ゾイドワイルド_ZERO
[Wikipedia|▼Menu]

『ゾイドワイルド』(ZOIDS WILD)は、2018年6月より発売が開始されたタカラトミー玩具プラモデル)「ゾイド」のシリーズ[1]。略称は「ZW」[2]
概要

2006年に終了した『ゾイドジェネシス』以来12年ぶりとなるゾイドプロジェクト。1983年から始まるゾイドシリーズの第3期と位置づけられる[1][3]

タカラトミーでは第2期の終了以後もハイターゲット(大人)向けの小規模なゾイドの企画は継続されていたが(ゾイド#2008年以降を参照)が、子供向けの本格的なシリーズ復活を2013年ごろから水面下で企画され始めた[4]。ゾイドワイルドの企画については同社のボーイズ事業部が手がけているが、旧1・2期に関わっていたスタッフも含めた3世代で開発が行われており[4]、第1期から携わる徳山光俊が担当するデザイン原案の原型は2016年10月ごろには進められていた[5]

ゾイドシリーズが丁度35周年を迎える2018年には、2月13日にタカラトミーの公式ウェブサイトに「Z」や「最獣要計画」というキーワードを掲げたティザーサイトが開設され[6][7]、同月15日に発売された『月刊コロコロコミック』2018年3月号に「プロジェクトZ起動!!!」という予告が掲載される。

同月27日に行われた発表会で登壇したタカラトミー社長小島一洋により、ゾイドワイルドシリーズが発表された。登壇した小島は、タカラトミーの強みについて「グローバルで展開して愛されるオリジナルIPを自社で創り出せること」であると話し、同社が世界に誇れるグローバルIPとしてトランスフォーマーベイブレードなどを挙げ、これら人気製品に続いて送り出すのが新生ゾイドシリーズのゾイドワイルドであると語っている[8][9]。2019年3月期決算説明会時点では、同社の中期経営計画の中でゾイドワイルドシリーズはトランスフォーマー・ベイブレードに続く第3の柱に据えている[10]

ゾイドワイルドは、10歳前後の児童層をメインターゲットとしつつ、かつて第1・2期のゾイドシリーズを体験した20・30代男性もサブターゲットに定めている[1]。特に、子供に向けてムーブメントを起こすことに注力されており[4]、メインターゲットである児童層の視野全体にゾイドの世界を見せるメディアミックス戦略を「360度マルチマーケティング」と銘打って、玩具(リアルムービングキット)・漫画アニメコンシューマーゲームアーケードゲーム(キッズアミューズメント)・スマホアプリなどを順次展開する[11]
主要なシリーズ展開

単発・短期間の企画などを除いたゾイドワイルドシリーズの基幹的なコンテンツ展開は以下のとおり。
2018年


4月 - 「漫画ゾイドワイルド」の連載開始(2019年5月連載終了)

6月 - 玩具(リアルムービングキット)発売開始

7月 - アニメ「ゾイドワイルド」の放送開始(2019年6月放送終了)

2019年


1月 - アミューズメント「ゾイドワイルド バトルカードハンター」の稼働開始

7月 - 「
進化ゾイドvs兵器ゾイド」というテーマを掲げた第2シーズンのリアルムービングキットの発売開始[12][13][14]

8月 - 漫画「ゾイドワイルド2」の連載開始

10月 - アニメ「ゾイドワイルドZERO」の放送開始(2020年10月放送終了)

基本設定と世界観

本シリーズは、これまでのシリーズとは全く異なる完全新作であり、新規設計の玩具に新しいギミックや仕様を盛り込んだだけでなく、世界観や登場人物などのストーリーも刷新[1][11]。従来のシリーズでは地球から遠く離れた惑星Ziを舞台にしていたのとは異なり、本作品では地球が舞台となり、ゾイドは数万年前に宇宙から飛来した1つのゾイドコアより誕生して生態系の頂点になったメカ生命体に位置づけられた[12]。ゾイドは、地中から発掘した骨(ボーン)に外装(アーマー)を取り付けて「復元」される設定となり、従来のゾイドが動物の形をしたメカ(兵器)であることを強調する「○○型(例:ライオン型)」という表記を改め、より動物的・図鑑的に「○○種(ライオン種)」と表記される[5]。ゾイドに取り付けるアーマーも、競走馬に使うブリンカーに着想を得て、地球人が野生生物としてのゾイドを調教するためのものをイメージしている[5]

本シリーズの2018年4月?2019年6月に展開された玩具・漫画・アニメ・公式アプリ[15]では、地球にあるワイルド大陸という架空の大陸を舞台とする。そして、ゾイドを戦闘兵器として運用するデスメタル帝国という勢力が支配圏を拡大して主人公やプレイヤーの敵として登場する。ゾイドに搭乗(騎乗)する人物は「ライダー」と呼ばれるが、特にアニメ『ゾイドワイルド』と公式アプリ内ゲームでは「ゾイドハンター」と呼称される。また、漫画『ゾイドワイルド』と前述のアニメではゾイドハンターたちのグループとしてフリーダム団やシュプリーム団が描かれるが、玩具では言及されていない(パッケージや付属ラベルなどにチームエンブレムは表記されている)。アプリではデスメタル帝国の侵略に抵抗する組織「リキッド」や、ゾイドを使う盗賊団などが登場している。

第2シーズンとされる2019年7月以降のシリーズ展開ではワイルド大陸やゾイドハンターなどの用語は登場していないが、アニメ『ゾイドワイルドZERO』は過去、漫画『ゾイドワイルド2』は未来を舞台としている[16][17]
リアルムービングキット

ゾイドワイルドシリーズで発売されるゾイドのプラモデルキットは、新たなデザインとギミックを取り入れたリアルムービングキット(組立式駆動玩具)と呼称される[11]。第1・2期のゾイドからさらに進?した特徴として「組み立てる」「動かす」「必殺技を出す」という流れで遊べる玩具となっている。

組み立てるという点では、新しいゾイドの「ゾイドは地中から発掘される」という設定に合わせて、「プラモデルを組み立てる者自身が、ゾイドの化石を発掘して復元する」ことをコンセプトとしている。これを演出するために、キット売り場を「ゾイド発掘基地」、ランナーから切り離された状態でパーツが封入された袋を「発掘パック」、組み立ての説明書を「復元の書」と名付けている[11]。この復元の書は、カール・K・グスタフなる人物が書き残した文書という体裁で、発掘パックを開封して図面でパーツを確認して組み上げる一連の作業を古代生物の復元作業に見立てている。逆に、組み立てるパーツ自体にはパーツ番号などの記載は無く、徹底して探して組み立てることにこだわった仕様とされる[18]。ランナーレスで組み立てやすくしたのは、プラモデルの製作経験が減った現在の子供ではニッパーの扱いにも苦戦する場合があることを配慮して、簡単に組み立てられるようにするためである。ただし、愛着が湧かないほどに簡単すぎないよう適度な難易度を考慮されている[4]。さらに、「プラモデルは組み立てるのが面倒くさい」と思われがちな欠点を無くして楽しくなるように工夫されていると評する声もある[19]。なお、ランナーレスにしたことにより、従来より製造コストは上がっているという[20]

今回のゾイドのサイズは1/35スケールとなる[11]。従来の1/72スケールから変更した理由として、ゾイドに乗る人物(ライダー)とメカ生命体であるゾイドの絆をより強く描くため、搭乗者がゾイドの顔の近くに跨がって乗っている様子がリアリティを持って感じられるサイズ感にするためである。そのため、搭乗者とゾイドが一体になって動くことを、人馬一体ならぬ「人機一体」と表現される[21][2]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:324 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef