ソバ
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この項目では、植物について説明しています。この植物の実を使う食品については「蕎麦」をご覧ください。

ソバ
ソバ
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:真正双子葉類 Eudicots
:ナデシコ目 Caryophyllales
:タデ科 Polygonaceae
:ソバ属 Fagopyrum
:普通種 F. esculentum

学名
Fagopyrum esculentum
和名
ソバ
普通ソバ
甘ソバ
和ソバ
英名
buckwheat
common buckwheat
sweet buckwheat

ソバ(蕎麦、学名 Fagopyrum esculentum、: buckwheat)は、タデ科ソバ属一年草
概要

古くから利用されてきた穀類の一種[1]。ソバはさらに細分化した分類をすると擬穀類と分類される。ソバは穀物の一種ではあるのだが、穀物の多くはイネ科単子葉類)であるのに対して、ソバはタデ科(双子葉類)であり穀物の中では少数派である。(他の少数派としては、アマランサスヒユ科)、キヌアアカザ科)等がある。)

現在、ソバの主な産地はロシア中華人民共和国ウクライナアメリカなどである。ロシア 89万2,000t、中国 50万4,000t、ウクライナ 9万7,000tなどとなっており、現地で消費されたり輸出され、世界各地で様々に利用されている。
特徴

草丈は60-130cmで、の先端に総状花序を出し、6mmほどのを多数つける。花の色は白、淡紅、赤、茎の色は緑、淡紅、濃紅で、鶏糞肥料のような臭いを放つ。果実の果皮色は黒、茶褐色、銀色である。主に実を食用にする。

種まきをしてから70-80日程度で収穫でき、痩せた土壌やpH6程度の土壌でも成長し結実する。
種類

日長反応の違いから、感光性が弱い夏型、強い秋型、両者の中間タイプの中間型があり、中間タイプはさらに夏型に近い中間型、秋型に近い中間型に分れる。さらに、栽培形態として、播種期の違いにより春播きの夏蕎麦と夏播きの秋蕎麦がある[2]
受粉

栽培種のソバは自分自身の花粉では結実しない。異型花型の胞子体型の自家不和合性を持つ、長花柱花と短花柱花間での受粉が必要な植物である[3]。つまり、集団内に長花柱花と短花柱花が存在し、相互に受粉する必要がある[4]

花粉の媒介はミツバチハナアブ類等の訪花昆虫によって行われる(訪花昆虫の他に吸血性アブ類によっても行われている[5]との報告もある)。
原産地

ド・カンドルは、ソバの原産地は中国北部からバイカル湖付近であるという説を唱え、1世紀以上にわたってこれが信じられていた。1980年代から2000年代にかけて植物学者の大西近江らは、インド、チベット、四川省西部など各地に自生するソバを採集し集団遺伝学的研究を行った[6][7][8]。その結果、中国南部に野生祖先種 Fagopyrum esculentum ssp. ancestraleなど、ソバ属の植物が自生していることなどを見出し、「ソバの原産地は雲南省北部の三江併流と呼ばれる地域」であると唱えた。現在、これが有力視されている[9][10]
栽培登熟の異なる子実が混在している様子主な害虫となるヨトウガの幼虫

亜寒帯に属するような冷涼な気候、雨が少なかったり水利が悪かったりする乾燥した土地でも、容易に生育するが、湿潤には極端に弱い[11]ため多くの圃場(農場)では、暗渠施設を施工したり傾斜地が選定される。また、日最低気温の平均値が17.5℃を越えると実に栄養が行かず結実率は顕著に低下するため、山間地や冷涼な気候の地域で栽培される事が多い。夏型・秋型それぞれに適した品種があり、品種が適さない地域や時期に栽培した場合、開花期の天候は受粉率を左右し、収穫期の降雨は穂発芽(穂についたまま発芽する事)を招き収穫量と品質の低下につながる[12]

収穫量を確保するために施肥は必須であり化学肥料のほかに緑肥としてレンゲを利用することもある[13]。しかし過度の施肥は葉だけが成長し開花数が少なくなり、収量の低下や食味の低下に繋がる。また、アレロパシー作用もある[14]ため連作障害がでる[15]。病害虫は少ないが栽培圃場では、ヨトウガ、ベト病、うどん粉病が問題になることもある[16]

子実(種子)の登熟は、開花からの日数(積算温度[17][18]及び日長によって決まるため、1本のソバの中に熟し具合(登熟度)の異なる物が混在し、開花が早く熟した実は落下し易いという特徴が在来種にはある。そのため、在来種では収穫時期の判断は難しく、高品位の実を収穫する為に全ての実の登熟を待つと収穫作業中に落下する実が多く発生するため、コメムギの様な機械化された収穫が困難という側面がある。しかし、最近の新品種の登熟性は斉一に改善されており、落下による損失や早熟実の混入をある程度容認すれば機械による収穫(刈り取り)は可能であり、コンバインやソバ刈機による収穫も行われている[19][20]。コンバインでの収穫の場合は、晴天日の日中に黒化率が70%から80%で行うが、茎葉の詰まりを生じぬよう刈り取り速度の抑制が必要である[21]
日本での栽培そば、江戸時代の農業百科事典『成形図説』のイラスト(1804)

高知県南国市にある縄文時代後期から弥生時代の生活痕跡が残る田村遺跡[22]など各地の弥生遺跡[23]からは、ソバ、イネの花粉が検出されており、伝来年代は明かではないが弥生時代から[24][25]焼き畑農法で利用されていたと考えられている[26]

日本では救荒食物として5世紀から栽培されていた[要出典]。

現代日本での主産地は北海道である。ソバの作付面積日本一は北海道幌加内町で約3200ha(2014年産)である[27]

北海道では年一作で、5-7月に種播きをし8-10月に収穫をする。つまり、北海道では夏ソバ、秋ソバの区別はない。北海道産品種は夏ソバにも秋ソバにも利用できる品種群であり、北海道の夏型の牡丹そばを本州で夏播きした場合には秋ソバになる。北海道でのソバ収穫が日本のソバ栽培における新ソバ(秋ソバ)収穫シーズン開始の合図とされる。

東北地方から中部高冷地などでは、4-5月に播種をし7-8月(夏ソバ)の収穫と、7-8月に播種をし9-11月の収穫(秋ソバ)が行われるほか、九州など温暖な地域では播種時期を3-4月とすることで収穫量を確保した栽培も可能である[28]。ただし、九州などの温暖な地域に於いて長野県などで栽培されている品種を春蒔栽培すると、収穫期が梅雨期に重なり穂発芽しやすくなり収穫量が減少する[29]。沖縄本島では土壌浸食防止対策と収益確保可能な作物の可能性を探る際にソバの栽培試験が行われ、11月上旬播種の翌年1月収穫が好成績であったと報告されている[30][31]

近年、休耕田における栽培等、水はけの悪い環境での栽培が増加している。しかし、ソバは特に耐湿性の低い畑作物であり[32][33]、発芽期に湛水すると生産は壊滅的となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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