ゼロの焦点
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ゼロの焦点
作者
松本清張
日本
言語日本語
ジャンル長編小説
発表形態雑誌連載
初出情報
初出『太陽』 1958年1月号 - 2月号 /『宝石』 1958年3月号 - 1960年1月号
初出時の題名『虚線』/『零の焦点』
出版元筑摩書房 / 宝石社
挿絵御正伸 / 土井栄
刊本情報
刊行『ゼロの焦点』
出版元光文社
出版年月日1959年12月25日
装幀伊藤憲治
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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『ゼロの焦点』(ゼロのしょうてん)は、松本清張の長編推理小説。北陸地方を舞台に、太平洋戦争直後に端を発する時代の傷痕が生んだ連続殺人事件を描く。

『虚線』のタイトルで『太陽』に連載され(1958年1月号 - 2月号、連載時の挿絵は御正伸)[注釈 1]、同誌休刊後、『零の焦点』のタイトルで『宝石』に連載(1958年3月号 - 1960年1月号、全19回、連載時の挿絵は土井栄)、1959年12月に光文社カッパ・ノベルス)から刊行された。

1961年2009年の2度にわたり映画化、また多数テレビドラマ化されている。
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この節にあるあらすじは作品内容に比して不十分です。あらすじの書き方を参考にして、物語全体の流れが理解できるように(ネタバレも含めて)、著作権侵害しないようご自身の言葉で加筆を行なってください。(2015年4月)(使い方

板根禎子は26歳。広告代理店に勤める鵜原憲一と見合い結婚した。紅葉が盛りを迎えている信州から木曾を巡る新婚旅行を終えた10日後、憲一は、仕事の引継ぎをしてくると言って金沢へ旅立つ。しかし、予定を過ぎても帰京しない憲一。禎子のもとへ、憲一が北陸で行方不明になったという、勤務先からの知らせが入る。急遽金沢へ向かう禎子。憲一の後任である本多の協力を得つつ、憲一の行方を追うが、その過程で彼女は、夫の隠された過去を知ることになる。
主な登場人物

原作における設定を記述。
鵜原禎子
本作品の主人公。旧姓板根。新婚後間もなく夫が失踪し、行方を追う。
鵜原憲一
禎子の夫。広告代理店「A広告社」の北陸地方の出張所元主任。東京本社へ栄転となり事務引継ぎのため金沢へ出張、そのまま失踪。
本多良雄
憲一の同僚。「A広告社」北陸出張所主任(憲一の後任者)。禎子に協力し、憲一の行方を追う。
鵜原宗太郎
憲一の兄。憲一の失踪後、京都出張のついでに金沢へ立ち寄り、謎の毒死を遂げる。憲一の過去における「影」の部分をある程度知っていた。
室田儀作
金沢在住の地元名士で「室田耐火煉瓦株式会社」代表取締役社長。
室田佐知子
室田儀作の後妻。才色兼備の賢夫人。儀作と結婚する以前は東京に住んでいた。
田沼久子
「室田耐火煉瓦株式会社」の社員。同社の煉瓦工場に勤めていた工員の未亡人。本社ビルの受付嬢をしている。ひどくくだけたアメリカ英語を話す。
曽根益三郎
「室田耐火煉瓦株式会社」生産部の工員。 田沼久子の内縁の夫。謎の投身自殺を遂げる。
作品の背景

事件の背景に、連合国軍占領下の日本で、アメリカ軍将兵[注釈 2]相手に売春行為をしていた女性[注釈 3]らの存在がある。彼女らが自身の忌まわしい過去を隠そうとする必死の感情が、作品内で重要な意味を持つ。原作が書かれた当時は現在よりも女性の社会的地位が低かった。そのため、過去にわずかでも汚点があれば偏見にさらされて就職に差し障るだけでなく、婚約破棄や一方的な離婚を余儀なくされるケースが少なくなかった時代である。

小説の時代設定は日本の降伏から13年後(=1958年)とされている。女性が相手のことをよく知らぬまま見合い結婚することが、当時はありふれていた。本作発表当時の恋愛結婚の割合は4割に満たず、見合い結婚との構成比が逆転するのは、1960年代半ばを過ぎてからのことである[2]
エピソード
刊行までの経緯

本作品の構想に関しては、当時上石神井
[注釈 4]に在住の著者が、作品執筆の合間に近所の食堂へ出かけた際、立川の米軍基地の売春婦と思しき女性と出会い、彼女たちはその後どうしただろうか?と思いをめぐらしたところから、アイデアを膨らませていったとされている[3]

当時『宝石』の編集長を務めていた江戸川乱歩は、本作の同誌連載に至る経緯を、連載開始された1958年3月号の編集後記で、以下のように記している。「松本清張さんの長篇連載がいよいよ始まる。(中略)松本さんは本誌にはいいかげんなものは書きたくないという気持ちから、なかなか想が纏まらなかった。そこへ『太陽』の休刊で、まだはじまったばかりの長篇が中絶するということを聞いたので、これを本誌に引きつぐようお願いして、成功したのである」。

連載の出足は順調だったものの、回を重ねるに連れて原稿の枚数が減っていった。1958年7月号では休載する事態となったが、代わりに同号では、乱歩と著者の対談「これからの探偵小説」が掲載されている。続く8月号でも本作は休載となり、乱歩は同号の編集後記で「作者も辛いが編集者もつらいのである。今は両者ともただ無言」と記している。1959年1月号は、現地取材の時間がなかったことを理由に、3回目の休載となり、この時は、著者のお詫びの弁と共に「創作ノート」が掲載されている。

その後、鮎川哲也の長編作品『黒い白鳥』の連載が同誌の1959年7月号から始まったが、この作品と本作のプロットが同じになるのではないかと、著者と鮎川の双方が気づいた。本作は1959年8月号で連載を1月分中断、プロットの再構築を経て、1959年12月号の鮎川方の完結から1ヶ月遅れの1960年1月号で、無事完結した[4]

光文社は「カッパ・ノベルス」創刊の作品として本作を予定し、発行日も決められていたが、本作の執筆が予定通り進んでいなかったため、光文社が『宝石』編集部を飛び越え、直接著者に接触し執筆を促す一幕もあった[5]

その他

本作の取材にあたって、著者は
和倉温泉に滞在した。宿泊旅館は「加賀屋」(2023年現在も営業中)。著者と旅館の交流はその後も続き、映画『疑惑』のロケ見学の際にも滞在した[6]

作品中において、主人公が断崖に立つシーンが描かれている[7]。小説では、断崖は志賀町の赤住にあるとされている[8]。しかし実際の赤住は平坦な地形で、海に転落するような断崖は存在しない。この件に関しては、現在「赤住」と同じ志賀町内にあり、実際に断崖のある「赤崎」と、著者が勘違いをしていたとの推測もある[9]。なお、ヤセの断崖に関しては、1961年公開映画を参照。

著者は1978年の時点で、自作の推理長編で好きな作品の第一に本作を挙げている[10]

小説家・評論家の笠井潔は、本作を「清張の探偵小説作品の最高峰をなしている」と評している[11]

エッセイストの酒井順子は、本作の禎子は、清張がその後女性誌に連載した長編群に登場する「お嬢さん探偵」(精神がお嬢さんの「表」の女性が「裏」の世界を追っていく)の第一号と言うことができると述べている[12]

翻訳

Point zero (
英語、Bitter Lemon Press)

Le point zero (フランス語、Atelier Akatombo)


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