タイゲトス山脈
Τα?γετο?
ギリシア神話の英雄メネラオスとヘレネの聖域メネライオン(スパルタ)から見たタイゲトス山脈
所在地 ギリシャ アルカディア県, ラコニア県, メッセニア県
位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯36度57分14秒 東経22度21分08秒 / 北緯36.95389度 東経22.35222度 / 36.95389; 22.35222
タイゲトス山脈(タイゲトスさんみゃく、希: Τα?γετο?, 英: Taygetus)は、ギリシャ南部のペロポネソス半島にそびえる山脈である。最高峰はプロフィティス・イリアス(Profitis Ilias)またはプロフェット・エリアス(Prophet Elias)として知られるタイゲトス山である。 この名前はヨーロッパで記録された最も古いものの1つで、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』にエリマントス山(英語版)とともに、狩猟の女神アルテミスが峰伝いに鹿狩りを楽しむ場所として歌われている[2]。ギリシア神話によるとタイゲトスの名前は巨人アトラースの娘タユゲテに由来する[3]。また最高峰の名前は予言者エリヤのギリシア語形に由来している。山には5つの峰があることからビザンティン時代から19世紀まではペンタダクティロス(Πενταδ?κτυλο?)の名でも知られていた。 山塊の長さは約115km(71マイル)あり、ペロポネソス半島の中心から最南端のマタパン岬まで延びている。最大幅は30km、面積は2,500km2である。最高峰のプロフィティス・イリアスはペロポネソス半島で最も高く、2,404m(7,887フィート)に達する[1]。これはおそらくパウサニアスが言及したタレトン山(Mount Taleton)である[4]。山頂はウルトラ・プロミネント峰である。約60m(200フィート)しかないコリント地峡の上にある。多数の小川が山脈に端を発し、エウロタス川
地理
タイゲトス山脈はアルカディア県、ラコニア県、メッセニア県の県境にあり、ラコニア県の県都スパルティとメッセニア県の県都カラマタの街を見下ろす位置にある。山脈はギリシャ国道82号線(英語版)と交差しているが、この国道はカラマタとスパルティを結んで北タイゲトスを中央山脈から分離している。またリンドモ渓谷(Rindomo Gorge)は中央山脈とタイゲトス南部を隔てている。マニ半島の背骨を形成する部分はサギアスとも呼ばれ、多くの場合、タイゲトスの一部とは見なされない。山脈の中央部は一般に、村落が早朝と午後遅くにあまり日光を浴びないので「暗い側」を意味する「スコテイニ・プレブラ」と呼ばれる。
地質学ヘレニック弧(英語版)、沈み込み帯。矢印はプレートの動きの方角を示す。弧の最南端は北東に移動し、ヘレニックプレートの下に沈み込みむ。プレート自体が南西に伸びて沈み込み帯に入り、断層地塊の地形を生成している。
地中海に面した東西に走る南ヨーロッパの山々は、一般に北向きに移動するアフリカプレートとユーラシアプレートの衝突によって生成されたものである。アフリカプレートの北端が不規則な線で沈み込んでいる部分で未解明の第二の造山運動が起こっている。 イタリアとギリシャの山は北西から南東の方向に走る褶曲した山と断層地塊(英語版)の山の組み合わせである。
ヘレニック沈み込み帯(Hellenic Subduction)はヘレニック海溝(英語版)のエーゲ海プレートの下にアフリカプレートの先端を運び、ペロポネソス半島とクレタ島の外縁に弧を描いている。島々とギリシャ南部では、二重の地殻変動のために断層地塊の山造山運動が広がり、エーゲ海プレートは沈み込みによって上昇している。一方、未解明の南北の伸張運動はプレートを引き離して伸張性断層(英語版)を作り出し、南北方向に走る地塁と地溝、または地溝帯の並列シーケンスを生成している[5]。
タイゲトス山脈はエウロタス地溝帯に隣接する石灰岩の地塁である。その東面の下には伸張方向に垂直に突き当たるスパルタ断層がある。下盤の急斜面はタイゲトスの東側の尾根の根元に見ることができる。それらは、垂れ下がった壁が傾斜の方向に突然滑り、地震を引き起こすことから生じる。単一の地震では1mから12mの崖が生じる。スパルタ断層は衝突でジグザグの形状をし、北緯170°と東経140°の間で変化している。最大滑りは3つの増分で10mから12m。スパルタを襲った紀元前464年の地震は、断層の長さ20kmにわたって3mから4mの滑りが生じた結果である。スリップ率は年間約1mmであり、地震の平均間隔は3000年であることを示唆している[6]。
自然ギリシャモミ、テッサリア。ヨーロッパクロマツ、タソス島。プロフィティス・イリアスを見上げる登山道。
タイゲトス山脈の気候は一般に大陸性であり、冬には大雪が降る。タイゲトス山脈の標高700m-800mから1,700m-1,800mの斜面は主にギリシャモミ(英語版)とヨーロッパクロマツ、スギの深い森林に覆われている。2005年と2007年の壊滅的な山林火災は、中央西部斜面の森林の多くを焼失し、約半分しか残っていない(2007年ギリシャ山林火災)。そこから2,000mまでは亜高山帯が広がっており、そこではほんの数本のトウヒやヨーロッパクロマツの木が生え、地面は多年生植物と小さな低木で覆われている。2,000mを超えると高山地帯であり、樹木はまったくなく、岩と岩の間に多年生植物が生えるのみとなっている。
かつてのタイゲトス山脈は現代よりも多くの哺乳類がいた。パウサニアスは山が野生のヤギとイノシシの狩場となっており、クマとシカも他の場所と比べて多く獲れたと証言している[4]。他にもオオカミやオオヤマネコも棲んでいたことが歴史的に知られている。こんにち、山にはキツネ、ノウサギ、ハリネズミ、フェレット、イイズナ、アナグマなど20種の哺乳類が生息し、山頂付近にはいくつかの希少な鳥類が見られる。
タイゲトス山脈の植物相は非常に豊富で、1,000種以上の植物のうち33種がタイゲトス山脈の固有種であり、約100種がギリシャ固有である。また固有種ではないが、ギリシャやヨーロッパでは非常にまれなアジア起源の種もある。
歴史