ゼイリブ
They Live
監督ジョン・カーペンター
脚本フランク・アーミテイジ
原作レイ・ネルソン
『ゼイリブ』(原題:They Live)は、1988年公開のアメリカ合衆国のSFアクション映画。
SFとホラーの形をとった風刺作品であり、またアクション映画の面もあるこの作品には、1980年代の社会に蔓延した物質主義的思考に対する批判や、特権階級の者らがメディアを悪用し人々を洗脳し社会を専制的に支配していることに対する批判や警告が織り込まれている。 世は貧富の差が激しく、失業者が増える一方だった。しがない肉体労働者で、流れ者のナダ(ソフトによってネイダとも発音・表記)は、ある都市に流れ着いた。建設現場で知り合った男・フランクに誘われて、都心の自由教会が所有する空き地に設けられた、家のない貧民たちのキャンプに住み込むようになった。1台のテレビだけがキャンプ地の人々の唯一の娯楽だったが、そのテレビはたびたび電波ジャックに悩まされていた。決まってヒゲを蓄えた男が画面に現れ、次のようなことを言い始めるのだった。 「我々の暮らしている世界は、『彼ら』の発信する信号により、人工的な仮眠状態にさせられています。彼らは抑圧的な社会を作り上げています。彼らの目的は人々を物質主義者に仕立て上げ、自分たちの正体を詮索させないため、我々を欲に狂わせて、『奴隷』にしているのです……」 ナダは、キャンプ地のそばにある自由教会で賛美歌の歌唱が始まり、キャンプの住民のひとり・ギルバートがそそくさと教会へ入っていくときに、決まって電波ジャックが起こることに気づき、裏口の倉庫から教会に忍び込む。すると賛美歌は録音テープによるものであり、教会堂からは、賛美歌の大音量に紛れて人々の話し声が聞こえた。壁には「THEY LIVE WE SLEEP(彼らは生き、われわれは眠る)」と大書され、つまづいたときに偶然開いた、壁の一部に隠された収納スペースには、何かが密封された大量の段ボール箱が隠されていた。教会堂ではある秘密の会議が開かれていたのだが、関わり合いを恐れたナダは、ひとまず教会をあとにする。 ある夜、教会は多数のパトカーやパトロールヘリに囲まれたうえ、警官隊に襲撃され、宣教師たちは逮捕される。教会が場所を提供していたキャンプ地にも重機がなだれ込み、テントやバラックはことごとく破壊され、キャンプの人々は追い立てられた。ナダは警官隊を振り切り、辛くも逃れた。 翌朝、もぬけの殻になった教会をおとずれたナダは、ふと隠し収納の段ボール箱を思い出し、封を切ってみる。中身は大量のサングラスだった。何気なくそのサングラスをかけて街へ出てみると、広告看板、雑誌の表紙、新聞記事、テレビ番組のキービジュアルはすべて「従え」「考えるな」「眠っていろ」「消費しろ」「結婚して、生殖せよ」といった文字列に見えるのだった。また、裕福そうな人々の大半をサングラス越しに見ると、髑髏のような恐ろしい顔をしていた。彼らは人間に擬態したエイリアンであり、サングラスはエイリアンに抵抗する人々が極秘に開発した、彼らが発する洗脳信号を解除することができる透視装置であり、メディアに仕込んでいるメッセージ、エイリアンの正体、そして通常は目に見えない監視飛行ロボットの存在を見抜くことができるのだった。テレビ中継で演説する政治家も髑髏の顔をしていた。ナダは「そんなことだろうと思ったよ」とつぶやく。 スーパーマーケットで、エイリアンの中年女性に思わず「ひどい顔だな」と話しかけたナダは、どこからかやってきたエイリアンの警官に逮捕されそうになるが、警官の銃を奪って射殺し、さらに街のエイリアンたちを手当たり次第に射殺していく。追われる身となったナダは、通りすがりの女性・ホリーを銃で脅し、自分の身を自宅でかくまうよう命じる。ホリーは地元のテレビ局「ケーブル54」の社員だった。電波ジャックのことや、サングラスのことを話したナダは、ホリーに背後から突然殴りかかられる。
ストーリー