セルシウス度
[Wikipedia|▼Menu]

セルシウス度(または単に「度」)
degre Celsius
degree Celsius

記号°C
国際単位系 (SI)
種類SI組立単位(固有の名称と記号を持つ 22 個のSI単位のうちの一つ)
温度
定義ボルツマン定数を 1.380649×10?23 J/K とすることによって定まる温度(ケルビンと同一)
由来凝固点を0度、沸点を100度とする温度
語源アンデルス・セルシウス
テンプレートを表示

セルシウス度(セルシウスど、英語: degree Celsius、記号: °C)または単に度(記号: °C)は、セルシウス温度の単位である。その大きさはケルビン(記号: K)に等しい(°C=K)[注釈 1]。温度間隔(temperature interval)または間隔差(temperature difference)は、ケルビンまたはセルシウス度のどちらによっても表すことができ(第13回 CGPM、1967?1968年、決議3)、その数値は同じである。なお、温度差を表現するために、degree(略字 deg) を用いることは1980年以降、禁じられている。現在では、セルシウス度(およびセルシウス温度)は世界的に使用されている。
定義

セルシウス温度の単位は、セルシウス度(記号は °C)であり、定義によってケルビンの大きさと等しい[1]

日本の計量法での定義は次のようになっている[2]

セルシウス度 = ケルビン = ボルツマン定数を 1.380649×10?23 J/K とすることによって定まる温度[2]

セルシウス温度 = ケルビンで表した熱力学温度の値から 273.15 を減じたもの

計量単位令にあるとおり、単に「度」と表記した場合は、セルシウス度を意味する。

元々の定義は凝固点を100度、沸点を0度とし、現在とは逆であった。詳細は「#歴史」を参照
名称

セルシウス度の名称は、アンデルス・セルシウスに由来するものである。

水の凝固点沸点との間を100分割した目盛り付けであることから、この温度系のもともとの名称は“centigrade”(「百分度」の意)であった[3]

しかし1948年の第9回国際度量衡総会は、3つの名称候補(英語表現:“degree centigrade”,“centesimal degree ”,“degree Celsius”)から、“degree Celsius”を選んだ。これにより、名称が正式に「セルシウス」へ変更された[4]。これには、考案者であるセルシウスの認知のためとSI接頭語であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在においても英語圏では“centigrade”でも通じる。現在ではイギリスアイルランドの放送メディアにおいては、かつて使われたcentigradeを用いず、セルシウスと呼ぶようになっている。アメリカ合衆国では日常生活の全般を通じて、依然として華氏度(及び華氏温度)がよく用いられており、華氏度単独で表記するか、華氏度とcentigradeを併記している。

日本や中国では、摂氏度(せっしど)、日本ではセ氏度(セしど)と呼ばれることがある。摂氏の語源は、セルシウスの中国音訳「摂爾修斯」(繁体字: 攝爾修斯; 簡体字: ??修斯; ?音: She'?rxi?s?)から「摂」+人名に付ける接尾辞「氏」で、「摂氏」「温度」になった。日本の計量法は、名称として「セルシウス度」または「度」のみを定めており[5]、したがって、取引または証明に用いる場合(計量法#取引、証明とは)においては、摂氏度(せっしど)の名称もセ氏度(セしど)の名称も使用することはできない[注釈 2][6][7][8]

ただし、俗用(計量法の規制が働かない場合など、計量法#取引又は証明に該当しないもの)では、例えば「セ氏15度」や漢字による「摂氏15度」の表記もみられる。英語では“fifteen degrees Celsius”と読み、“15 deg C”と略記することがある。アメリカ合衆国では、“fifteen degrees centigrade”と読まれることがある。
温度差の名称

かつては、セルシウス度の温度間隔(temperature interval)または温度差(temperature difference)を表現するのに、degree(略字 deg) が用いられた。これは1948年の第9回CGPMが、「温度間隔または温度差を示すときには、degree またはその省略形の deg を用いなければならない」と定めたからである[9]。しかしこの規定は1967/68年の第13回CGPMの決議によって廃止され、更に1980年以降は、degree(略字 deg)の使用は禁じられている[10]



