ソマリ語
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ソマリ語

af Soomaali
話される国
ソマリア
ソマリランド
エチオピアソマリ州
ジブチ
 ケニア 北東部
地域東アフリカアフリカの角
民族ソマリ族
話者数1500 - 2100万
言語系統アフロ・アジア語族

クシ諸語

東クシ諸語

ソマリ語



表記体系ラテン文字
公的地位
公用語 ソマリア
 ソマリランド
統制機関ソマリ地域言語アカデミー(英語版)
言語コード
ISO 639-1so
ISO 639-2som
ISO 639-3som
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ソマリ語(ソマリご、ソマリ語:af Soomaali)は、アフロ・アジア語族クシ諸語に属するソマリ族言語

ソマリ族の主な居住地であるアフリカ東部の「アフリカの角」、すなわちソマリアソマリランドエチオピアソマリ州ジブチケニア北東部で話される。しかしソマリア内戦により話者が世界中に離散したため、正確な話者数は不明である。移民を含めて1500万から2100万人いると推計される。

文法的には膠着語に分類される。また主題優勢言語にも数えられ(ただし動詞人称変化がある)、日本語の「は」に相当する主題指示語“baa”“ayaa”“waxaa”が用いられる。
話者数

ソマリ語の正確な話者数はよく分からない。ソマリア国内に778万人おり、全世界で1265万人いるとする報告がある[1]。一方、オランダのユトレヒト大学の調査によると、ソマリ族の推定人口は1000万人から1500万人である[2]。ソマリア国外の話者の推計は難しいが、それを合わせると1000万人から1600万人程度と思われる。
ソマリ語を公用語とする国・地域

ソマリ語はバーレ大統領時期の1972年にソマリアの公用語と定められ、標準ソマリ語(Standard Somali)が定められ、ラテン文字表記法が決められた。1990年代にソマリア内戦が始まると、国内にソマリランドプントランドなどの事実上の独立地域が作られたが、そこでの公用語もソマリ語とされている。

ソマリア

ソマリランド

エチオピアソマリ州

地理的分布

ソマリ語はソマリアジブチエチオピアイエメンケニアに住むソマリ族および祖国を離れて住むソマリ族が使っている。
方言ソマリ族の分布

ソマリ語の方言は大きく分けて3つある。北部方言、ベナーディル方言(Benaadir)、マーイ方言(Maay)である。北部ソマリ語(北中部ソマリ語とも)は、標準ソマリ語の元にされた言語である。ベナーディル方言(沿岸ソマリ語)はベナディル海岸(Benadir Coast)のカダレ(Cadale)からメルカのあたりで使われており、首都モガディシュや、海岸から少し離れたところでも使われている。標準ソマリ語にはベナーディル方言の要素も取り入れられている。

マーイ方言はソマリア南部に住むラハンウェイン氏族 (Rahanweyn) の支族ディジル氏族 (Digil) やミリフレ氏族 (Mirifle) の方言であるが、かなり特殊である。最近の調査によると[3]、マーイ方言は他の大多数のソマリ族には理解できないものであった。マーイ方言の特徴は、いくつかの子音が無いことである。標準語で/?/の音がマーイ方言では/r/になることが多い。

マーイ方言以外にも、ジーボ方言(Jiido)、ダバレ方言(Dabare)、ガッレ方言(Garre)、中央ツーニ方言(Central Tunni)などはソマリ語方言として標準語とかなりの差がある。特にジーボ方言は特殊性が高い。
母音と子音詳細は「ソマリ語の音韻論」を参照

ソマリ語には22の音素があるが、国際音声記号で言う喉頭蓋音だけは無い。基本の母音は5つであり、それぞれの母音に舌の前後(前方舌根性)、音の長短があるのでそれぞれを別の音と数えると20になる。また、声調にも高い、低い、下がるの3種がある。
文法詳細は「ソマリ語の文法」を参照

ソマリ語は膠着語のひとつである。語形変化も多く、名詞にがある。他の言語との大きな違いは、人称変化の種類に富み、対象や状況によってさまざまに変化することである。名詞の性も、単数と複数とで変化する場合がある。
語彙

ソマリ語には借用語が多く、古くはアラビア語ペルシア語から借用しており、近年では旧宗主国英語イタリア語からの借用が多い。ソマリ族はイスラーム教スンナ派の信仰者がほとんどであり、アラビア語からの借用は特に多い。例えばソマリ語では扉を albaabka と言うが、これはアラビア語 ????? al b?b からの借用である。

また、標準ソマリ語が作られた際に、教育目的で、多くの新語が作られた。
表記法
概要詳細は「ソマリ語アルファベット(英語版)」を参照14世紀、アジューラーン王国時代のソマリ語とアラビア語が併記されたタブレット

元々ソマリ語にも独自の表記法があったが、それは長い間に失われ[4]、近年では他言語の表記法が借用されている。もっとも広く使われているのがラテンアルファベットを使う方法であり、1972年10月にはバーレ政権が正式に採用を決定した[5]。ラテンアルファベットを使う表記法では、p, v, z以外の全ての文字を使用する。正式な表記法の開発には言語学者のシャイア・ジャマ・アフメド (Shire Jama Ahmed) の貢献が大きいと考えられている。ダイアクリティカルマークのような追加の記号は、声門破裂音をアポストロフィで表す以外には使われない。また、二重音字はDH、KH、SHの3種がある。前舌母音後舌母音の違いは表記上は区別されない。文の始めと固有名詞の1文字目は大文字が使われる。

この方法が採用されるまで、ソマリ語の表記をどのようにするのかの議論があった。議論は1960年から始まり、9年間続いた。表記法を考案するよう指名された言語学者は12人に上る。最終的に、シャイア・ジャマ・アフメドの案が採用された。シャイア・ジャマ・アフメドは自ら自身の考えた表記法の解説書Af Soomaaliを出版している。アフメドは、ラテンアルファベットはアラビア文字に比べてシステムが単純なこと、これまでにもソマリ語表記に使われてきたこと、ラテンアルファベットであればタイプライターなどいろいろな装置がそのまま使えることなどからこの方法が実用的であると提案した[6]

アフメドの記法が定着する前にも広く使われたソマリ語の表記法はあった。特にアラビア文字を使う方法はよく使われ、そのひとつにワダード記法 (Wadaad's writing) がある。20世紀になると、オスマン・ユスフ・ケナディッド (Osman Yusuf Kenadid) によるオスマニャ文字 (Osmanya script) 、シェイハ・アブドゥラハム・シャイハ・ヌール (Sheikh Abdurahman Sheikh Nuur) によるボラマ文字 (Borama script) 、フセイン・シェイハ・アフメド・カッダレ (Hussein Sheikh Ahmed Kaddare) によるカッダレ文字 (Kaddare script) などが考案された[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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