ダビング10
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ダビング10(ダビングテン)とは、日本のデジタルテレビ放送の著作権保護のためのコピーガードの一種。ダビ10とも[1]

2008年平成20年)6月2日から、日本の地上デジタルテレビ放送及び衛星デジタルテレビ放送(後述の例外あり)での運用が開始された。総務省の情報通信審議会で提案されたデジタル放送の私的利用に関する運用ルールに対して電子情報技術産業協会(JEITA)が定めた統一呼称である。

なお、デジアナ変換される一部のCATVアナログ波再放送には適用されない。
概要

デジタルテレビ放送をデジタル方式で録画しコピーした場合はアナログ方式に比べて画質の劣化がない。そのためデジタルコピーを際限なく許せば映画などのDVD・BD販売などに影響する事が予想されたため、日本ではデジタルテレビ放送の開始時はコピー・ワンス規定を採用してきた。コピー・ワンスは、放送局が放送しデジタル録画したものをコピーする場合に、ムーブ(Move:移動)を1回のみしかできないルールとなっている。これではムーブに失敗した場合に録画内容が失われてしまうことがある。このコピー・ワンス緩和の暫定措置[2]として、ダビング10の運用ルールが開始された。
ことばの定義

電子情報技術産業協会の発表によると、録画の新ルールの正式の呼称は「コピー9回+ムーブ1回(ダビング10)」で、「ダビング10」の読み方は、「ダビングテン」である。導入時期に次の使用例が推奨されていた[3]

コピー9回+ムーブ1回(ダビング10)

ダビング10(コピー9回+ムーブ1回)

ダビング10

初期にはコピーナインスなる言葉も提案された[4]
予定延期と運用開始

2007年平成19年)12月20日に正式に公表された後、デジタル放送推進協会(Dpa)から地上デジタルテレビ放送では2008年(平成20年)6月2日4時からダビング10に対応した放送が運用される予定と告知されたが延期となり(後述)[5]、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送とも改め2008年7月4日4時から運用開始した。ただし、BSデジタル放送のうち、WOWOWとスター・チャンネルはダビング10を行わない。これは、映画会社等との著作権の取り決めにより放送に制約があるため。同様にCSデジタル放送も有料チャンネルは同様の理由により原則ダビング10は行わないが、報道系チャンネルなど一部有料チャンネルはダビング10を行う[6]
コピー回数の制限による制御

デジタルチューナーを搭載するHDDレコーダーなどハードディスクを内蔵する録画機』や対応パソコン(ダビング10対応チューナーなど)で、ダビング10の地上デジタルテレビジョン・BSデジタル放送(主に無料放送)を内蔵チューナーにより録画した後、DVDBDなどに「9回のコピー」と「1回のムーブ」を可能にする運用ルールである。つまり、これ以外の方法、例えば対応機器でDVDやBDやVHSに放送を直接録画し、あるいはデジタルチューナー搭載家電のアナログ映像出力[注 1]を対応機器などで録画した場合などには、それ以降のコピーは禁止となる(後述)。

コピーワンスもダビング10も「1世代のみコピー可」の制御を行う点では同じだが、「世代」の起点が異なる。コピーワンスは放送が起点となるため、録画機に録画した時点で1世代目のコピーとなっていたが、ダビング10では録画機(HDD)が起点となり、録画機(HDD)に録画した時点では1世代目にはならず、そこから他媒体(DVD、BD、メモリーカード、i.LINK等)へコピーするのが1世代目と言う違いがある。この1世代目コピーの数を9回、ムーブを1回にして、2世代目コピー(孫コピー。DVDからDVD、BDからBD、あるいはHDDへの再ダビングをすること)を禁止したのがダビング10である。

2世代目以降のコピーが禁止となるのはコピーワンスもダビング10も同様であり、コピーワンスの場合、録画機(HDD)から他へのデジタルコピーは不可[注 2][注 3]でムーブのみとなっていたが、ダビング10の場合は録画機(HDD)から他媒体(DVD、BD、メモリーカード、i.LINK等)にコピーしたその先(ダビング10での「1世代目」コピー)において、それ以降のデジタル/アナログコピーが不可となる。

また、コピー回数の制限はデジタルコピー、すなわち「録画機内蔵のDVDやメモリーカードへのコピー」と「i.LINKなどのデジタル接続での他の機器へのコピー」に対して行われ、10回目は自動的にムーブ(移動)されるか、あるいはムーブ以外は不許可になる。また、コピー回数が9回に達していない場合でムーブしても、世代管理の制御は緩和されないため、それ以降のコピーは禁止となる(ムーブした先は常にダビング10での「1世代目」コピーとなるため)。対応機器でDVDやBDやVHSなどに直接ダビング10の放送を録画した場合も、ダビング10の世代管理が適用されず、それ以降のコピーは禁止となる。