セルシウス度とセルシウス温度

「セルシウス温度(Celsius temperature)」は参照温度 T 0 {\displaystyle T_{0}} = 273.15 K(ほぼ氷点)からの温度差 t = T − T 0 {\displaystyle t=T-T_{0}} で定義される量の名称であり[1]、「セルシウス度(degree Celsius)」はセルシウス温度を表す温度の単位の名称である。温度の単位と言う場合は、他の物理単位と同様に、温度の1単位(即ち温度間隔)を言う。国際単位系(SI)や日本の計量法での「温度の単位」は、ケルビンまたはセルシウス度(または単に、度)である。

例えば、体温が36.5 °Cというとき、この36.5 °Cは温度の高さを表す「セルシウス温度」(Celsius temperature)であって、「セルシウス度」ではない。セルシウス温度(36.5 °Cなど)の表現のために用いられる単位(1度分の温度間隔)が「セルシウス度」(degree Celsius)である。体温が 36.5 °C から 38.7 °C に上昇した場合、「2.2 セルシウス度 (degrees Celsius) 上がった」または「2.2度 (degrees) 上がった」という言い方をするのであって、「2.2温度上がった」という言い方は誤りである。

しかし、日本語では、通常「体温は36.5度だ」と言い、「体温が2.2度上がった」と言って、同じ「度」を用いるために、字面上も観念上も、区別が分かりにくいが、異なった概念である。英語では temperature と degree とで区別が分かりやすい。そして、1セルシウス度 = 1 K(ケルビン) である。

しかしながら、一般にはこの違いが意識されず、「セルシウス度」と「セルシウス温度」とがしばしば混同され、混乱を招くことが多い(この混同は、「華氏度」と「華氏温度」にも見られる)。

量と単位の対応ケルビンセルシウス系華氏系
量名称熱力学温度セルシウス温度華氏温度
英語名thermodynamic temperatureCelsius temperatureFahrenheit temperature
対応(体温の例)309.65 K36.5 °C97.7 °F
単位名称ケルビンセルシウス度華氏度
英語名kelvindegree Celsiusdegree Fahrenheit
換算°C = K°F = 5/9 K

記号

セルシウス度、セルシウス温度の単位記号は、計量法でも国際単位系(SI)でも大文字立体の「°C」である[11][12]。°Cは一つの記号であり、「° C」のように離して書いてはならない。

数値と記号の間には1字分の空白(通常は半角スペース(en:thin space))を挿入するのが国際単位系でのルールである[13]。ただし、スペースを入れないとする流儀もある。
用法

セルシウス度は、国際単位系(SI)における取り扱いが、他の単位と異なる点がある。その定義は、温度のSI基本単位の一つである、熱力学温度ケルビンの項でなされている。

一方で、セルシウス度は、「表 4 固有の名称と記号を持つ22個のSI単位[14]」において次のように掲げられている。

表4 固有の名称と記号を持つ22個のSI単位(抜粋)組立量単位の固有の名称基本単位のみによる表現他のSI単位も用いた表現
セルシウス温度セルシウス度(注f)°C = K
(注f) セルシウス度は、セルシウス温度を表すために使用される。温度差または温度間隔を表す数値は、セルシウス度とケルビンのいずれで表しても同じである。

「単位の名称」では次のようになっている[15]。単位の名称は、通常、直立体で表記し、通常の名詞のように扱う。英語では、文頭の場合もしくは表題のように大文字で書き始めるものを除き、単位の名称は(単位記号が大文字で始まる場合でも)小文字で書き始める。この規則に従って、記号 °C の単位の名称の正しいつづりは「degree Celsius(セルシウス度)」となる(単位 degree は小文字の d で始まり、その修飾語である Celsius は人名に由来するため大文字の C で始まる)。

「量の値の形式」では次のようになっている[16]。数値は、常に単位の前に来て、必ず 1 字分の空白を使って数字と単位を離す。(中略)この規則により、セルシウス温度 t {\displaystyle t} の値を表記するには、その単位記号である °C の前に 1 字分の空白を挿入する。

例: t {\displaystyle t} = 30.2 °C

不適例: t {\displaystyle t} = 30.2°C

不適例: t {\displaystyle t} = 30.2° C

SI接頭語

セルシウス度の倍量分量を表すために、例えば、m°C (ミリセルシウス度)のように、SI接頭語を付けることができる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:54 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef