タイタン_(スーパーコンピュータ)
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タイタンタイタン(2013年)
稼働期間2012年10月29日から2019年8月2日まで
スポンサーUS DOEおよびNOAA (<10%)
運営者クレイ
所在地オークリッジ国立研究所
アーキテクチャ18,688個のAMD Opteron 6274 16コアCPU
18,688個のNVIDIA Tesla K20X GPU
電源8.2 MW
OSCray Linux Environment
寸法404 m2 (4352 ft2)
メモリ693.5 TiB (584 TiB CPUと109.5 TiB GPU)
ストレージ40 PB, 1.4 TB/s IO Lustre
処理速度17.59 ペタフロップス (LINPACK)
理論値27ペタフロップス
コスト9700万USドル(2023年における12900万USドル相当)
ランキングTOP500: 4位, 2017年6月[1]
使用目的科学研究
記録開発時、TOP500で1位。
GPUによるスーパーコンピュータとして初めて、10ペタフロップス以上を達成。
ウェブサイト ⇒www.olcf.ornl.gov/titan/

タイタン(: Titan)あるいはOLCF-3は、クレイ社によってオークリッジ国立研究所に構築され、様々な科学プロジェクトに用いられたスーパーコンピュータである。タイタンはそれまでオークリッジで用いられていたスーパーコンピュータ、ジャガーをアップグレードしたもので、従来のCPUに加えてGPUを使用している。タイタンはこのようなハイブリッドアーキテクチャとしては初めて10ペタフロップス以上のパフォーマンスを実現した。2011年10月にアップグレードが始まり、2012年10月に安定性試験を開始、2013年初頭に研究者が利用できるようになった。アップグレードの初期費用は6千万USドルで、主にアメリカ合衆国エネルギー省によって資金が提供された。

オークリッジにおいて、タイタンは2019年にサミットに取って代わられた。サミットはIBMによって構築され、より高い性能のGPUを使いノード数を減らしたことや並列ファイルシステム(英語版)によるファイルデータに対するノードごとのローカル不揮発性キャッシュが特徴である。[2]

タイタンはAMD Opteron CPUとNVIDIA Tesla GPUを組み合わせて使うことで、ジャガーより大幅に計算能力を引き上げつつエネルギー効率を向上させた。理論上は27ペタフロップスを実現するために18,688個のCPUを同数のGPUと組み合わせて使用し、結果的にスーパーコンピュータの速度を格付けするために用いられるLINPACKベンチマークでは17.59ペタフロップスのパフォーマンスを実現した。これは2012年11月時点でTOP500において1位の性能だったが[3]、2013年6月に天河二号によって破られた。

タイタンはあらゆる科学的目的に利用可能だったが、その使用権はプロジェクトの重要性とハイブリッドアーキテクチャを最大限活用できる可能性によって決められた。プログラムはタイタンに依存しないように他のスーパーコンピュータでも実行可能なものを選ばなければならない。主に分子スケールの物理学または気候モデルを扱っている6個のプログラムが最初に選ばれたが、その後には他の25個のプログラムが順番を待っていた。GPUが導入されていることにより、製作者はプログラムの変更を余儀なくされた。GPUCPUよりも多くのスレッドを同時に取り扱うことができることから、一般にこの修正によって並列度は向上した。この変更によってしばしばCPUのみのマシンでもパフォーマンスが向上した。
歴史

オークリッジ国立研究所(ORNL)のオークリッジ・リーダーシップ・コンピューティング施設(英語版)(OLCF)において、20ペタフロップスの性能を持つスーパーコンピュータを作る計画はジャガーが構築された2005年にまでさかのぼる[4]エクサスケール(1000ペタフロップスが1エクサフロップスに相当)マシンを2020年までに運用するORNLの計画の一環として、タイタン自体も2016年におよそ200ペタフロップスのシステムへ置き換えられる[4][5][6]。新しく15,000平方メートル(160,000 ft2)の建物をタイタンのために建てるという当初の計画は、ジャガーの既存の施設を用いるのが望ましいとして却下された[7]。正確なシステムアーキテクチャは2010年まで確定していなかったが、NvidiaがGPUを提供する契約は2009年に締結された[8]。タイタンはプライベートな2010年11月16日のACM/IEEE Supercomputing Conference (SC10)で最初に発表され、タイタンアップグレードの第1段階が始まった2011年10月11日に公に発表された[5][9]

ジャガーは製造されて以降、様々なアップグレードを受けてきた。初めはCray XT3(英語版)プラットフォームで25テラフロップスを達成した[10]。2008年までに、ジャガーは筐体数を増やし、Cray XT4(英語版)プラットフォームにアップグレードすることで、263テラフロップスに達した[10]。2009年に、Cray XT5(英語版)プラットフォームにアップグレードされ、1.4ペタフロップスに達した[10]。最終アップグレードによって、ジャガーの性能は1.76ペタフロップスとなった[11]

タイタンはORNLを通して、主にアメリカ合衆国エネルギー省から資金提供を受けた。この資金はCPUを購入するのには十分であったが、すべてのGPUを購入するには十分でなかったため、アメリカ海洋大気庁(NOAA)が計算時間を見返りとして残りのノードの資金を提供することに合意した[12][13]。ORNL科学計算チーフであるジェフ・ニコルズは、タイタンの費用は約6千万ドルで、そのうちNOAAの貢献は1千万ドル未満だが、正確な数値は機密保持契約により秘匿されていると述べた[12][14]。クレイ社との全契約期間では潜在的なアップグレードを除き、9,700万ドルが計上された[14]

1年間にわたる転換は、2011年10月9日に開始された[15][16]。10月から12月の間に、ジャガーの200個の筐体のうち96個は、残りのマシンは使い続けつつ、各筐体が持つ24個のCray XT5(英語版) ブレード(各ブレードは4つのノードを持ち、各ノードは2つの6コアCPUを持つ)がCray XK7(英語版)ブレード(各ブレードは4つのノードを持ち、各ノードは1つの16コアCPUを持つ)にアップグレードされた[15]。12月に、計算が96個のXK7筐体に移され、残りの104個の筐体がXK7ブレードにアップグレードされた[15]。ORNLの外部ESnet(英語版)接続は、10 Gbit/sから100 Gbit/sにアップグレードされ、システム相互接続(CPUが相互に通信するネットワーク)がアップデートされた[15][17]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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