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セルモーター(またはセルスターター、英: starter, self starter, starter motor)は、自動車や発電機などで使われる内燃機関(エンジン)を始動させるためのモーター(電動機)である。
セルモーターという呼び方は和製英語である。1942年(昭和17年)3月発売の「2602年型トヨタトラック」(トヨタ・KB型トラック[1])のカタログ(3ページ)には、「スターチング・モーター」、同カタログの仕様書(16ページ)には「起動電動機」と記されている[2] 。「セルスターター」は、モーターの駆動に電池 (cell) を利用することから「cell starter」と呼んだという説と、英語のself starterから来ているという説がある。
国内自動車製造者では部品名称としてトヨタ自動車、ダイハツ工業、三菱自動車工業がスタータ、マツダがスターター、SUBARUがスタータモータ、日産自動車、本田技研工業がスターターモーター、スズキがスターティングモータと称している[3]。 内燃機関の吸気・圧縮行程は、運転中はフライホイールやシリンダーなどの惰性力を利用して行われる。しかし始動時はこの慣性力がないため、外部から回転力を得なければ吸気・圧縮行程を始めることができない。セルモーターは始動のきっかけとなる回転を与える手段の1つであり、内燃機関を利用した機械に広く普及している機構である。イグニッションキーやエンジンスターターボタンといったスイッチの操作により、バッテリーなどを電源として動作する。 セルモーターは、エンジンの圧縮行程で発生する回転抵抗に打ち勝って十分な速度で回転させるだけの強力なトルクを生みだす。セルモーターの主要部は直流電力によって動作する電磁石界磁形整流子電動機で、多くは直巻整流子電動機が採用され、少数ながら複巻整流子電動機が採用される。セルモーターのトルクはギアで減速されてエンジンの出力軸に伝達され、これらのギアとギアの噛み合いを断接するクラッチ機構を含めてセルモーターASSYとされる場合が多い。 自動車の場合はエンジンの出力軸にはリングギアという大歯車があり、セルモーターの小歯車(ピニオン)を噛み合わせている。ピニオンはソレノイドアクチュエータによって軸方向にスライドし、モーターのスイッチが入れられた際にのみリングギアに噛み合うようになっている。トルク伝達経路にスタータークラッチと呼ばれるワンウェイクラッチを設けてエンジン運転中の回転がセルモーターに伝達しない機構になっている。 セルモーターが実用化される以前はエンジンを人力で回転させて始動をおこなっていた。自動車の場合は車外からエンジンのクランクシャフトにクランク棒を接続して回していた。現在でも、オートバイや可搬式発電機などのうち、排気量が小さなエンジンでは人力でも始動が比較的容易であることから、重量とコストが増えるセルモーターを採用せずにキックスターターやリコイルスターターを採用している場合がある。また、競技用の自動車やボートなどでは、エンジンの始動時にのみ必要なセルモーターは、走行中の操縦性や運動性に不利な影響を及ぼす重量物として搭載されない場合が多く、人力を用いた始動方法のほか、フォーミュラカーなどでは車体外部からスターターモーターユニットを接続して始動する。また、エアツールを応用した圧縮空気やタイヤ充填用の窒素ガスを利用して始動する方法もある。クラッチを持たないレーシングカートでは人力や他の車両で押して、車輪からエンジンに伝わるトルク(バックトルク)で始動させる押しがけと呼ばれる方法が用いられる。 マツダはi-stopの前段階の技術として、SISS(スマート・アイドリング・ストップ・システム)と呼ぶセルモーターを使わないエンジン始動方法を研究していた。エンジン内部に未燃焼ガスを入れておき、始動時に点火することでエンジンを再始動する方式である。 1903年にアメリカ合衆国ニューヨーク市で、発明家のクライド・J・コールマンが「自動車用電気式スターター」として米国特許(番号745,157)を取得したが、この時点では実用化されなかった。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}本格的な実用化はキャデラック社の創業者であるヘンリー・リーランドの要望が元になったとするのが通説である。
解説
セルモーター以外の始動方法
自動車用の実用化
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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