ソーラーアナログは、太陽に似た恒星の分類である。太陽との類似性が高いものをソーラーツイン、比較的低いものをソーラータイプと呼ぶ。
惑星の居住可能性で言及されている適切な恒星系の基準のひとつである。 太陽との類似性による3つのカテゴリの定義は天文観測技術の進歩を反映したものである。まず、ソーラータイプの定義が可能となった。ついで計測技術の精度が向上し表面温度等のディティールを高い精度で観測可能になったことでソーラーアナログを定義できるようになり、さらに技術の進歩によって太陽との一致性が非常に高いカテゴリとしてソーラーツインが定義されるようになった。 太陽との類似性は、いくつかの物理量(例えば色指数から読み取れる表面温度)を、唯一表面温度がはっきりしている恒星である太陽と比較することで判定できる。太陽と似ていない恒星についてはクロスチェックが行えない[1]。 広い意味で太陽に似ている恒星である。これらは 色指数 (B-V) が0.48から0.80の間にある主系列星である。太陽の色指数 (B-V) は0.65である。 スペクトル型を用いて分類する場合にはF8VからK2Vにある主系列星とする。この場合は色指数 (B-V) は0.5から1.00の範囲となる。 ソーラータイプの恒星は自転速度と彩層活動(カルシウムのH線、K線など)、そしてコロナ活動(X線放射など)に高い相関がある。この相関から、主系列期にあるソーラータイプ恒星の、磁気減速による自転速度低下がその年齢を示す。Mamajek & Hillenbrand (2008)[2] は太陽から16パーセク内に存在する108のソーラータイプ(F8V-K2V)主系列恒星について彩層活動に基づいて(カルシウムのHおよびK線計測により)年齢推定を行った。 下の表は今日の観測に基づく、50光年以内に存在するソーラータイプ恒星のうちソーラーアナログの基準をほぼ満たすもののサンプルである。 ソーラータイプ恒星のサンプル名称座標[3]距離[3] 光学観測上、以下の条件を満たす太陽に似ている恒星である。 太陽との表面温度差500K以内(およそ5,200Kから6,300K)。金属量が太陽の50%以上200%以下。太陽系形成時と類似した原始惑星系円盤が形成されるための条件。公転周期10日程度、あるいはそれ以下の近接伴星が存在しないこと。このような伴星は恒星の活動に影響を与える。50光年以内のソーラーアナログで、ソーラーツインの条件に当てはまらないもののリストを太陽から近い順で、以下に示す。 名称座標[3]距離[3]
太陽との類似性
ソーラータイプ
(光年)スペクトル分類[3]光球面温度
(K)金属量
(dex)惑星数Notes
赤経赤緯
くじら座τ星 01h 44m 04.1s?15° 56′ 15″11.9G8V5,344?0.525[4]
エリダヌス座ο2星 A 04h 15m 16.3s?07° 39′ 10″16.5K1V5,126?0.310[4]
くじゃく座δ星 20h 08m 43.6s?66° 10′ 55″19.9G8IV5,604+0.330[5]
HR 7722 = グリーゼ785 20h 15m 17.4s?27° 01′ 59″28.8K0V5,166?0.042[5]
グリーゼ86 A 02h 10m 25.9s?50° 49′ 25″35.2K1V5,163?0.241[4]
うお座54番星 00h 39m 21.8s+21° 15′ 02″36.1K0V5,129+0.191[6]
HD 14412
HD 172051
ヘルクレス座72番星 17h 20m 39.6s+32° 28′ 04″46.9G0V5,662?0.370[6]
HD 196761 20h 40m 11.8s?23° 46′ 26″46.9G8V5,415-0.310[5]
おおかみ座ν2星 15h 21m 48.1s?48° 19′ 03″47.5G4V5,664?0.343[5]
ソーラーアナログ
(光年)スペクトル分類[3]光球面温度
(K)金属量
(dex)惑星数Notes
赤経赤緯
ケンタウルス座α星 A 14h 39m 36.5s?60° 50′ 02″4.37G2V5,847+0.240[7]
ケンタウルス座α星 B 14h 39m 35.0s?60° 50′ 14″4.37K1V5,316+0.251[7]
へびつかい座70番星 A 18h 05m 27.3s+02° 30′ 00″16.6K0V5,314?0.020[8]