ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー
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Solar Dynamics Observatory

所属NASA
公式ページ ⇒Solar Dynamics Observatory
国際標識番号2010-005A
カタログ番号36395
状態運用中
目的太陽の観測
計画の期間5-10年間
打上げ場所ケープカナベラル空軍基地
打上げ機アトラスV 401型
打上げ日時2010年2月11日
15:23:00 (UTC)
10:23:00 (EST)
物理的特長
本体寸法1.6 m x 1.6 m x 4.0m
最大寸法10 m
(太陽電池パドル翼端間)
質量3100 kg (うち燃料 1400 kg)
姿勢制御方式3軸姿勢制御
軌道要素
軌道円軌道(対地同期軌道
高度 (h)約36000 km
軌道傾斜角 (i)28.5度
観測機器
HMIHelioseismic and Magnetic Imager
EVEExtreme Ultraviolet Variability Experiment
AIAAtmospheric Imaging Assembly
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ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー (Solar Dynamics Observatory, SDO[1][2])は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げた太陽観測衛星である。打ち上げは2010年2月11日に行われ、5年以上にわたる太陽の継続観測を予定している。この衛星は、Living With a Star (LWS)プログラムの一環である[3]。LWSプログラムの目標は、日々の生活にも関連の深い太陽-地球系を科学的によりよく理解することである。またSDOの目的は、太陽大気を高い空間分解能・時間分解能で多波長観測し、地球と地球周辺の空間に対する太陽の影響を調査することである。SDOは、太陽磁場がどのようにして形作られ、そこに蓄えられた磁場のエネルギーがどのようにして太陽風や高エネルギー粒子、太陽光に変換されて地球周辺も含む太陽圏に放出されるのかを調査する[4]
概要

SDO衛星は、メリーランド州にあるNASAゴダード宇宙飛行センターで組み立ておよび打ち上げ前の試験がなされ、2010年2月11日にケープカナベラル空軍基地から打ち上げられた。5年3カ月にわたる軌道上での観測を予定しており、さらに5年間の追加運用も期待されている[5]。SDOは先に打ち上げられた太陽観測衛星SOHOの後継機と位置づけられることもある[6]

SDOは三軸姿勢安定方式を取る衛星であり、2枚の太陽電池パネルと2基のハイゲインアンテナを備えている。SDOには3つの観測装置が搭載されており、コロラド大学ボルダー校大気宇宙物理研究所(LASP)との協力で開発されたEVE(Extreme Ultraviolet Variability Experiment,極紫外線変動観測装置)、スタンフォード大学との協力で開発されたHMI(Helioseismic and Magnetic Imager)、ロッキード・マーチン太陽天体物理学研究所との協力で開発されたAIA(Atmospheric Imaging Assembly)である。観測されたデータは、地球に送られて直ちに利用可能な状態に置かれる[7]
観測機器
EVE

EVE(Extreme Ultraviolet Variability Experiment)は太陽の極紫外線放射を、既存の観測装置(例えばSOHOに搭載されたTIMED装置)より高い波長分解能、時間分解能、正確性をもって観測することができる。EVEでの観測により、極紫外線放射の変動と太陽磁場の変動との関係を説明する物理モデルが構築されることが期待される[8]

太陽から放射される高エネルギーの極紫外線は、地球の上層大気を熱し電離層を作る主要因である。太陽からの極紫外線放射は、瞬間瞬間の短時間変動とともに11年の太陽周期に沿った変動も存在する。この変動を理解することは、地球の大気の加熱や地球大気が人工衛星にもたらす抗力を理解すること、さらにGPS衛星も含む衛星通信の質を確保するうえでも重要である[9]

EVEはコロラド大学ボルダー校大気宇宙物理研究所のTom Woods博士が率いるチームによって製作され[5]、2007年9月7日にゴダード宇宙飛行センターに引き渡された[10]。EVEは、既存の装置に比べ、波長30ナノメートル以下の波長域における周波数分解能が7割、10秒ごとに測定を行うことで時間分解能も3割向上している[9]
HMI

HMI(Helioseismic and Magnetic Imager)はスタンフォード大学が主導して開発された観測装置であり、太陽で起きる様々な変動を観測し、日震学の手法を用いて太陽内部を研究するとともに磁場活動についても探査を行う。MHIの観測データにより、太陽変動の仕組みや太陽表面の磁場活動に関連する太陽内部の物理状態を調査することが可能になる。また、大きく広がった太陽コロナ内の磁場の変動に関する研究も可能である。このように、HMIは太陽内部の活動と外部の磁場活動の関連を調べることが大きな目標である[11]。HMIは太陽表面の磁場を継続観測するという面で、先に打ち上げられた太陽観測衛星SOHOの観測装置MDIの機能を拡張するものである[12]
AIA

AIA(Atmospheric Imaging Assembly)は、ロッキード・マーチン太陽天体物理研究所(LMSAL)によって製作され、紫外線及び極紫外線領域の複数の波長で高い空間分解能・時間分解能を持って太陽全面を撮影することができる。AIAには波長に応じて4つの望遠鏡が搭載されており、この望遠鏡はスミソニアン天体物理観測所によってつくられたものである[13]

AIA 観測波長スペクトル源 [14]観測する太陽大気特性温度
白色光 (450 nm)連続光光球5000 K
170 nm連続光温度最低層、光球5000 K
160 nmC IV + 連続光遷移層、光球上部105 and 5000 K
33.5 nmFe XVI活動領域コロナ2.5×106 K
30.4 nmHe II彩層、遷移層50,000 K
21.1 nmFe XIV活動領域コロナ2×106 K
19.3 nmFe XII, XXIVコロナ、フレア領域の熱いプラズマ1.2×106 and 2x107 K
17.1 nmFe IX静穏領域コロナ、遷移層上部6.3×105 K
13.1 nmFe VIII, XX, XXIIIフレア領域4×105, 107 and 1.6×107 K
9.4 nmFe XVIIIフレア領域6.3×106 K

通信SDOのミッションパッチ

SDOは、2基のハイゲインアンテナを使って科学データをKバンドで、2基の全方向性アンテナを使ってテレメトリーデータをSバンドで、それぞれ地球に送信する。地球局はニューメキシコ州ホワイトサンズ・ミサイル実験場に建設された2基のSDO専用18mパラボラアンテナである。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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