タンザニアの言語
スワヒリ語および英語の標識(ザンジバル)
公用語スワヒリ語[1]および英語(事実上)
地方言語アラビア語(ザンジバル)、チャガ語、マコンデ語、スクマ語、イランバ語
タンザニアは多言語国家である。多くの言語が話されているが、その中で人口の多数を占める母語は存在しない。スワヒリ語および植民地支配によってもたらされた英語(タンガニーカ植民地(英語版)を参照せよ)はリングワ・フランカとして広く話されている。両言語は作業言語として用いられており、中でもスワヒリ語は公用語とされている[1]。タンザニア国内において、スワヒリ語話者の人数は英語のそれを上回る[2]。
概要タンザニア人女性の服に書かれたアラビア文字表記のバントゥー語群・スワヒリ語(1900年代初頭)
エスノローグによれば、タンザニアでは計126言語が話されている。うち2語が基幹的、18語が発展的、58語が広く用いられ、40語が危機に瀕しており、8語が絶滅しつつある。3言語が近年絶滅した[2]。
タンザニアで話される言語の多くはニジェール・コンゴ語族(バントゥー語群)とナイル・サハラ語族(ナイル諸語)の2大語族に属し、バントゥー系民族およびナイロートによって用いられる。それに加え、ハヅァ族およびサンダウェ族の狩猟採集民は吸着音をもつ言語を話しており、暫定的にコイサン諸語として分類されている(ただしハヅァ語は孤立した言語かもしれない)。クシ系およびセム系の少数民族は独立したアフロ・アジア語族に属する言語を話し、またヒンドゥスターニーやイギリス人居住者は印欧語を話す[3]。
タンザニアの多様な民族集団は基本的に共同体内で自らの母語を話す。2公用語である英語およびスワヒリ語は他集団とのコミュニケーションに様々なレベルで用いられる。1984年の公式国家言語政策によれば、スワヒリ語は社会・政治分野および初等・成人教育の言語であり、一方の英語は中等教育、大学、技術、および高等裁判所の言語とされる[4]。2015年、政府はタンザニア学校制度見直しの一環として教育言語としての英語の使用を取りやめるだろうと発表した[5]。
これらに加え、複数のタンザニア手話(英語版)が用いられている。
語族
多数言語バントゥー諸語のひとつスワヒリ語による主の祈り。スワヒリ語は英語とともにタンザニア国内で多くの人々によって共通語として用いられる。
タンザニアで話されている多数言語は次を含む。
ニジェール・コンゴ語族
バントゥー語群
ベンバ語
ベナ語(59万2千人、2009年)
チャガ語
ディゴ語(英語版)(16万6千人、2009年)
ゴゴ語(108万人、2009年)
ハヤ語(194万人、2016年)
ヘヘ語(英語版)(121万人、2016年)
イランバ語(英語版)
ルグル語(英語版)(40万4千人、2009年)
マコンデ語(147万人、2016年)
ンゴニ語(英語版)
ニャキュサ語
ニャムウェジ語(147万人、2016人)
ニィカ語(英語版)
アス語
ランギ語(41万人、2007年)