妻から『まだ描いてたの?』と言われ、10年間全く変わらなかったダメおやじ一家の設定を変えてみようと思った」と発言している。またオイルショック以降、現実が漫画を追い越したような異常事件が次々に起きたことから「社会がぼくの漫画を追い越してしまった。だから、路線変更せざるを得なかった」ともインタビューで告白している[4]

以降社長を休業、放浪、いつしかナンセンスギャグ漫画に戻り、最後に素晴らしい仲間たちと大団円、という良い意味で奇異な漫画として成立した。
あらすじ

ダメおやじこと雨野ダメ助(以降ダメおやじと記す)は、ドジでおバカとまるでいいところがない。会社では無能と蔑まれ、さらには後輩にも追い抜かれ、家に帰れば稼ぎが悪いとオニババこと妻冬子(以降オニババと記す)に虐待され、挙句に息子・タコ坊にまで馬鹿にされる。娘・雪子はオニババと一緒に虐待するか、相手にしないかのどちらかだ。

彼は帰宅するたびに玄関の戸に祈る……「神さま、お願いです。この戸のむこうに平和がありますように!!」と。だが彼が望むのは、家族の安全や幸福ではない。彼自身の安全と安息である。ただ、そのあまりにも哀れな願望は、ひとたび玄関の敷居をまたぐとあっという間に打ち砕かれ、いつものようにオニババ、タコ坊、雪子にいじめられる。食事抜きなど当たり前、殴る蹴るも日課のごとく。だがそれでも、ダメおやじは家族のために働くのを止めようとしない。辞めればどんな酷い虐待が待っているか知れたものではないからだ。

やがてダメ生活から競馬競輪に嵌り、見せしめのため知床に左遷され、原野を放浪した末気が狂い、あれだけ痛めつけてきたオニババも哀れむようになる。その後、ふとした出会いから、大財閥令嬢大和ヒミコにその心の温かさを買われ、人生のパートナーとして大会社ダメおやじ株式会社の社長に抜擢され、一大転機を迎える。

社長就任後は、大和じいさんとアウトドア生活や豆腐作りをしながら、独自路線で会社を掻き回し、ダメ時代とは打って変わって成功の連続に。それも彼の人間性による。途中、猛勤務により良妻となったオニババが「お父さん、そんなに頑張らなくても良いんだから」と後押ししたのがきっかけで3か月の休暇を取り、山小屋を自らの手で建設。家族を呼び寄せる。家族が帰ると、地元のツッパリ青年サダオらが転がり込み、楽しい山小屋生活が続くものの、会社から呼び出しがかかり、社長業に戻るが、ネクタイの締め方が分からず、秘書の大熊に叱咤されてしまう。

その後、左遷される役員の代わりに社長を辞任。おんぼろ会社「大躍進株式会社」の社長となる。それを小躍進させ、何でも屋「(株)おてつだい」を起業。といっても売り上げはわずかだが、そこでは様々なくだらない依頼により「人間」を描く。それを足がかりに「HOTELダメおやじ」を開業。初めてのお客様に嬉しさのあまり過剰な接待をし憤慨させる。

ホテル業が軌道に乗ったころ、ヒミコから「ユートピア」について相談を受ける。人類の幸福について考えを及ばせ、最愛の家族にもわけを話さずに放浪の旅に出る。その後は「奥山村」のある空き家に居つき、迷犬「大左エ門」との奇妙な生活に入る。ここでは「二種類語」として鳥や牛も人語をしゃべりまくる。そして、ここで「祥雲」と名乗る奇妙なマセガキと出会うが、この少年は、実はCIAの調査研究員であった。そんな時、ヒミコから連絡が……。
登場人物

担当声優はテレビアニメ、OVAの順
雨野 ダメ助
声 -
大泉滉(テレビアニメ版、OVA版共通)ダメおやじ。中年男性。エスエス産業株式会社会社勤務。会社ではうだつの上がらぬダメ社員で上司や先輩からは「物」としてしか扱われず、後輩には追い抜かれる等、閑職扱いされているサラリーマン。出っ歯で両鼻から鼻毛が3本出ている。妻である冬子には頭が上がらず、家庭では家族全員に虐待される哀れな父親。家長の尊厳など微塵もない。ひたすら堪え忍び、僅かな望みを糧に生き延びる哀れな男。たとえ遠くに逃げたり、冬子とタコ坊と雪子が捕まったりしても、なんらかの方法で冬子に追い詰められてしまうハメになり、虐待されるのがオチとなる。タコ坊に似ているという理由でタコ坊に代わり小学2年生の試験を受けさせられたが、クラスでビリになり冬子とタコ坊にボコボコにされたこともある(第7話『みがわりテスト』)。その一方、機会があれば、冬子に反撃することもあり、その時は普段と想像もつかないほどのサディスティックな行動に出る。しかし、家族からの叱咤激励の言葉を受ければ、サラリーマンとしての実力を発揮して、仕事で成果を上げる事もある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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