ソンピョン
種類トック
発祥地朝鮮
提供時温度15-25 °C
主な材料米粉・松葉・塩・ごま油
その他お好みで胡麻[注釈 1]・小豆・大豆・緑豆・栗
食物エネルギー
(8あたり)220 kcal (921 kJ)[1][2]
その他の情報秋夕に関する食べ物
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ソンピョン
各種表記
ハングル:??
漢字:松? (松餠 / 松?)
発音:ソンピョン
日本語読み:しょうへい
RR式:songpyeon
MR式:songp'y?n
IPA:[so?.p?j?n]
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ソンピョン(朝鮮語: ??; 松? / 松?)は、米粉で作られる伝統的な韓国の食べ物である[3][4]。朝鮮の秋の収穫祭である秋夕の期間に食べられる小さいトック(餅あるいは団子)の一種で、秋夕の時、新穀で作る名節トックである[5]。粳粉を湯ごねして[4]程よい大きさにちぎり、そこに胡麻・小豆・大豆・緑豆・栗などの餡を入れ、半月や貝の形にこね上げ、松葉を敷いた蒸し器(伝統的には陶器の蒸し釜[注釈 2])で蒸して作る[5]。伝統的な朝鮮文化の象徴の一つとして有名である。最も早いソンピョンの記録は、高麗時代に遡る。 ソンピョンは、典型的には、甘味または半甘味の餡、例えばダイズ・ササゲ・クリ・ナツメ・アズキ・胡麻[注釈 1]またはハチミツを包む半月型をしたトックである[6]。敷いた松葉の層の上で蒸されるので、生の松葉特有の味と芳香が与えられ[3][6]、表面には松葉の跡が付く[3]。ソンピョンの名は松の葉を使うことに由来する[6][3]。「ソン(?)」は漢字「松」の朝鮮漢字音で松を意味する[注釈 3]。それゆえソンピョンは、英語では“pine cake”と訳される[6][注釈 4]。 ソンピョンは、朝鮮の家庭の秋夕の祝いにとって必要不可欠なものである。伝統的に、ソンピョンは、新しく収穫されたばかりの米を使って朝鮮の家庭で作られ、祖先を記念する儀式である茶礼(チャレ: ??, 茶禮)の間、豊かな収穫への感謝として秋夕の朝に祖先に供えられる[6]。ソンピョンは他の家族の一員や親しい近隣住民にも贈られる。そのような贈り物は、敬意、そして家族内の不運を避けるための努力の印と見なされる[7]。 ソンピョンは、収穫されたばかりの果物やサトイモを含めて、他の食べ物と共に膳[注釈 5]の上に供えることにより、その年の収穫への謝意を表するのに使われる。これら3つの食品はそれぞれ、天の果実・地の果実・地下の果実を象徴する[8]。 特に、一番初めに収穫した糯米で作った“早稲ソンピョン”は茶礼(チャレ)膳[注釈 5]をしつらえるべき時のみ墓所に供える[5]。ソンピョンの種類には、色彩によって白ソンピョン・よもぎソンピョン・縫い目ソンピョンなどがあり[5]、中に入れる餡には枝豆・小豆粉・煎り胡麻・摺り胡麻・大豆粉・栗・棗餡・松の実などがある[6][5][3]。また、変わり種として、松の皮(内皮)を入れて作った松肌(ソンギ)ソンピョンがある[4]。ソウルでは、ソンピョンを貝のようにこね上げるが、黄海道・江原道等の地では指の跡を付けて大きく作る[5]。後述の#地域的な違いに詳しくあるように幅広い地域差がある。 ソンピョンは、月と願い事を表すとも言われ、作り且つ食べながら願い事を唱える理由がそこにある[6]。多くの物語が、なぜソンピョンが満月よりむしろ半月の形であるのかを説明する。最も一般的に信じられているのは、朝鮮人の祖先たちが、丸い形の満月は欠けるだけだが、半月は満ちてゆくと考えたからだという。これは豊かさと繁栄の印と考えられる[8]。 なお、これに関して一説に、百済最後の王義慈王の時、王の前に「百済が滅びる」と語る鬼火が現れ、鬼火が消えた所を掘らせたところ、そこから「百済は満月であって新羅は半月である」という文字が記された亀が現れた。王はその意味するところが分からなかったので、占い師に占わせると、「満月はいずれ欠けるが、半月は満ちていく」??つまり百済は没落し、新羅は繁栄するという意味だと解釈したが、不快に思った王は占い師を処刑した。そして、百済は充実して繁栄し、新羅は半ばまで満ちただけで衰退するという意味だと言った臣下の言に従った。しかし、次第に噂が庶民の間に広がるようになり、新羅の人々は国の繁栄を願いつつ、半月型にトックを作りはじめたが、これがソンピョンの形となった、というものがある[4]。 朝鮮の古い口伝では、美しい形のソンピョンを作った人は、良い配偶者か美しい赤ん坊を授かる、という[9]。 『東国歳時記
解説
文化