ダビング10
[Wikipedia|▼Menu]

ダビング10(ダビングテン)とは、日本のデジタルテレビ放送の著作権保護のためのコピーガードの一種。ダビ10とも[1]

2008年平成20年)6月2日から、日本の地上デジタルテレビ放送及び衛星デジタルテレビ放送(後述の例外あり)での運用が開始された。総務省の情報通信審議会で提案されたデジタル放送の私的利用に関する運用ルールに対して電子情報技術産業協会(JEITA)が定めた統一呼称である。

なお、デジアナ変換される一部のCATVアナログ波再放送には適用されない。
概要

デジタルテレビ放送をデジタル方式で録画しコピーした場合はアナログ方式に比べて画質の劣化がない。そのためデジタルコピーを際限なく許せば映画などのDVD・BD販売などに影響する事が予想されたため、日本ではデジタルテレビ放送の開始時はコピー・ワンス規定を採用してきた。コピー・ワンスは、放送局が放送しデジタル録画したものをコピーする場合に、ムーブ(Move:移動)を1回のみしかできないルールとなっている。これではムーブに失敗した場合に録画内容が失われてしまうことがある。このコピー・ワンス緩和の暫定措置[2]として、ダビング10の運用ルールが開始された。
ことばの定義

電子情報技術産業協会の発表によると、録画の新ルールの正式の呼称は「コピー9回+ムーブ1回(ダビング10)」で、「ダビング10」の読み方は、「ダビングテン」である。導入時期に次の使用例が推奨されていた[3]

コピー9回+ムーブ1回(ダビング10)

ダビング10(コピー9回+ムーブ1回)

ダビング10

初期にはコピーナインスなる言葉も提案された[4]
予定延期と運用開始

2007年平成19年)12月20日に正式に公表された後、デジタル放送推進協会(Dpa)から地上デジタルテレビ放送では2008年(平成20年)6月2日4時からダビング10に対応した放送が運用される予定と告知されたが延期となり(後述)[5]、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送とも改め2008年7月4日4時から運用開始した。ただし、BSデジタル放送のうち、WOWOWとスター・チャンネルはダビング10を行わない。これは、映画会社等との著作権の取り決めにより放送に制約があるため。同様にCSデジタル放送も有料チャンネルは同様の理由により原則ダビング10は行わないが、報道系チャンネルなど一部有料チャンネルはダビング10を行う[6]
コピー回数の制限による制御

デジタルチューナーを搭載するHDDレコーダーなどハードディスクを内蔵する録画機』や対応パソコン(ダビング10対応チューナーなど)で、ダビング10の地上デジタルテレビジョン・BSデジタル放送(主に無料放送)を内蔵チューナーにより録画した後、DVDBDなどに「9回のコピー」と「1回のムーブ」を可能にする運用ルールである。つまり、これ以外の方法、例えば対応機器でDVDやBDやVHSに放送を直接録画し、あるいはデジタルチューナー搭載家電のアナログ映像出力[注 1]を対応機器などで録画した場合などには、それ以降のコピーは禁止となる(後述)。

コピーワンスもダビング10も「1世代のみコピー可」の制御を行う点では同じだが、「世代」の起点が異なる。コピーワンスは放送が起点となるため、録画機に録画した時点で1世代目のコピーとなっていたが、ダビング10では録画機(HDD)が起点となり、録画機(HDD)に録画した時点では1世代目にはならず、そこから他媒体(DVD、BD、メモリーカード、i.LINK等)へコピーするのが1世代目と言う違いがある。この1世代目コピーの数を9回、ムーブを1回にして、2世代目コピー(孫コピー。DVDからDVD、BDからBD、あるいはHDDへの再ダビングをすること)を禁止したのがダビング10である。

2世代目以降のコピーが禁止となるのはコピーワンスもダビング10も同様であり、コピーワンスの場合、録画機(HDD)から他へのデジタルコピーは不可[注 2][注 3]でムーブのみとなっていたが、ダビング10の場合は録画機(HDD)から他媒体(DVD、BD、メモリーカード、i.LINK等)にコピーしたその先(ダビング10での「1世代目」コピー)において、それ以降のデジタル/アナログコピーが不可となる。

また、コピー回数の制限はデジタルコピー、すなわち「録画機内蔵のDVDやメモリーカードへのコピー」と「i.LINKなどのデジタル接続での他の機器へのコピー」に対して行われ、10回目は自動的にムーブ(移動)されるか、あるいはムーブ以外は不許可になる。また、コピー回数が9回に達していない場合でムーブしても、世代管理の制御は緩和されないため、それ以降のコピーは禁止となる(ムーブした先は常にダビング10での「1世代目」コピーとなるため)。対応機器でDVDやBDやVHSなどに直接ダビング10の放送を録画した場合も、ダビング10の世代管理が適用されず、それ以降のコピーは禁止となる。

なおダビング10ではHDDレコーダーからアナログ映像出力[注 1]を経由して行うアナログコピーについてはダビング10で制御される回数としてカウントされない(アナログ接続での出力を利用した場合9回以上のコピーが可能となる)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:39 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef