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ソード&サンダル映画(剣とサンダル、Sword and sandal / Pepla, 複数形:peplum, ペプラム)は、聖書や古典古代(Classical antiquity)の時代を舞台とし、神話や歴史の物語に基づくがおおまかで、不自然な筋を持つ冒険映画またはファンタジー映画のこと。古代ギリシア・ローマ、あるいは同時代の周辺の文化(古代エジプト、アッシリア、エトルリア、ミノア文明)の歴史・神話に基づいたほとんどの映画は「ソード&サンダル」の叙事詩的映画(Epic film)である。このジャンルの映画が多く製作された時代は1958年から1964年及び1980年代だが、2000年以降、CGの普及によりまた作られはじめた。 広義には、『ベン・ハー』、『クレオパトラ』、『タイタス』、『グラディエーター』、『キング・アーサー』、『十戒』といった歴史劇(Period piece)もこのジャンルに含めることができる。その意味においては、古くからある映画ジャンルである。たとえば、最初の『ベン・ハー(Ben Hur
定義
しかし一般には「ソード&サンダル」映画という言葉は、剣闘士や聖書・神話を題材にした、プロのボディビルダーが主役を演じることの多い、低予算のイタリア映画を指す。このジャンルは、マカロニ・ウェスタンが作られる前の1960年から1964年のイタリア映画産業の人気ジャンルだった。マリオ・バーヴァやセルジオ・レオーネといったイタリアの著名な映画監督はこのジャンルから出た。 このジャンルで人気のあるテーマは剣闘士や、ヘラクレス、ゴライアス、サムソン、ウルスス(ウルサス、英語よみ:アーサス、Ursus
典型的なテーマ
ソード&サンダル映画の多くは、お決まりのプロットを持っていた。それは2人の女性がヒーローをめぐって恋の争いをするというもので、一方はヒーローの助けを求める純真なDamsel in distress(囚われの姫君)、もう一方はファム・ファタールとしてのヒーローの主人である邪悪な女王である。ほとんどのソード&サンダル映画に出てくるシーンには、ベリーダンスやそれに似たバレエがあり、それは狂乱の描写を意味し、また悪役側の(キリスト教から見て)異教的なデカダンスを強調するものだった。不自然なプロットに、オーバーダビングした台詞、主役のボディビルダーの未熟な演技、伝説の生物の描写としては何ともお粗末なSFXといったすべての要素は、現在の視点から見れば、キャンプさを作品に与えている。しかし、当時の一般の観客にとっては多くのソード&サンダル映画は広く楽しまれ、製作価値もあった。 1957年から1965年にかけて、19作の『ヘラクレス』シリーズが製作された。ヘラクレスを演じたのは、スティーヴ・リーヴス、ゴードン・スコット、アドリアーノ・ベッリーニ(チラシでは「カーク・モリス
ヘラクレス・シリーズ
ヘラクレス(1958年)、原題:Le Fatiche di Ercole(ヘラクレスの功業)、アメリカ公開題:Hercules、主演:スティーヴ・リーヴス
ヘラクレスの逆襲(1959年)、原題:Ercole e la regina di Lidia(ヘラクレスとリディアの女王)、アメリカ公開題:Hercules Unchained、主演:スティーヴ・リーヴス
豪勇ゴライアス(1960年)、原題:La Vendetta di Ercole(ヘラクレスの復讐)、アメリカ公開題:Goliath and the Dragon、主演:マーク・フォレスト
ヘラクレス対ハイドラ(1960年)、原題:Gli Amori di Ercole(ヘラクレスの恋人たち)、アメリカ公開題:Hercules Vs The Hydra、主演:ミッキー・ハージティ
アトランティス征服(1961年)、原題:Ercole alla conquista di Atlantide(アトランティス征服のヘラクレス)、アメリカ公開題:Hercules and the Captive Women, aka Hercules and the Haunted Women、主演:レグ・パーク
ヘラクレス 魔界の死闘(1961年)、原題:Ercole al centro della terra(地球の中心のヘラクレス)、アメリカ公開題:Hercules in the Haunted World、主演:レグ・パーク、監督:マリオ・バーヴァ
Maciste contro Ercole nella valle dei guai(マチステ対悩みの谷のヘラクレス)(1961年)、アメリカ公開題:Hercules in the Vale of Woe、主演:カーク・モリス
Ulisse contro Ercole(ユリシーズ対ヘラクレス)(1962年)、アメリカ公開題:Ulysses Vs. The Son of Hercules、主演:マイク・レイン
ヘラクレスの怒り(1962年)、原題:La Furia di Ercole(ヘラクレスの怒り)、アメリカ公開題:The Fury of Hercules, aka The Fury of Samson、主演:ブラッド・ハリス
ヘラクレス・サムソン・ユリシーズ(1963年)、原題:Ercole sfida Sansone(ヘラクレス対サムソン)、アメリカ公開題:Hercules, Samson and Ulysses、主演:カーク・モリス(ヘラクレス役)
Ercole contro Molock(ヘラクレス対モロク)(1963年)、アメリカ公開題:Hercules Vs. the Moloch, aka The Conquest of Mycene、主演:ゴードン・スコット
Ercole l'invincibile(無敵ヘラクレス)(1964年)、アメリカ公開題:Son of Hercules in the Land of Darkness、主演:ダン・ヴァディス
il Trionfo di Ercole(ヘラクレスの勝利)(1964年)、アメリカ公開題:Hercules Vs. The Giant Warrior, aka Hercules and the Ten Avengers、主演:ダン・ヴァディス
Ercole contro Roma(ヘラクレス対ローマ)(1964年)、アメリカ公開題:Hercules Against Rome、主演:アラン・スティール
Ercole contro i figli del sole(ヘラクレス対太陽の息子)(1964年)、アメリカ公開題:Hercules Against the Sons of the Sun、主演:マーク・フォレスト
Ercole contro i tiranni di Babilonia(ヘラクレス対バビロンの暴君)(1964年)、アメリカ公開題:Hercules and the Tyrants of Babylon、主演:ロック・スティーヴンス
Ercole, Sansone, Maciste e Ursus: gli invincibili(ヘラクレス、サムソン、マチステ、ウルスス:無敵の者たち)(1964年)、アメリカ公開題:Samson and the Mighty Challenge、主演:カーク・モリス(ヘラクレス役)
Hercules and the Princess of Troy, aka Hercules vs. the Sea Monster(1965年)、主演:ゴードン・モリス - 実現しなかったチャールズ・バンド製作のTVシリーズのパイロット版として作られたイタリア=アメリカ合作の45分の映画。
Sfida dei giganti(巨人たちの挑戦)(1965年)、アメリカ公開題:Hercules, the Avenger、主演:レグ・パーク - レグ・パーク主演の2本のヘラクレス映画のストック・フッテージのほとんどを使って構成されたもので、明らかにアメリカでのTV公開のために作られたもの。