ソルベー法
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ソルベー法 (Solvay process) とは、ガラスの原料である炭酸ナトリウムの工業的製法。電気分解が必要ないため、低コストで生産できる方法である。副材料のアンモニア二酸化炭素を回収し再利用できるといった特徴も持っている。1861年ベルギー化学者エルネスト・ソルベーが考案したことがソルベー法の名称の由来であり[1]1867年に実用化された。原料としてアンモニアを用いることから、アンモニアソーダ法とも呼ばれる[1]電離しにくい二酸化炭素をアンモニア水で電離させるのがこの方法の主要な部分である。
目次

1 化学的作用

2 工業的歴史

3 出典

4 参考文献

化学的作用 ソルベー法のフローシート

原料として石灰石炭酸カルシウム)・アンモニア・食塩塩化ナトリウム)・を用いる。工程としては、食塩水をアンモニア塩基性条件下で二酸化炭素と反応させて炭酸水素ナトリウムとし(炭酸化)、それをV焼することで炭酸ナトリウムを得る本工程と、反応に必要な二酸化炭素を得るために石灰石をコークスと共に焼成する工程および、それぞれの工程で副生した塩化アンモニウムと水酸化カルシウムと反応させてアンモニアとして回収するアンモニア蒸留工程の3工程よりなる[1]

まず石灰石をコークスとともに石灰炉で1000℃に加熱して二酸化炭素を発生させる[1]。この方法は大量の二酸化炭素が必要な時に用いられる。 CaCO 3 ⟶ CaO   + CO 2 ↑ {\displaystyle {\ce {CaCO3->CaO\ +CO2\uparrow }}} C   + O 2 ⟶ CO 2 ↑ {\displaystyle {\ce {C\ +O2->CO2\uparrow }}}

次に食塩を水に飽和させ、そこへアンモニアを十分に溶かした後に二酸化炭素を通じると、溶解度の低い炭酸水素ナトリウムが沈殿する。ここで発生した塩化アンモニウムは後述のアンモニア蒸留工程に回され、水酸化カルシウムと反応させてアンモニアとして再回収される。 NaCl   + H 2 O   + NH 3   + CO 2 ⟶ NH 4 Cl   + NaHCO 3 ↓ {\displaystyle {\ce {NaCl\ +H2O\ +NH3\ +CO2->NH4Cl\ +NaHCO3\downarrow }}}

沈殿した炭酸水素ナトリウムを取り出し、熱分解して炭酸ナトリウムを得る。ここで発生した二酸化炭素は回収して先ほどの工程に戻すので、一部が再利用される。 2 NaHCO 3 ⟶ Na 2 CO 3   + H 2 O   + CO 2 ↑ {\displaystyle {\ce {2NaHCO3->Na2CO3\ +H2O\ +CO2\uparrow }}}

最初に生成された生石灰は水と反応させ、消石灰とする。 CaO   + H 2 O ⟶ Ca ( OH ) 2 {\displaystyle {\ce {CaO\ + H2O -> Ca(OH)2}}}

消石灰と塩化アンモニウムを反応させるとアンモニアが回収され、2段目の工程に再利用できる。すなわち理論上、アンモニアは全て回収され消耗しない。 Ca ( OH ) 2   + 2 NH 4 Cl ⟶ CaCl 2   + 2 H 2 O   + 2 NH 3 ↑ {\displaystyle {\ce {Ca(OH)2\ +2NH4Cl->CaCl2\ +2H2O\ +2NH3\uparrow }}}

上記の反応を行わず、得た塩化アンモニウムを肥料として利用することもある[2]。ただしこの場合アンモニアは回収されず、商品に含まれて出荷される。また塩化カルシウムは中性の乾燥剤除湿剤としても使われる。

この反応を一つにまとめると 2 NaCl   + CaCO 3 ⟶ CaCl 2   + Na 2 CO 3 {\displaystyle {\ce {2NaCl\ + CaCO3 -> CaCl2\ + Na2CO3}}}

となる。 この反応は直接には起こらない(炭酸カルシウムは難溶であり沈殿するから、逆反応が極めて起こりやすい)。


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