ゾティーク
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ゾティーク、またはゾシーク (ZOTHIQUE) は、クラーク・アシュトン・スミスの小説の舞台の一つである遠い未来の大陸の名、およびそれを舞台とする小説群のシリーズ名。
概要

スミスの作品中、作品点数と規模において最も大きな部分を占めるものである。ファンタジージャンルに属するもので、より詳しい分類によれば「終末もの」および「ダイイング・アースもの」に分類される。

未来の或る時期において海から隆起した大陸であるとされる。現代から遥かな時間が経過して太陽の力は弱くなり、地球は老いて科学文明が滅び、太古の魔法が復活した世界である事が特徴。大瀧啓裕はスミスの作品の中でも「スミスがこよなく愛したもの」[1]としている。また、1953年11月3日付けのL・スプレイグ・ディ・キャンプへの手紙でスミスは次のように記している。

過去と未来の大陸についての神智学理論で漠然と示唆されたゾティークは、地球最後の人間の住む大陸だ。現在の我々の周期の大陸は、おそらく何度か沈んでいる。一部は沈んだままで、他は部分的に再浮上して自らを再配置した。(中略)我々の文明の科学や技術は、我々の宗教と共に忘れられている。しかし多数の神々が崇拝されている。そして、魔法と魔神崇拝が太古と同様に再び広まっている。水夫はオールと帆だけを使っている。火器はなく、弓矢と剣と槍などしかない[2]
作品一覧

「ゾティーク」シリーズには16の短編、1つの戯曲[3]、および未完成原稿や草稿が存在する。以下は邦訳のあるもの。

ゾティーク(詩) / Zothique / The Dark Chateau And Other Poems, 1951

降霊術師の帝国 / The Empire of the Necromsncers / WT1932/09

拷問者の島 / The Isle of the Tortures / WT1933/03

死体安置所の神 / The Charnel God / WT1934/03

暗黒の魔像 / The Dark Eidolon / WT1935/01

エウウォラン王の航海 / The Voyage of King Euvoran / 1933年の私家版『二重の影その他の幻想』、WT1947/09(短縮版)[4]

地下納骨所に巣を張るもの / The Weaver in the Vault / WT1934/01

墓の落とし子 / The Tomb Spawn / WT1934/05

ウルアの妖術 / The Witchcraft of Ulua / WT1934/02

クセートゥラ / Xeethra / WT1934/12

最後の象形文字 / The Last Hieroglyph / WT1935/04

ナートの降霊術 / Necromancy in Naat / WT1936/07

プトゥームの黒人の大修道院長 / The Black Abbot of Puthuum / WT1936/03

イラロタの死 / The Death of Ilalotha / WT1937/09

アドムファの庭園 / The Garden of Adompha / WT1938/04

蟹の支配者 / The Master of Crabs / WT1948/03

モルテュッラ / Morthylla / 1953/03

順序は創元推理文庫『ゾティーク幻妖怪異譚』の収録順に則る。初出の出典も同書[1]。WTは『ウィアード・テイルズ』の略。ゾティークの小説16編は全てWT誌に掲載されている[4]
邦訳単行本

『ゾティーク幻妖怪異譚』
創元推理文庫大瀧啓裕訳。冒頭誌と全16編を収録。

『魔術師の帝国1 ゾシーク篇』ナイトランド叢書、安田均編・訳、荒俣宏訳、鏡明訳。冒頭誌と8編を収録、地図付き[5]

未訳

The Dead Will Cuckold You(死者が汝の妻を寝取るだろう)

戯曲。竹岡啓がサイトで私訳を公開している[6]。1951年に書かれたが、清書稿が行方不明となり、またスミスの手元にあった原稿も火災で欠損し、最終的にスミスは自力で内容を復元して、没後1963年に発表された[7]
ゾティークの地理.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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幾人かのアーティストによって地図が描かれているが、アーティストの想像によって補われた部分の多いものばかりである。今日に至るまで全てのストーリーと矛盾の無い、「完全」な地図は存在しない。単行本『魔術師の帝国』にも地図が掲載されている[5]
島々

ゾティークの西、東、南には島々が存在する。北方の地理ははっきりしない。
中央大陸

数々の領土や王国、都市が存在する。
失われた王国

人口の減り続けている世界であり、王国の興亡に伴い見捨てられた都市の廃墟などが存在する。
ゾティークの神々、魔神たち

ゾティークは多神教的な社会であり、多くの神々が信奉されている。いくつかは寺院や司祭をもった公然の信仰であるが、邪神も秘密裏に信奉されている。太古の時代にヒュベルボレオスムー、ポセイドニス(アトランティス)で信仰された神々が、はるかな時代を経て、異なる名前でゾティークへと戻ってきたということになっている。[8]
アリラ (Alila)
ウルアの妖術』で言及されている地獄の女王。邪悪全ての女神とされている。
ウェルガマ (Vargama)
最後の象形文字』に登場する。ゾティーク最強と称されるが、謎が多い。象形文字の記された書物を持っている。
オジュハル (Ojhal)
プトゥームの黒人の大修道院長』で言及される。処女の女神。
ゲオル (Geol)
エウウォラン王の航海』で言及される。大地の神。
タサイドン (Thasaidon)
悪の魔王。詳細はタサイドンを参照。頻出。
タモゴルゴス (Thamogorgos)
暗黒の魔像』で言及される。深淵の王。
ニオス・コルガイ (Nios-Korghai)
墓の落とし子』に登場する。彗星に乗って地上に飛来した魔物。クトゥルフ神話に取り込まれている。
バサタン (Basatan)
蟹の支配者』で言及される。海神。容姿は不明だが、呪具にはクラーケンが象られている。
モルディッギアン (Mordiggian)
死体安置所の神』に登場する。供物に死体を受け取る奇妙な神。クトゥルフ神話に取り込まれている。
ユクラ (Yuckla)
地下納骨所に巣を張るもの』で言及される。笑いを司るグロテスクな小神。その力は慈悲深いものとされている。
その他

日本では、クトゥルフ神話漫画『邪神伝説シリーズ』の第1話『ラミア』に登場する。
脚注[脚注の使い方]
注釈
出典^ a b 創元推理文庫『ゾティーク幻妖怪異譚』解説(大瀧啓裕)、437-438ページ。


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