なおダビング10ではHDDレコーダーからアナログ映像出力[注 1]を経由して行うアナログコピーについてはダビング10で制御される回数としてカウントされない(アナログ接続での出力を利用した場合9回以上のコピーが可能となる)。しかし、アナログ映像出力についてはダビング10の世代管理が適用されず、コピー先では一律に「コピー禁止」の扱いとなる。よって、どの段階(1世代目の録画前、1世代目と2世代目の間、…)でアナログ映像出力接続を利用したとしても、アナログ映像出力によりコピーされた媒体(HDD/DVD/VHSなど)からさらに次の世代を作成することはできない(これはアナログ信号にCGMS-A信号が出力されるためである[注 3])。この結果、ダビング10対応番組でありながらアナログ映像出力を利用する必要が生じ、コピーワンス扱いとなるケースも出ている(トランスモジュレーション方式のケーブルテレビなど)。

なお、以上の運用ルールが適用されるのは、放送局がダビング10の制御信号入りの番組を放送していて、それをダビング10に対応した録画機で録画する場合だけである。録画機側がダビング10未対応の場合は、ダビング10の放送番組であっても、コピー・ワンスのコピー制御が掛かることになる。旧式のDVDレコーダーなどダビング10に対応していない録画機では機器外部への信号出力を含めてこれまでどおりコピー・ワンスの運用となるため、ハードディスク装置(HDD)に録画した番組を2枚のDVDにコピーして1枚を視聴用、もう1枚をバックアップ用と使い分けることはできない[注 3]。さらに、放送局がダビング10の制御信号入りの番組を放送していて、それをダビング10に対応した録画機で録画する場合であっても、外部チューナー(CATV用セットトップボックスなど)経由で録画した場合はこれまでどおりコピー・ワンスの運用となる。

また、ダビング10においても前述のようにコピー・ワンス運用と同じく孫コピーは禁止であるため、コピー先メディアが旧世代化や規格争いでの敗退等により事業縮小・撤退に追い込まれた場合(HD DVD、コピーワンス番組を録画したD-VHSとカートリッジのBD-RE V1.0等)、再生用機材の修理ができなくなった時点で再生が困難となることが予想される。

出典:[7]
販売済録画機種での対応

本規格の規定以前に販売されたハードディスク内蔵録画機はコピー・ワンスには対応していてもダビング10に対応していないが、メーカーや機種によってはソフトウェアのアップデートで対応している。以下の製品で対応すると公表されている。

ソニー - スゴ録最終モデルと第2世代以降のBDレコーダー[8]

パナソニック - 2006年(平成18年)秋モデル以降の「DIGA[9]、HDD内蔵CATVデジタルSTB[10][11]

シャープ - 2007年(平成19年)春モデル以降[12]

ダビング10対応機種(2008年7/8月のファームアップと予告あるもの)


Blu-Ray/HD DVD(地デジ対応機種)

ソニー - BDZ-X90/T90/L70/T70/T50/A70/V9/V7

松下電器産業(現:パナソニック) - DMR-BW900/800/700/200 DMR-BR500/100

シャープ - BD-HDW30/25/22/20/15

三菱電機 - DVR-BZ200/100

日立製作所 - DV-BH250

東芝 - RD-A301


DVD/HDD録画機(地デジ対応機種)

ソニー - RDZ-D900A/800/700

松下電器産業(現:パナソニック)- DMR-XW320/300/200V/120/100/51/50/41V/40V/31/30 DMR-XP22V/21V/20V/12/11/10

シャープ - DV-ACW90/85/82/80/75/72/60/55/52 DV-AC82/75/72/55/52 DV-ACV52

三菱電機 - DVR-DW200/100 DVR-DV745/735

日立製作所 - DV-DH500H DV-DH500VH/250VH

東芝 - RD-X7 RD-S601/502/302/301 RD-W301 RD-E302/301

パイオニア - DVR-WD70

日本ビクター - DR-HX500/250

DXアンテナ - DVHR-D250 DVHR250E4 DHR-40D


HDD内蔵テレビ(地デジ対応機種)

日立製作所 - WOOO(時期未定) UT42/UT37/UT32-WP770B/W P50-XR02、P50/P42-HR02 P60/P50/L37-XR01、P42/P37/L32-HR01 P42/P37/L32-HR100CS

東芝 - REGZA(時期未定)Z3500/Z2000/Z1000シリーズ H3300/H3000/H2000/H1000シリーズ、32H3200/37H3100


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