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ソリッドステートドライブ(英: solid state drive、SSD)とは、集積回路を用いた補助記憶装置の一種である。シリコンドライブ、半導体ドライブ、メモリドライブなどとも呼ばれる。主に記憶素子にフラッシュメモリが用いられており、PC上からは通常のディスクドライブとして認識される。
HDDの代わりに盛んに導入されているのは主にフラッシュメモリを用いたもののことである。なお「SSD」は広義には、フラッシュメモリ方式以外にも、メモリにRAMを用いたもの(ハードウェア方式のRAMディスク)を用いたものも指しうる。本項では特に断りのない限り、2021年時点で一般的な、前者のフラッシュメモリを用いたデバイスについて説明する。 ハードディスクドライブ (HDD) が機械的な原理で動作しディスクに磁気的に記録するためにディスクを回転させヘッドと呼ばれる部分を物理的に移動させているのに対し、SSDはデータ記録原理が根本的に異なり半導体で行っているので、振動に強く、データへのアクセス時に音がせず、ハードディスクドライブよりも消費電力が少なく、軽量というメリットのみならず[1]、データの転送速度もシリアルATAで内部接続されたHDDの概ね5倍程度というメリットもある(2024年時点。詳細な数値の比較は後述)。 SSDのデメリットや課題としては、ひとつは同じブロックへの書き換え可能回数は数万回程度という制限があることであり、これに関しては各SSDメーカーはそのコントローラーを工夫することで、SSDメモリー全体を均等に書き換えるようにし、特定のブロックばかりが繰り返し書き換えられないようにするなどの対策をしている[1]。またフラッシュメモリ方式のSSDは、根本原理がフラッシュメモリであるので、フラッシュメモリそのものの欠点があり、記憶が保持される年数が決して永久ではなく、MicroSDカードなどのフラッシュメモリ類が全く通電せずに引き出しの中などに放置しておくと7年から8年程度で記憶のごく一部から徐々に蒸発するように消えてゆくのと同様に、(最近は5年程度はほぼ大丈夫なように改良されてきているが)SSDもあまりに長い間通電せずに放置しておくと、徐々に記憶の一部から蒸発するように消えてゆくという欠点(宿命)がある(したがって、学術目的などで、大学図書館や美術館のバックヤードのキャビネット内などに保管・放置してデータを完全な状態で10年後や20年後のために長期保存する目的ではSSDは使えない)。特に、書き換え可能回数に達したSSDを電源をOFFにした状態で40°C以上の状態で放置してしまうと、蒸発が始まる時限が極端に短くなり、わずか数か月程度でデータの一部が消えはじめる[2]。 さまざまなインタフェースのものがある。PC内蔵用ではシリアルATA (SATA)、M.2、PCI Expressのものなどがあり、外付け用ではUSBやThunderboltのものがある。 さまざまな外形のSSDが販売されている。 転送速度は、たとえば2009年の第二四半期の東芝製SSDでは、読み出しが200MB/s、書き込みが240MB/sで、HDDの約5倍となっていた。2014年にはSATA 6Gbpsのほぼ上限で転送できるものも開発された[3]。インターフェースにM.2及びNVMeが採用されてからはさらに高速化の一途をたどり、2016年には読み出し3,500MB/s[4]、PCI Express Gen4となった2019年には5,000MB/s[5]、翌2020年には7,000MB/sに達している[6]。これらは研究室レベルの発表ではなく、2018年時点で読み書きともに2,000MB/sを超えるNVMe製品も広く使われている[7]。 同様にフラッシュメモリを使っているものとしてUSBメモリ、メモリカード等がある。また、USBメモリと同様の形状をしたSSDも存在する。PC上でリムーバブルディスクとして認識されるものは通常SSDには分類されない[8]。 eMMCもSSDと同様にフラッシュメモリを使用した記憶装置であり、コンピュータ上ではどちらも通常のディスクとして認識される。2022年現在、速度やインタフェースの違いなどで両者は販売店などでは区別されている[9][注釈 1]。 HDDとフラッシュメモリの双方の長所を取り入れたもの、つまりHDDをベースにフラッシュメモリをキャッシュとするものは、あくまでSSDではなく、ハイブリッドHDDと分類される。 また、ソフトウェアによるエミュレートもあくまで別物であり、SSDには分類されない。 データアクセスが高速で、PC類の電源投入時のOS類の起動に必要な時間が数分の一にまで短縮されるので、それを求めてさかんに導入されている。SSDの価格性能比が向上しHDDに近づくにつれ、ストレージのHDDからSSDへの転換は、2010年代後半から2021?2022年ころまでにかなり進んだ。 2010年代後半には既存のPC(ユーザがすでに使用しているPC)の内蔵HDDをSSDに換装するということが広く行われるようになった。 PCの新規販売(新品販売)では、2019年時点ですでに、購入時に「SSDだけ」か「HDDだけ」のどちらかを選択して購入する方式のPCや、HDDとSSDを同時に搭載するPC[10]などが販売されていた。2022年現在では世界的にシェアの高いHPやDellの直販サイトでは「SSDだけ搭載」が第一選択肢になっている[11][12]。
概要
PC内蔵用、SATA接続、2.5インチのSSD。「外付けSSDケース」類に入れてUSB接続の外付けSSDとして使うこともできる。
PC内蔵用、M.2コネクタ、NVMe 2280規格のSSD
PCI Expressの拡張カード型のSSD
USB接続の外付けSSD
ポータブルSSD
インタフェース
外形
ハードディスクドライブに合わせたもの
ハードディスクドライブの形状に合わせたSSDは既存のデバイスに使用できるため、安価な置き換え手段となる可能性がある。
基板状のもの
ノートPCやタブレットなどスペースの制約があるデバイスに内蔵するためにいくつかの規格が標準化されており、M.2やmSATAのものがある。
BGAパッケージ
BGAパッケージのSSDはそのデバイスのシステムボードに直接はんだ付けされる。このような組む込みタイプのものはeMMCやeUFS
持ち運びを想定したもの
拡張カード型のもの、USB接続のSSDでは(上に写真も掲載した、ストラップを通して首にぶらさげられるような、ケースに穴のついた)ポータブルSSDもあり、さらに(写真は未掲載だが)USB接続の「スティック型SSD」というUSBスティックメモリをひとまわり大きくした程度のかなり小型のものも2020年以降販売されている(バッファロー製。500GBや1TBなど)。
転送速度
その他の記録媒体との区別
利用される状況
Size:99 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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