スコルダトゥーラ(イタリア語:scordatura)とは、変則調弦あるいは特殊調弦とも呼ばれ、ヴァイオリン属やリュート・ギターなどの弦楽器において、楽器本来の調弦法とは違う音に調弦(チューニング)することである。バロック時代においては珍しくない奏法であったが、弦楽器の演奏法が確立された古典派以降では、例外的な奏法となった。主に作曲者の指示により普通とは違う楽器の響きを出したい時などに、スコルダトゥーラを行う。一般に、スコルダトゥーラした楽器のための楽譜は、楽譜通り演奏すると求める音が出るように書かれるため、移調楽器となる。
スコルダトゥーラを用いた曲の例
ヴァイオリン「ヴァイオリン」も参照
パガニーニ作曲 ヴァイオリン協奏曲第1番ソロのヴァイオリンは、初版ではすべての弦を半音ずつ高く調弦した(本来g-d1-a1-e2に対しas-es1-b1-f2)ヴァイオリンで演奏する。ソロパートはニ長調で書かれているが、「譜面どおり」演奏すれば変ホ長調となり、フラット系の管楽器と合わせ易くなるが、現在ではほとんどニ長調の曲として演奏される。なお、この問題に関しては、通常のヴァイオリンの調弦では変ホ長調を演奏するのはニ長調よりもはるかに難しいので、パガニーニが故意に変ホ長調で楽譜を出版し、自分があたかも変ホ長調を通常の調弦で演奏しているかのように装って技巧を誇張し、いわば人々を欺いていたという説もある(玉木宏樹1998『音の後進国日本』p.183)。
サン=サーンス作曲 交響詩「死の舞踏」ソロヴァイオリンはE線を半音低くしてg-d1-a1-es2と調弦される。この曲で繰り返し現れるA-Esの重音がともに開放弦となり、演奏しやすくまたよく響くようになる。死神を表現した減五度の異様な響きを最大限活かすための工夫である。 q
マーラー作曲 交響曲第4番2楽章において、すべての弦を全音(長2度
特殊な例として、最低弦以外の3弦をソロチューニングとした楽譜がある。(シューベルトのアルペジョーネソナタのコントラバス編曲版)
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