セレン酸
IUPAC名
セレン酸
識別情報
CAS登録番号7783-08-6
58 ℃
沸点
260 ℃(分解)
水への溶解度1300 g/100 mL ( 30℃)
酸解離定数 pKa-, 1.70
屈折率 (nD)1.5174 (D-line, 20℃)
熱化学
標準生成熱 ΔfHo-530.1 kJ mol-1[1]
危険性
EU分類有毒 (T)
環境への危険性 (N)
NFPA 704032OX
RフレーズR23/25, R33, R50/53
Sフレーズ(S1/2), S20/21, S28, S45, S60, S61
関連する物質
その他の陰イオン過臭素酸;ヒ酸;ゲルマニウム酸
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
セレン酸(セレンさん、selenic acid)は化学式H2SeO4で表されるセレンのオキソ酸の一種である。セレンを中心に4つの酸素原子が結合している。原子価殻電子対反発則により四面体構造を取ると予測される通り硫酸およびその塩と同型であることが確認されている。ガラスの脱色に用いる。セレン酸およびセレン酸塩は医薬用外毒物の指定を受ける。 二酸化セレンと過酸化水素との反応により生成される。 SeO 2 + H 2 O 2 ⟶ H 2 SeO 4 {\displaystyle {\ce {SeO2\ + H2O2 -> H2SeO4}}} 無水の結晶として得るためには、この反応溶液を140℃以上で減圧すればよい[2]。 硫酸と同様に吸湿性の強酸であり、水によく溶解する。高濃度の溶液は粘性が高い。一水和物、および二水和物の結晶が報告されている。さらに硫酸と同様、強い脱水作用および有機物の炭化作用をもつ。セレン酸の第一水和エンタルピー変化および溶解エンタルピー変化は以下の通りである[1]。溶解熱は硫酸よりやや小さくなるが、これは液体の硫酸と異なり固体の溶解熱で、融解熱(14.4 kJ mol−1, 333 K)の分小さくなる。 H 2 SeO 4 ( s ) + H 2 O ( l ) ⇄ H 2 SeO 4 ⋅ H 2 O ( s ) {\displaystyle {\ce {H2SeO4(s)\ +H2O(l)\ \rightleftarrows \ H2SeO4\cdot H2O(s)}}} , Δ H ∘ = − 24.7 k J m o l − 1 {\displaystyle \ \Delta H^{\circ }={\rm {-24.7\ kJmol^{-1}}}} H 2 SeO 4 ( s ) ⟶ H + ( aq ) + HSeO 4 − ( aq ) {\displaystyle {\ce {H2SeO4(s) -> H^+(aq)\ + HSeO4^-(aq)}}} , Δ H ∘ = − 51.5 k J m o l − 1 {\displaystyle \ \Delta H^{\circ }={\rm {-51.5kJmol^{-1}}}} 一方、反応速度は遅いものの硫酸より酸化力が強く、塩化物イオンを塩素へと酸化する。このときセレン酸は亜セレン酸へと還元される。さらに熱濃溶液は金でさえ溶解するほど酸化力が強く、標準酸化還元電位は以下の通りであり、また水溶液を210℃以上に加熱すると酸素を放出して亜セレン酸となる[3]。 SeO 4 2 − ( aq ) + 4 H + ( aq ) + 2 e − = H 2 SeO 3 ( aq ) + H 2 O ( l ) {\displaystyle {\ce {SeO4^{2-}(aq)\ +4H^{+}(aq)\ +2{\mathit {e}}^{-}=H2SeO3(aq)\ +H2O(l)}}} , E ∘ = 1.151 V {\displaystyle E^{\circ }{\rm {=1.151V}}} SeO 4 2 − ( aq ) + 4 H + ( aq ) + 2 Cl − ⟶ H 2 SeO 3 ( aq ) + Cl 2 ( aq ) + H 2 O ( l ) {\displaystyle {\ce {SeO4^{2-}(aq)\ + 4 H^+(aq)\ + 2 Cl^- -> H2SeO3(aq)\ + Cl2(aq)\ + H2O(l)}}} 6 H 2 SeO 4 + 2 Au ⟶ Au 2 ( SeO 4 ) 3 + 3 H 2 SeO 3 + 3 H 2 O {\displaystyle {\ce {6 H2SeO4\ + 2 Au -> Au2(SeO4)3\ + 3 H2SeO3\ + 3 H2O}}} セレン酸とフルオロスルホン酸の反応により、二フッ化二酸化セレン
合成
化学的性質・反応