ソテツ類
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ソテツ目

1. (上)Cycas platyphyll(ソテツ科
(下)トゲオニソテツ(ザミア科
保全状況評価[1]
全種がワシントン条約附属書I類またはII類
分類

:植物界 Plantae
:維管束植物門 Tracheophyta
階級なし:種子植物 spermatophytes
階級なし:裸子植物 gymnosperms
:ソテツ綱 Cycadopsida
:ソテツ目 Cycadales

学名
綱: Cycadopsida Brongn. (1843)

目: Cycadales Pers. ex Bercht. & J.Presl (1820)
英名
cycads



ソテツ科 Cycadaceae

ザミア科 Zamiaceae

ソテツ類(ソテツるい、: cycads)は、裸子植物の1群である。太い幹をもつ常緑樹、幹は半地中生のものから地上に長く伸びるものまであり、あまり分岐せず、柔組織が多い多髄質。ふつう幹の頂端から多数の葉が密生しており、葉は羽状複葉。地表にサンゴ状根を形成し、窒素固定を行うシアノバクテリア(藍藻)が共生している。サイカシンなどの毒を含む。雌雄異株であり、茎頂付近に"雄花"または"雌花"を形成する。世界中の熱帯から亜熱帯域に分布する。

370種ほどが知られ、分類学的にはふつうソテツ綱(Cycadopsida)、ソテツ目(Cycadales)にまとめられ、ソテツ科(ソテツ属のみ)とザミア科(9属を含む)に分けられる。古くは独立の(ソテツ植物門 Cycadophyta)とされたこともあるが、2023年現在では一般的ではない。古生代末には現在のような姿のソテツ類が出現し、特に中生代三畳紀からジュラ紀にかけて繁栄していた。
特徴

(幹)が地上に高く伸びてヤシのような外観を呈するものから、茎が地中生でほとんど地上に姿を現さないものまである[2][3][4][5][6][7](図1, 2a?c)。一般的に、ソテツ類の成長速度は非常に遅い[8]。シュート頂分裂組織は幅広く、500?3,300マイクロメートル (μm) ある[2]。分枝することはまれであり[2][6][7][9][10]、特に腋芽(葉の付け根の向軸側にできる芽)による分枝がほとんど見られない点で、種子植物の中では特異である[11]。地上の茎(幹)の表面は葉の基部や鱗片葉が残ってうろこ状に覆われていることが多いが(下図2d, e)、地下生の茎は平滑なこともある[2][3][5][10](下図2c)。茎は維管束形成層による二次成長を行うが、二次木部は少なく、髄や放射組織、皮層の柔組織が多くを占める多髄質(manoxylic)である[2][3]。柔組織には、粘液細胞が発達している[3]。一部の種では、二次木部と二次師部が繰り返し形成された多環材が見られる[3]。葉跡(茎の維管束から分かれて葉に入る維管束)の一部は、葉の反対側から生じて茎内を取り巻いて葉に向かう環状葉跡となる[2][3]。多数の葉跡が葉に入り、これらの維管束が葉柄内で逆Ω型に配置する点で特異である[3]気孔は、ハプロケイリック型(単唇型)である[2][3]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}2a. インドソテツ(Cycas circinalis; ソテツ科)の幹は直立する。2b. Encephalartos natalensis(ザミア科)は不規則に分岐している。2c. Bowenia serrulata(ザミア科)の地中生の茎: 地上へ数枚の葉が伸びている(左側)。2d. インドソテツ(ソテツ科)の幹の表面: 葉柄基部が残って鱗状になっている。2e. Encephalartos woodii(ザミア科)の幹の表面。2f. Cycas thouarsii のサンゴ状根。

は、根毛を欠く[8][11]。地表付近に、背地性(一般的な根とは異なり上方に成長する)の特殊化した根(サンゴ状根、背地性根)を形成し、その中に窒素固定(窒素分子を植物が利用可能なアンモニアに変換する)を行うシアノバクテリア(藍藻)が共生している[2][12][13](上図2f)。シアノバクテリアは、根の表皮の裂け目から侵入し、粘液質で満たされた部分に定着する[2]。また、シアノバクテリア以外にもさまざまな内生細菌が存在することが報告されている[8]

ソテツ類は、有毒な配糖体であるサイカシンやマクロザミン、神経毒となる非リボソームペプチドであるβ-Nメチルアミノ-L-アラニン(β-methylamino-L-alanine, BMAA; 図6c)を全体に含む[8][14][15][16]


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