ソフトウェア事前審査機構
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ソフトウェア事前審査機構のロゴ

ソフトウェア事前審査機構(ソフトウェアじぜんしんさきこう、ドイツ語:Unterhaltungssoftware Selbstkontrolle)は、ドイツ国内を対象とするコンピュータゲームの公的倫理審査機関。略称・USK。
目次

1 概要

2 レイティングの種類

3 表現規制

4 脚注

5 関連項目

6 外部リンク

概要

2002年に成立し、2003年に施行された「青少年保護法」を根拠法とする公的組織であり、映画ビデオDVDなどの映像ソフトを対象に倫理審査を行う『映画業界自主規制機構』(FSK・1949年設置)と同様、連邦青少年有害メディア審査会の監督下にある。

2002年4月26日エアフルトギムナジウムで発生したエアフルト事件の犯人が『カウンターストライク』(『ハーフライフ』の拡張版)に没頭していたとマスメディアでセンセーショナルに報じられ、この事件が契機となり、コンピュータゲームを特に対象とする倫理審査機関の設置を求める世論が高まったことを受け、2003年の青少年保護法施行に前後して発足した。

なお、EU圏内で発売されるゲームを対象とする審査機関には汎欧州ゲーム情報(PEGI)も存在するが、ドイツは法的な拘束力を持つUSKのレイティングを優先させているため、PEGIのレイティングを採用していない。そのため、EU圏内で発売されるソフトにはPEGIの数値による年齢表示とUSKの菱形をしたアイコンが同時に表記されているものが多い。

また、2006年11月20日にドイツ西部・エムスデッテンで2002年のエアフルト事件と同様に少年が学校内で銃を乱射し、自殺する事件が発生したことを受けて連邦議会では暴力的な内容を含むコンピュータゲームの譲渡のみならず、製造やプレイまで懲役1年の最高刑を課して一切禁止する法案が緊急上程のうえ可決され、州政府による批准も確実視されている[1][2]ことや、イタリアの週刊誌報道に端を発する「RULE of ROSE」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)の暴力表現に対する非難の高まりから欧州委員会(EC)においてEU加盟国間における倫理審査基準及び未成年者に対するコンピュータゲームの提供規制を統一するための指令を制定する方針が2007年1月に決定したことなどUSKを取り巻く環境は近年、大きく変化している。特に、ECの統一指令は2007年上期の議長国であるドイツの主導で制定作業が進められている。

2010年代後半からは、それまで規制対象となることが多かった暴力・犯罪表現に加え、日本製のギャルゲー(CEROの「「D」(17歳以上)に相当)が性的な描写(半裸、パンチラ、その他過剰な露出など)を含んでいることを理由に、審査を拒否(発売禁止)する事例が相次いでおり、これまでに『クリミナルガールズ2』、『VALKYRIE DRIVE -BHIKKHUNI-』、『ぎゃる☆がん2』が発売禁止になっている[3][4]

審査拒否(発売禁止)となった場合、パッケージ版の流通はもとより、ダウンロード販売もPEGIの審査(概ね16または18)を受けてヨーロッパの他国で合法的に発売されていても、USKの審査が優先されるドイツは販売対象区域から除外され、購入できなくなる。
レイティングの種類

以下、日本のコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)や米国エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会(ESRB)によるレイティングとの対応を中心に説明する。なお、USKによる年齢制限はCEROやESRB、PEGIと異なり、法的かつ絶対的な拘束力を持っており、対象年齢に達しない者にゲームを提供(販売・譲渡・貸与・映写)した違反者は青少年保護法により刑事罰が科される。そのため、全年齢対象以外のタイトルは全て「?歳以上対象」ではなく「?歳未満提供禁止」と明確に表示される。

