「タナトス」のその他の用法については「タナトス (曖昧さ回避)」をご覧ください。
タナトス
死神
大理石石柱ドラムに彫刻されたタナトス
エフェソスのアルテミス神殿 前325年-前300年頃
大英博物館所蔵
住処冥界
シンボルシータ、ケシ、蝶、サイフォス、松明
親ニュクス
兄弟モロス、ケール、ヒュプノス、オネイロス、モーモス、オイジュス、ヘスペリデス、モイラ(クロートー、ラケシス、アトロポス)、ネメシス、アパテー、ピロテース、ゲーラス、エリス
ローマ神話モルス
テンプレートを表示
タナトス(古希: Θ?νατο?, Thanatos)は、ギリシア神話に登場する死そのものを神格化した神。
夜の女神ニュクスが一柱で生んだ息子[1]、または幽冥の神エレボスと夜の女神ニュクスの息子[2][3]。眠りの神ヒュプノスと双子の兄弟である[4]。
ローマ神話の死神モルス(ラテン語: Mors)やレトゥム(ラテン語: Letum)と同一視される。
タナトスを「亡者の王」や「ハーデース(同一視として)」と呼ぶ事もある[5]。
概要マウリシオ・ガルシア・ベガ
概念的な存在で、古くはその容姿や性格は希薄であったが、次第に柔和で優しいヒュプノスに対してタナトスは鉄の心臓と青銅の心を持つ非情な神で人間にとっても神々にとっても忌むべき者となった[6]。
姿は有翼[7]で剣を持ち[8]、黒い服を着た[5]蒼ざめた老人であるとも[9]、ヒュプノスによく似た青年であるともいわれる[10]。
寿命を迎える人間の髪を剣で一房切り取り、冥王ハーデースに捧げ魂を冥界に連れて行き冥界の住民とする[8]。英雄の魂はヘルメースが冥府に運び、凡人の魂はタナトスが冥界へ運ぶともされる。
どんな贈り物も求めず、犠牲や歌を捧げ崇めてもタナトスの意志は変えられず、死の運命を回避する慈悲を与えない神であるため、祭壇も無く崇められる事も無かった[11]。
太陽はタナトスとヒュプノスの姿を見ようとはせず、彼らは大地の遥か下方の奈落タルタロスの領域に館を構えて住んでいる[12]。または、冥界の門の近くにあるオネイロスたち(夢)が絡まるニレの巨樹の周りにタナトスとヒュプノスは住むという[13]。
また「パイアーン(癒す者)」の呼び名がある[14]。
神話サルペードーンの遺体を運ぶヒュプノスとタナトス(紀元前515年頃)