タネツケバナ属(たねつけばなぞく、学名:Cardamine L. (1753))はアブラナ科の属の一つ[1][2]。 植物体は無毛または分枝しない単純毛のみが生える。一年草、越年草または多年草で、ときに地下に根茎がある。茎につく葉は互生し、羽状に分裂するか羽状複葉になり、まれに単葉または3出複葉になる。茎葉の葉柄は無いかまたは有り、葉柄の基部が耳状に広がって茎を抱くことがある。花は4弁の放射相称の十字形になり、花弁は白色または紅紫色で、ときに花弁が退化しているものもある。雄蕊は6個まれに4個。雌蕊は1個。果実は果体の形状が細長い長角果で、やや扁平になるかまれに円柱状になる。長角果は上を向き、果皮は熟すと反曲して縦に裂開し、種子を弾き飛ばし、裂開後の胎座は横に広がる。種子は翼が無いかまれにあり、長角果の中に1列に並ぶ。染色体基本数はx=6,7,8,10[2]。 世界の温帯に約200種ある[2]。日本には、約20種ある。 属名 Cardamine は、食用とされるタガラシ(アブラナ科)の1種のギリシア語 kardamon に由来する[3]。 ヒロハコンロンソウ、栃木県那須塩原市オオケタネツケバナ、長野県大町市ジャニンジン、福島県会津地方コタネツケバナ、茨城県常総市小貝川コンロンソウ、鳥取県日野郡コシジタネツケバナ、新潟県柏崎市ミヤマタネツケバナ、長野県針ノ木岳タネツケバナ、福島県会津地方マルバコンロンソウ、宮城県亘理郡オクヤマガラシ、長野県上高地ミチタネツケバナ、福島県会津地方 和名、学名は原則として ⇒YListによる。
特徴
分布
名前の由来
種
日本に分布する種
ミツバコンロンソウ(三葉崑崙草[4]) Cardamine anemonoides O.E.Schulz
ヒロハコンロンソウ(広葉崑崙草[4]) Cardamine appendiculata Franch. et Sav. - 山地の渓流沿いの水湿地に生育する多年草。高さ30-60cm。葉は奇数羽状複葉で小葉は5-7個。長い葉柄の基部に小さい耳部があって茎を抱く。本州の中部地方以北に分布する[2][4]。
オオマルバコンロンソウ
オオケタネツケバナ(大毛種漬花[6]) Cardamine dentipetala Matsum. - やや湿った林床などに生育する多年草。茎は基部から直立して高さ20-40cm。葉は奇数羽状複葉で側小葉は1-4対、頂小葉が大きい円形から広卵形で縁に毛が生える。花は大きい。長角果は斜上し、毛が生えることが多い。本州の日本海側に分布する[2]。
タチタネツケバナ
ジャニンジン(蛇胡蘿匐[6]、蛇人参[7]) Cardamine impatiens L. var. impatiens - 木陰、水辺などのやや湿った場所に生育する越年草、まれに一年草。茎は直立して高さ12-80cm。根出葉はロゼット状になり、茎葉は根出葉より大きく、葉柄の基部は小さな耳状になって茎を抱く。小葉は多く4-10対ある。長角果の果柄は斜上し、長さ4-10mm。南千島、北海道、本州、四国、九州、ユーラシア大陸の温帯から亜熱帯に広く分布する[2]。
ホソバジャニンジン Cardamine impatiens