n 番目のタクシー数(タクシーすう、taxicab number、Ta(n)もしくはTaxicab(n)と表記される)とは、2つの立方数の和として n 通りに表される最小の正の整数と定義される。1954年にゴッドフレイ・ハロルド・ハーディとエドワード・メートランド・ライト
(英語版)が全ての正の整数 n に対し、Ta(n)が存在することを示した。その証明を利用すれば「2つの立方数の和として n 通りに表される正の整数」を見つけることはできる。ただしそれが最小の数であるかは保証されていないため、Ta(n)であるとは限らない。「タクシー数」と言う名前はハーディが乗ったタクシーの番号1729についてそれがTa(2)であることをシュリニヴァーサ・ラマヌジャンが指摘したエピソードから来ている(後述)。そのため、この数の問題とタクシーとの関連は全く無い。
なお、ここでの立方数は正の整数のみを考える。0と負の整数も含めるときは、名前の「taxicab」をひっくり返してキャブタクシー数と呼ばれる。 与えられた正の整数 N に対し、不定方程式 x 3 + y 3 = N {\displaystyle x^{3}+y^{3}=N} の整数解 y ≥ x > 0 の個数は明らかに有限個である(0 < y3 < N であるため)。これを s(N) とおく。Ta(n) は s(N) ≥ n となる最小の N である。 任意の n に対して s(N) ≥ n となる整数 N が存在することが知られており、したがって Ta(n) は存在する。実際 m を正の整数とすると x 3 + y 3 = m {\displaystyle x^{3}+y^{3}=m} は楕円曲線なので、階数が正ならば無限個の有理点を持つ。さらに、このとき有理点の全体は実数点の中で稠密となる。よって、その中には無限個の正の有理点が存在する。それらから任意の個数の有理点 ( x i / d i , y i / d i ) ( i = 1 , 2 , … , k ) {\displaystyle (x_{i}/d_{i},y_{i}/d_{i})(i=1,2,\ldots ,k)} を選んで分母を払うことにより ( x i D i ) 3 + ( y i D i ) 3 = m d 1 3 d 2 3 ⋯ d k 3 , D i = ( d 1 d 2 ⋯ d k ) / d i {\displaystyle (x_{i}D_{i})^{3}+(y_{i}D_{i})^{3}=md_{1}^{3}d_{2}^{3}\cdots d_{k}^{3},D_{i}=(d_{1}d_{2}\cdots d_{k})/d_{i}} が成り立つ。 N = m d 1 3 d 2 3 ⋯ d k 3 {\displaystyle N=md_{1}^{3}d_{2}^{3}\cdots d_{k}^{3}} ととれば s ( N ) ≥ k {\displaystyle s(N)\geq k} が成り立つ。m = 7, 9 などに対して上記の曲線の階数は正なので、ここから s(N) がいくらでも大きなものを得ることができる。よって任意の正の整数に対して Ta(n) は確かに存在する。 一般に F が3次形式で F ( x , y ) = m 0 {\displaystyle F(x,y)=m_{0}} が階数 r の楕円曲線を与えているとき、 F ( x , y ) = m , m = m 0 d 3 {\displaystyle F(x,y)=m,m=m_{0}d^{3}} の解の個数が > c(log m)r/(r+2) となる m が無数に存在する(c> 0 は F と m0 のみに依存し d には依存しない)。 x 3 + y 3 = 657 {\displaystyle x^{3}+y^{3}=657} は階数3を持つことが知られている(実際 (17/2, -7/2), (163/19, 56/19), (3439/223, -3220/223) が生成元となる)。よって s ( N ) > c log 3 / 5 N {\displaystyle s(N)>c\log ^{3/5}N} となる N が無数に存在する[1]。したがって Ta ( n ) < exp ( c n 5 / 3 ) {\displaystyle {\text{Ta}}(n)<\exp(cn^{5/3})} が無数の n に対して成り立つ。 現在までに以下の6つのタクシー数が知られている(オンライン整数列大辞典の数列 A011541
概要
既知のタクシー数