ダキアのボエティウス
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

5-6世紀の「ボエティウス」とは異なります。

ダキアのボエティウス(: Boethius de Dacia, 「デンマークボー」(ダキア中世ラテン語でデンマークなどの北欧を表す[1]。))は、13世紀デンマークの哲学者
生涯

ボエティウスは13世紀前半に生まれた。彼の前半生はよく知られておらず、デンマークやスウェーデンのよく知られた人物と彼を結びつけようとする試みは上手くいっていない[2]。彼がパリ大学で哲学を教えるようになったことだけが知られている。そこで彼はブラバントのシゲルスと親しくなり、シゲルス(およびロジャー・ベーコンジャン・ビュリダンといった人物)とともに、神学部で研究したり大学以外の職場を見つけるのではなく、しばらく学芸学部教師として教授し続けるための臨時的な教職を得た。彼は1277年にアヴェロエス主義者を率いたとしてエティエンヌ・テンピエに責められた。ボエティウスはシゲルスとともにパリを脱出し、ニコラウス3世に訴え出た。彼はオルヴィエート教皇庁に留め置かれ、デンマークでドミニコ会に加入した。
哲学

ボエティウスはアリストテレスおよびアヴェロエスの研究者で、論理学自然哲学形而上学倫理学に関する著作を書いたが、そのうちいくつかは残っていない。哲学は宗教的信念との矛盾を考慮せずに自らの内的論理に従うべきというのが彼の基本的な立場であった。彼にとって、哲学とは人間の活動の内でも至高の物であり、この世界で哲学者だけが知識を獲得できるのであった。著書『最高善について』で彼はアリストテレスの言う、真理と美徳に関する理性的な思索としての人間の最高善を熱心に提議した。議論の中で彼は、無からの創造は不可能である、世界および人間の理性は不滅である、そして死者が復活することはない、という結論に到達した。

過激な思想を抱いてはいたものの、ボエティウスはキリスト教徒であり続けており、人間の本性や世界に対する考察を哲学に割り当て、一方で超自然的な啓示や神の起こす奇跡を宗教に割り当てることで、自らの宗教的信念と哲学的な立場を調和させようとした。彼は二重真理説をとっているとして責められたが、彼は真理が単純であるという信仰に反するような哲学的帰結を注意深く避けていた。学問の各分野において、人は自分の出した結論が正しいと考えることには注意深くならなければならない。哲学者が出す結論は「自然の動因や原理によって」(『De Aeternitate Mundi』, p. 351)正しいと認められる。

また、ボエティウスは中世の文法学史において初期様態論者に属しており、著書『表示の諸様態あるいはプリスキアヌス大文法学問題集』で、カエサレアのプリスキアヌスの規範文法的な文法学に対して文法の原因についての考察がないという批判を行っている[3]
参考文献

Boethius. On the Supreme Good; on the Eternity of the World; on Dreams. Edited by John F. Wippel, Mediaeval Sources in Translation. Toronto, Ont. Canada: Pontifical Institute of Mediaeval Studies, 1987.

Boetius of Dacia, "The Sophisma 'Every Man Is of Necessity an Animal'", in Norman Kretzmann and Eleonore Stump [edd & trans.] The Cambridge Translations of Medieval Philosophical texts. Volume One: Logic and the Philosophy of Language (1988, Cambridge University Press;
ISBN 0-521-28063-X)

John Marenbon, Later Medieval Philosophy (1150–1350) (1991, Routledge; ISBN 0-415-06807-X)

Armand A. Maurer, "Boetius of Dacia", in "The Encyclopedia of Philosophy", ed. Paul Edwards (Collier Macmillan, 1967)

上智大学中世思想研究所 編『中世思想原典集成 (19)中世末期の言語・自然哲学』平凡社、1994年1月、ISBN:978-4582734294  に「最高善について」(大野晃徳、八木雄二共訳)および「表示の諸様態あるいはプリスキアヌス大文法学問題集」(大野晃徳、八木雄二共訳)が所収

脚注^ “ ⇒Why Dacia?”. www.jggj.dk. Johnny Grandjean Gogsig Jakobsen(コペンハーゲン大学 Department of Nordic Research) (2013年). 2020年8月24日閲覧。
^ Boethius de Dacia, Verdens evighed, Det lille forlag, 2001, p. 8 (in Danish)
^ 永嶋哲也、周藤多紀「中世の言語哲学」『西洋哲学史II 「知」の変貌・「信」の階梯』講談社選書メチエ、2011年12月10日、ISBN:978-4062585156 、p195

典拠管理データベース
全般

FAST

ISNI

VIAF

2

3

4


WorldCat

国立図書館

ノルウェー

ドイツ

イタリア

イスラエル

アメリカ

スウェーデン

チェコ

オランダ

ポーランド

ポルトガル

バチカン

学術データベース

zbMATH

人物

ドイッチェ・ビオグラフィー

その他

IdRef










ドミニコ会
ドミニコ会士

ドミニコ

アルベルトゥス・マグヌス

トマス・アクィナス

シエナのカタリナ

フラ・アンジェリコ

ヴィテルボのアンニウス

マイスター・エックハルト

ジロラモ・サヴォナローラ

バルトロメ・デ・ラス・カサス

ドミンゴ・フェルナンデス・ナバレテ

トマス西

ジャチント・ジョルダーノ・アンサローネ

大村のマリナ

長崎のマグダレナ

ロレンソ・ルイス

マルティン・デ・ポレス

リマのローザ

メルチョル・カノ

ベルナール・ギー

グスタボ・グティエレス

ジャック・クレマン

ディエゴ・コリャード

イヴ・コンガール

クリストフ・シェーンボルン

ドミンゴ・デ・ソト

ドミンゴ・バニェス

ジャック・バルレリエ

フランシスコ・デ・ビトリア

リアーヌ・ド・プジー

ジョルジョ・ラ・ピーラ


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:17 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef