ソフトウェア音源
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ソフトウェア・シンセサイザー(software synthesizer)とは、コンピュータ上でシンセサイザー機能を提供するソフトウェアである。広義にはCPUによって音信号を合成するソフトウェアすべてを指すが、狭義には歴史的に専用ハードウェアで提供されてきた楽器用シンセサイザーの発音回路をコンピュータソフトウェアによってデジタル信号処理で再現したもの、およびその楽器としての類型を指す。

短縮してソフトシンセ(soft synth)、実体がないためヴァーチャルシンセ(virtual synth)などと呼称されることもある。なお「ソフトシンセサイザ(SOFTSYNTHESIZER)」はヤマハの登録商標(登録日本第4026952号)である。
目次

1 歴史

1.1 1950年代

1.2 1960年代

1.3 1970年代

1.4 1980年代

1.5 1990年代

1.6 2000年代


2 概略

3 方式

4 バリエーション

4.1 アナログ音源をソフトに置き換えたもの

4.2 ビンテージ楽器をシミュレートしたもの

4.3 サンプラー

4.4 その他


5 出典

歴史
1950年代

1957年ベル研究所のマックス・マシューズ (Max Mathews)が開発した音響処理プログラム「MUSICシリーズ」が、ディジタル・シンセサイザー および ソフトウェア音源 の元祖とされている。当時はコンピュータの性能が不充分でリアルタイム処理は不可能だったが、後継プログラムはMITをはじめとする各地のコンピュータセンタに広がり、音響合成や音響処理の研究開発に使用された。

現在オープンソースで入手可能な Csound, CMix, CMusic, SAOL等も、このMUSICシリーズの子孫にあたる。
1960年代

1967年スタンフォード大学のジョン・チューニング (John Chowning)は、MUSIC IV上でFM合成手法を発見した(論文発表は1973年)。この方式は後にハードウェア化され、NED シンクラビア、ヤマハ GS-1、DXシリーズ等で製品化された。

1969年、イギリスのElectronic Music Studios (EMS)は、電子音楽スタジオの機器のパラメータ管理・制御用にミニコン2台(DEC PDP-8)を導入し、世界初のディジタル制御スタジオ・システム EMS MUSYS III を構築した。このシステム(もしくは1972年前後の DOB (Digital Oscillator Bank))の上で、世界初のサンプリング楽器が実現されたと考えられている。[1][2]
1970年代

1970年代、ギリシャ出身の現代音楽作曲家ヤニス・クセナキスは、UPICと呼ばれる図形入力式のコンピュータ楽器の開発をCEMAMu(スマミュ、現在の名称はCCMIX)で行い、1977年に開発完了した。UPICの基本アイデアは、タブレットで図形を描くと それをソノグラムと解釈して音を合成する方式で、同様な楽器は1990年代にMetaSynthとして製品化された他、オープンソースでもIanniXが開発されている。クセナキスはこの他、グラニュラー・シンセシスの提唱者としても著名であり、現在でもエレクトロニカ分野に多大な影響を残している。

1973年頃ダートマス大学のキャメロン・W・ジョーンズ、シドニー・アロンゾ、教授で作曲家のジョン・アップルトンらは、モーグ・シンセサイザーに強い影響を受け、大型コンピュータを活用したディジタルシンセ「ダートマス・ディジタル・シンセサイザー」の開発を開始した。[3] 1975年には高価な大型コンピュータに代わる専用プロセッサ「ABLEコンピュータ」を開発し、ニュー・イングランド・ディジタル社(NED)を設立して製品販売を開始した。


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