タニブター
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タニブター
分類

:植物界 Plantae
:被子植物門 Magnoliophyta
:双子葉植物綱 Magnoliopsida
:ムクロジ目 Sapindales
:ミカン科 Rutaceae
:ミカン属 Citrus
:タニブター C. ryukyuensis

学名
Citrus ryukyuensis
(Wu, 2021[1])
和名
タニブター

タニブター(学名: Citrus ryukyuensis)は、琉球諸島とその周辺の島々に生息する野生の柑橘類で、大陸マンダリンオレンジ、C. reticulataに最も近縁である。両者は200万年以上前に分岐しており、このタニブターはマンダリンオレンジとは異なり有性生殖を行う。マンダリンオレンジとの交雑により、琉球諸島に固有のマンダリン交配種が生まれている。
概要

これまでの遺伝学的研究では、アジア大陸のマンダリンオレンジの特徴が明らかにされていたが、日本や近隣の島々のマンダリンオレンジの特異な遺伝子特性については説明されていなかった。この欠落部を埋めるために行われた追跡調査では、予想外の結果が得られた。それは、タニブターが純粋な野生種のマンダリンであることが確認されたことであり、そのタニブターと大陸の種との交配により、複数の異なるマンダリンの交配種クラスターが生まれたのである。タニブターは琉球列島原産であることから、学名はC. ryukyuensisと命名された。マンダリンオレンジとの比較から、大陸の柑橘類からの分岐時期は220万年前から280万年前と計算された。これは更新世の海面上昇によって琉球諸島が大陸から切り離され、種分化に必要な孤立が生じた時期とほぼ一致する。この隔離により、タニブターは有性生殖を続けたのに対して、大陸の種には遺伝子変異が起こり、それがやがて大陸の種全体に広がり、殊心胚実生による無性生殖が可能になった[1]
交配種

タニブターは現在まで存在し続けているが、日本と近隣の島のミカンの交配種の種分化に貢献したという点でも、重要である。
タチバナ

4万年前から20万年前の間に、その後の海面上昇または海洋分散(英語版)によってタニブターが大陸のミカンと再び接触し、それらが交配して様々なグループの近縁雑種が生まれた。ある事例では、大陸種の北部亜種と南部亜種から同様の寄与を受けた交配種が、すでにタニブターの遺伝子を若干含み、大陸ミカンの多くに見られるようなブンタン由来の遺伝子は含まれておらず、タニブターと多数の交配種を形成することになる。大陸の親種はその子孫に無性生殖を可能にする突然変異を伝え、似たようなクローンのタチバナの品種群を生み出した。
シークヮーサー

これとは別に、中国の酸朱砂マンダリンに似た本土のクローン系統にブンタンの遺伝子が移入したものが、今でも沖縄で見られ、タニブターと交配してシークヮーサーが生まれたが、これも似たような植物の集まりで、単一の統一された品種でない。タチバナと同様に、これらの系統は大陸の親からクローン繁殖する能力を受け継いでいるが、タチバナがすべて大陸のミカンを種子親としているのに対し、シークヮーサーはそれぞれの親種が種子親としている。両グループのクローンの多様性、自然界での生育状況、日本や琉球王国の初期のに両グループのことが書かれていることなどから、これらの交配は自然の中で自然に起こったものと考えられる。
その他の交配種

3つ目の重要なグループである「ユークニブ(沖縄の方言で酸味のある柑橘類)」は、おそらく歴史的な時代に東南アジアインドネシアから農業的に導入されたブンタンの遺伝子移入度が高いクネンボとの交配に由来している。他にもダイダイとタニブターの交配種であるロクガツミカンや、シークヮーサーとブンタンの交配種であるデーデーなど、より複雑な柑橘類の交配種にも貢献している[1]
出典^ a b c Wu, Guohong Albert; Sugimoto, Chikatoshi; Kinjo, Hideyasu; Asama, Chika; Mitsube, Fumimasa; Talon, Manuel; Gmitter, Frederick G, Jr; Rokhsar, Daniel S (2021). “Diversification of mandarin citrus by hybrid speciation and apomixis”. Nature Communications 12: 4377. doi:10.1038/s41467-021-24653-0.  and Supplement

外部リンク

『沖縄の「シークヮーサー」、出自の謎が明らかに
』(プレスリリース)沖縄科学技術大学院大学、2021年7月26日。https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/36473。2021年8月12日閲覧。 










柑橘類ミカン科
原種

オーストラリアとパプアの野生ライム(英語版)

シトロン

クリメニア(英語版)

宜昌橙(英語版)

コブミカン

キンカン

マンダリンオレンジ

莽山野柑(英語版)

ザボン(ブンタン)

琉球マンダリン

主要な交配種

グレープフルーツ

レモン

ライム

オレンジ(英語版)

ミカン属
(カンキツ属)

オレンジ

キノット

ジャッファ・オレンジ

ジョッパ

ネーブルオレンジ

バイーアオレンジ

バレンシアオレンジ

福原オレンジ

ブラッドオレンジ

グレープフルーツ類

オランジェロ

グレープフルーツ

香酸柑橘類

カボス

カラマンシー(四季橘)

キズ(木酢)

清岡橙

コブミカン

シークヮーサー(ヒラミレモン)

シトロン

ジャバラ

スダチ

ダイダイ

ナンショウダイダイ(南庄橙)

新姫

ブッシュカン(仏手柑)

ヘベズ(平兵衛酢)

ベルガモット

マイヤーレモン

メキシカンライム

ゆうこう

ユコウ(柚柑)

ユズ

ライム

レモン

雑柑類

伊予柑

黄金柑

河内晩柑

金柑子

三宝柑

湘南ゴールド

ナツミカン(夏橙)

カワノナツダイダイ(甘夏)

鳴門オレンジ

八朔(ハッサク)

はるか

媛小春

日向夏(ニューサマーオレンジ)


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