ゾナー
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、カール・ツァイスのレンズについて説明しています。怪人ゾナーについては「怪人ゾナー」をご覧ください。
ゾナー50mmF1.5

ゾナー(Sonnar)は、ツァイス・イコンルートヴィッヒ・ベルテレエルノスターを改良して1929年に発明したカール・ツァイスのレンズである。

名称の由来はツァイスの工場が郊外にあった都市ゾントホーフェン(Sonthofen)から来るという説と太陽を意味するドイツ語(ゾンネ、Sonne)から来るという説[1]の2つの説が知られる。なお、現在カール・ツァイスではベルテレがゾナーの前に設計したエルノスタータイプのレンズにもゾナーの名称をつけている。

張り合わせによる、枚数の割に群数の少ない構成は、レンズコーティング以前の時代には反射率の高い空気-ガラス面が少ないことから4群6枚のダブルガウス型より好まれ、また大口径化も進んだ。しかし後群のレンズが後方に伸びていることにより、一眼レフカメラにおいてはミラーに干渉するという問題を生じ、コーティング技術も発達したことと、特にダブルガウス型においてバックフォーカスを長くとれる処方が確立されたこともあり、一般にF1.4前後の大口径に設定されるレンズ交換式一眼レフカメラの標準単焦点レンズについてはゾナータイプは見られなくなった[2]

しかし、一眼レフでも標準域大口径以外、特に中望遠レンズや望遠側のズームの部分群として、また一眼レフ以外では標準域大口径でも[注釈 1]、ゾナータイプ(およびその先祖のエルノスタータイプ)は広く使われている。
解説

コーティング技術が実用的でなかった戦前においては3群構成で空気境界面が少ないことと、当時のダブルガウス型では泣き所であったコマ収差を抑えることに成功したことで、プラナーに比べ格段に高コントラストな画像を得ることを可能にした。また、大口径と小型設計を両立することができ、レンズが小型であることが重要となるレンジファインダーカメラにおいて重宝された[2]

当初はF2.0の、1932年には3群7枚F1.5のコンタックス用5cmレンズが作られた。しかし性能は高いが、大きなガラス塊が必要で重く、3枚張り合わせのために製造効率も悪く、非常に高価であった。

戦後は一眼レフカメラに主流が移っていったわけだが、レンズの後方にミラーを置くスペースが必要となる一眼レフカメラでは、後群が干渉するゾナーは不利であった。コーティング技術の発達などもあり一眼レフカメラ用交換レンズでは、ゾナー型は望遠レンズなど一部に採用されるにとどまっている。一方でミラーの制限がないコンパクトカメラ等には、小型にまとまる利点を生かしたゾナー風構成の採用例がいくつもあり、さらに時代が移ったデジタルカメラでも一眼レフカメラ以外に採用例がある。

非対称型構成のため、糸巻き型の歪曲収差が発生しやすい。
製品一覧

アルファベット順に記述する。
キヤノンEFマウントゾナー

アポゾナー135mmF2 - コシナ製。ZEマウント。

コンタフレックス(Contaflex)用ゾナー「コンタフレックス#二眼レフ」も参照

戦前のライカ判レンズ交換式二眼レフカメラ用であり、戦後のライカ判レンズシャッター式一眼レフカメラには使用できない。
コンタフレックス126(Contaflex126)用ゾナー「コンタフレックス#126フィルム使用カメラ」も参照

専用マウントによる交換式。
コンタレックス(Contarex)用ゾナー「コンタレックス」も参照
コンタックス(Contax)用ゾナー

コンタックス用ゾナーはいずれも1940年代から1950年代、高性能なレンズのお手本として世界中でコピーや改良型が設計された。「コンタックス#レンジファインダーのコンタックスシリーズ」も参照
コンタックスRTS(CONTAX RTS)用ゾナー「コンタックス#コンタックスRTSシリーズ」も参照
コンタックスT(CONTAX T)用ゾナー

高級コンパクトカメラ、コンタックスTシリーズに固定装着されている。いずれもエルノスター型である。「コンタックス#コンタックスTシリーズ」も参照
コンタックスG(CONTAX G)用ゾナー「コンタックスG」も参照
コンタックスN(CONTAX N)用ゾナー「コンタックス#コンタックスNシステム/645」も参照
エクサクタマウントゾナー「エクサクタマウントレンズの一覧#カール・ツァイス」も参照
グラフレックスXLシリーズ用ゾナー

ゾナー180mmF4.8

ハッセルブラッドVシリーズ用ゾナー

SWCシリーズを除くハッセルブラッドVシリーズ用。シャッターを内蔵しないものは2000、200シリーズ専用。「ハッセルブラッド」も参照
ライカL/Mマウントゾナー「ライカマウントレンズの一覧#カール・ツァイス」も参照
M42マウントゾナー「M42マウントレンズの一覧#カール・ツァイス」も参照
ニコンFマウントゾナー

ZFマウントはAi-S相当。ZF.2マウントはAi-P相当。

アポゾナー135mmF2 - コシナ製。ZF.2マウント。

ペンタコン6用ゾナー「ペンタコン#プラクチシックス/ペンタコン6/エクサクタ66シリーズ用レンズ」も参照
ローライ35S用ゾナー

ローライ35S、ローライ35SEに固定装着されている。「ローライ#ローライ35シリーズ」も参照
ローライフレックス6×6cm判二眼レフカメラ用ゾナー

テレローライフレックスにゾナー135mmF4が固定装着されている。「ローライ#ローライフレックス6×6シリーズ」も参照
ローライフレックス6000シリーズ用ゾナー「ローライ#ローライフレックス6000シリーズ」も参照
ローライフレックスSL66シリーズ用ゾナー「ローライ#ローライフレックスSL66シリーズ」も参照
ローライフレックスSL35/SL2000シリーズ用ゾナー「ローライ#ローライフレックスSL35/SL2000シリーズ」も参照
ソニーAマウントゾナー

ゾナー135mmF1.8ZA(2006年発売)

ソニーEマウントゾナー

ゾナー E24mmF1.8ZA(2011年発売) - APS-Cフォーマット対応。ライカ判換算36mm

ゾナー FE35mmF2.8ZA(2013年発売)

ゾナー FE55mmF1.8ZA(2013年発売)

Batis1.8/85(2015年発売)

ソニーサイバーショット用ゾナー

ゾナー35mmF2 - DSC-RX1に内蔵。

大判用ゾナー

ゾナー250mmF5.6 -
リンホフ純正。

脚注
注釈^ 近年の設計例には、MSオプティカル「ゾンネタール」など

出典[脚注の使い方]^ 日沖宗弘 1993, p. 198.


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:18 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef