ソドー島
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ソドー島(ソドーとう、Island of Sodor)[1]は、ウィルバート・オードリー牧師の絵本シリーズ『汽車のえほん』およびその映像化作品『きかんしゃトーマス』の舞台である架空の島。アイリッシュ海上のマン島イギリス本土カンブリア州バロー=イン=ファーネスの間に存在するとされ、実在するウォルニー島 (Walney Island) を含んでいる。

後述の通り、ソドーの名は英国国教会に実在する「ソドー・アンド・マン教区」 (Diocese of Sodor and Man) に由来する。ギリシャロドス島(Rodos)を逆から読んだものという説は誤り。

また、一部のネット記事などでオーストラリアのパッフィンビリー鉄道がソドー島及びきかんしゃトーマスのモデルだと紹介されている事がある[要出典]が、これも誤りである。
成立の過程現実世界のマン島とその周辺

『汽車のえほん』シリーズが巻を重ねるにつれて、作者のオードリー牧師の許には設定の矛盾について質問する愛読者からの手紙が多数届くようになった。これらに答えるための矛盾のない設定を考えるうちに、牧師は体系的な架空の舞台設定を考案し始めた。

折しも教会の仕事でマン島を訪問したオードリー牧師は、その島を管轄する教区の名が「ソドー・アンド・マン教区」であることに気づいた。教区名からは、あたかもマン(島)と並んで「ソドー(島)」という土地が実在するようであるが、これに対応する特定の島や土地はない[2]。オードリー牧師は、マン島とイギリス本土の間に位置する「ソドー」という名前を持つ架空の島こそが、物語のための完璧な舞台環境であると考えた[3]

オードリー牧師は、トーマスの支線の設定とそれを具現化した地図を1949年に、続いて島全体の体系的な設定とそれを具現化した地図を1950年に自らの手で制作し、1952年には親友のウィッカム司祭の協力を得て、島全体の彩色された立体地図を作成した。

その後も、司書を務める弟ジョージの手を借りて、歴史地理学言語産業地質学に及ぶ細かな設定が絶えず補強され続けた。1987年9月にはその集大成として The Island of Sodor: Its People, History and Railways(『ソドー島 その住民・歴史・鉄道』、日本未邦訳)[4]が二人の共著として出版された。

テレビシリーズ化に際しては、小さな子供にも分かりやすいようThe Island of Sodor: Its People, History and Railways の精密な設定は無視されており、完全な映像化はされてはいない。またエピソード上、意図的に改変された部分もある。
地理ソドー島
構成

アイリッシュ海上のマン島と英国本土カンブリア州バロー=イン=ファーネスの間にある。島の海岸線はほぼ三角形をしており、東西62マイル(99.7km)、南北51マイル(82km)で面積は1,298平方マイル(3,361.8平方km)。北西の海岸線は幅4マイル(6.4km)のサドリア海峡によってマン島と隔てられる。北東の海岸線の内、バロー=イン=ファーネスに向かい合う場所は、実在のウォルニー島北東部の海岸線が本来存在する場所であり、ソドー島がウォルニー島を含んだ形になっている。

島全体の人口は約177,000人。

本土側のバロー=イン=ファーネスとはトップハム・ハット卿が設計・建設、1915年に完成した跳開式可動橋(テレビ版ではヴィカーズタウン橋、Vicarstown Bridge)と、1908年に完成した実在の道路用可動橋であるウォルニー橋 (Walney Bridge) で結ばれている。また、ピール・ゴッドレッド近郊には水力発電所1923年に建設され、ソドー・アルミニウム会社の工場とピール・ゴッドレッド線に電力を供給している。島の南の海岸線はアイリッシュ海に面し、複雑に入り江をつくる海岸線に港がいくつか点在する。

島で最も高い山は北部のカルディー・フェル(Culdee Fell)山であり、標高2048フィート(624.2m)。この山はスノードン山がモデルとなっている。

島の固有の言語として、マン島語ノルド語によく似たサドリア語(Sudric)があるが、現在は使われていない。一部の地名(例:レニアス/リーニアス(Rheneas)→幾筋にも分かれた滝)にその名残を留めているのみである。

島の主な産業は、農業漁業鉱業観光である。農業は、カラスムギ大麦カブが島で収穫される主な作物である。漁業は、ティドマス近海で獲れるニシンが特産品である。なお、鮮魚列車フライング・キッパーの「キッパー(kipper)」はニシンの燻製料理を意味する。鉱業はかつて島の主な産業で、亜鉛アルミニウム石炭などが豊富に採掘されていたが、現在は鉱山資源が枯渇し、石材、天然スレート陶土の採取等が残るのみという設定で、テレビ版ではこの辺りの枯れた描写が出てくるエピソードも存在する。現在のソドー島における最大の収入源は、観光面での退職者向けの別荘分譲とそれに付帯する別荘族へのサービス業である。のんびりと蒸気機関車の牽引する列車で移動するのも別荘族へのサービスの一環とも言えよう。ハット卿自身も、新しい観光スポットの開発やイベントの開催などでサービス向上をめざしている。全体的にはマン島に似た島だが、王室保護領のマン島ほどの独立性はなく本土の直接支配の島、長期滞在型観光に依存した島、と言える。

以下、特に記載がない限りウィルバート・オードリー牧師とジョージ・オードリーが制作した原作版ソドー島地図、並びに『きかんしゃトーマス』の鉄道顧問サム・ウィルキンソンが発表したテレビシリーズ版ソドー島地図に準拠することとする。
主な町と駅
本線
ティドマス/ティッドマス(Tidmouth)
ソドー島の西岸、ティド川河口に位置する島最大の町。人口35,000人。主な産業は造船・漁業・重工業。ティドマス機関庫とティドマス港の所在地。テレビ版ではタウンホールの広場の所在地でもある。フライング・キッパーが発車するのもこの港。町のモットーは「Industry and Progress(産業と進歩)」。地名の由来は文字通りティド(Tid)川の河口(mouth)にあることから。ティドマス駅は原作では本線の始発駅であり4番線まである大規模な中央駅で、巨大な給炭設備や転車台、機関庫が備わっているが、テレビ版ではナップフォード駅に差し替えられ、ティドマス駅自体は中規模な連絡駅となっている。


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