ソサエティー5.0
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内閣府が作成したソサエティー5.0のイメージ

ソサエティー5.0(Society 5.0)は、日本政府が提唱する未来社会のコンセプト[1]科学技術基本法に基づき、5年ごとに改定されている科学技術基本計画の第5期(2016年度から2020年度の範囲)でキャッチフレーズとして登場した[1]サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、新たな未来社会(Society)を“Society 5.0(ソサエティー5.0)”として提唱しており、2021年(令和3年)版 科学技術・イノベーション白書では、「Society 5.0の実現に向けて」と題してSociety 5.0を特集し解説動画を公開している。
概要

狩猟社会(Society 1.0)農耕社会(Society 2.0)工業社会(Society 3.0)情報社会(Society 4.0)といった人類がこれまで歩んできた社会に次ぐ第5の新たな社会を、デジタル革新、イノベーションを最大限活用して実現する[2]という意味で「Society 5.0(ソサエティー5.0)」と名付けられた[1][3]

ドイツインダストリー4.0アメリカゼネラル・エレクトリックインダストリアルインターネットは、主にICTIoTによる製造業の革新や生産性の向上にのみ焦点が当てられているが、Society 5.0は、ICTやIoTなどのデジタル革新により「社会のありよう」を変えることによって、社会が抱える様々な課題を解決しようとする、包括的なコンセプトであるという点で異なっている[3]

また世界の課題解決という観点から、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」と絡めて、「Society 5.0 for SDGs」として用いられることがある。

具体的な実現方法として、日本版インダストリー4.0ともいえる『コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)』が経済産業省より提唱されている[4]

第5期科学技術基本法では、日本政府の研究開発への投資額は5年間で26兆円が見込まれている[3]。また市場規模は760兆円があるとされる[5]

政府が2016年(平成28年)12月に発表した「新しい経済政策パッケージ」では、「単なる効率化・省力化にとどまることなく、「Society 5.0」時代のまったく新しい付加価値を創出することによって、まさに「革命的」に生産性を押し上げる大きな可能性を秘めている。」と言及されている。

産業技術総合研究所のレポートでは、ソサエティー5.0を実現するための要素技術として以下の6つのテーマを挙げている[6]

CPS(Cyber-Physical System)における知覚・制御を可能とする人間拡張技術

革新的なAI用ハードウェア技術とAI応用システム

AI応用の自律進化型セキュリティ技術

情報入出力用デバイスおよび高効率のネットワーク技術

マスカスタマイゼーションに対応できる次世代製造システム技術

デジタルものづくりに向けた革新的計測技術

経済産業省は、ソサエティー5.0の実現の鍵となる技術として、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)、ロボットを挙げている[7]

経団連は、2018年11月に発表した「Society 5.0 -ともに創造する未来-」の中でSociety 5.0を「デジタル革新と多様な人々の想像・創造力の融合によって、社会の課題を解決し、価値を創造する社会」と再定義し、「創造社会」と呼んでいる[8]。さらに、経団連は、Society 5.0は国連が提唱するSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とも軌を一にするとして「Society 5.0 for SDGs」を掲げている[9]
出典・脚注[脚注の使い方]^ a b c 新井紀子 (2016年4月7日). “スマート社会計画「ソサエティー5.0」、肝はデータ”. 日本経済新聞. https://www.nikkei.com/article/DGXKZO99346090W6A400C1X12000/ 2017年10月18日閲覧。 
^ 政府広報オンラインによるSociety 5.0の説明では『「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、人類史上5番目の新しい社会、それが「Society(ソサエティ)5.0」です。第4次産業革命によって、新しい価値やサービスが次々と創出され、人々に豊かさをもたらしていきます。』としている。
^ a b c “ ⇒「ソサエティー5.0」の衝撃 第5の新たな社会とは”. 東芝. p. 1 (2017年4月19日). 2017年10月18日閲覧。
^ 『 ⇒我が国産業が目指す姿(コンセプト)として「Connected Industries」を発表しました』(プレスリリース)経済産業省、2017年3月20日。 ⇒http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170320001/20170320001.html


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