また、前述のようにレイティング自体を付与しない「審査拒否」があり、この処分を受けたタイトルはドイツ国内での発売そのものが禁止される[3]
Freigegeben ohne Altersbeschrankung gemas § 14 JuSchG
白:全年齢対象。CEROの「教育・データベース」または「A」(全年齢)・ESRBの「eC」(Early Childhood)またはESRBの「E」(Everyone)に相当。主に教育用ソフトや音楽ゲームスポーツゲーム(プロレスゲームなどの暴力表現を含むソフトは除く)などを想定しており、暴力や犯罪などの表現は皆無に等しい。
Freigegeben ab 6 Jahren gemas § 14 JuSchG
黄:6歳未満提供禁止。CEROの「A」(全年齢)・ESRBの「E」(Everyone)またはESRBの「E10+」(Everyone 10+)に相当するレベルだが、6歳未満にも禁止するなど、規制が非常に厳しくなっている。デフォルメされた軽度の暴力表現が含まれる場合がある。
Freigegeben ab 12 Jahren gemas § 14 JuSchG
緑:12歳未満提供禁止。CEROの「B」(12歳以上)または「C」(15歳以上)・ESRBの「T」(Teen)に相当。歴史的(現代社会が舞台でない)、あるいは明らかにフィクションとわかる世界観(SF世界など)で、軽?中度の暴力表現が含まれる。
Freigegeben ab 16 Jahren gemas § 14 JuSchG
青:16歳未満提供禁止。CEROの「C」(15歳以上)または「D」(17歳以上)・ESRBの「T」(Teen)または「M」(Mature)に相当。銃器による狙撃など直接的な暴力表現、あるいは暗喩的な性表現が含まれる。
Keine Jugendfreigabe gemas § 14 JuSchG
赤:18歳未満提供禁止。CEROの「D」(17歳以上)または「Z」(18歳以上のみ)・ESRBの「M」(Mature)または「AO」(Adults Only)に相当。身体の欠損など故意に残虐性を強調する形での暴力表現、直接的な性表現、犯罪行為を肯定的に扱う反社会的表現が含まれる。また、『Wolfenstein』のようにナチスのシンボルマークであるハーケンクロイツが使用されているために、このカテゴリに分類されたケースも存在する。
表現規制

ドイツ版ゲームにはオリジナルの過激な表現が修正・カットされることが多い。以下は一部の事例。出典:[5]

Bioshock

出血量の減少

人体欠損描写のカット

一部のムービーシーンの修正


Call of Cthulhu: Dark Corners of the Earth

出血・血痕描写のカット


Call of Duty: Roads to Victory

一部の遺体の削除

鍼十字マークの修正

一部の予告編の削除

一部のテキストの修正


Carmageddon

タイヤ痕の色を赤から黒に

歩行者を人間からロボットに変更

メニューの手袋から血が滴る演出をカット

出血や肉片描写が火花が飛び散る描写に修正


Carmageddon: TDR 2000

血の色が赤から緑に

歩行者を人間からゾンビに変更


Carmageddon II: Carpocalypse Now

血の色が赤から黄色に

歩行者を人間からエイリアンに変更


Chasm: The Rift

血の色が赤から緑に

一部のムービーシーンの修正・変更

その他文字・マークなど赤で書かれているもの全てを緑色に修正


Chaser

出血表現のカット

ラグドール物理演算のカット

遺体が数秒で消える

一部のムービーシーンの修正

壁に付着している血糊のカット


Chrome

出血表現のカット

ラグドール物理演算のカット


Chrome Specforce

出血表現のカット

ラグドール物理演算のカット


Code of Honor 2: Conspiracy Island

出血表現のカット

オプションからゴア表現のオンオフの切り替えが出来ない


Code of Honor 3: Desperate Measures

出血・人体欠損描写のカット

オプションからゴア表現のオンオフの切り替えが出来ない


Codename: Panzers - Phase One

国旗の変更

一部のテキストの修正


Cold Winter

出血・人体欠損描写のカット

科学者に攻撃が出来なくなっている

一部のムービーシーンのカット


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