この項目では、植物のセリについて説明しています。その他の用法については「せり」をご覧ください。
セリ
愛媛県広見町(現・鬼北町)、2004年8月22日
分類(APG III)
セリ(芹[5]、学名: Oenanthe javanica)は、セリ科セリ属の多年草である。日本原産で、春の七草の一つ。水田の畔道や湿地などに生え、野菜として栽培もされている。独特の強い香りと歯触りに特徴がある。 和名セリの語源は、若葉の成長が競り合うように背丈を伸ばし群生して見えることから、「競り(セリ)」とよばれるようになったと言われている[6][7]。英名はウォーター・ドロップウォート (Water dropwort) [8]、中国植物名(漢名)は、水芹(スイキン)[1][9]という。 別名で、サケバゼリ[1]、タゼリ[10]、オカゼリ[10]、ミズゼリ[10]、ノゼリ[11]ともよばれる。食用とする際の観点から、田のあぜなどに自生する野生のセリを「山ぜり」[注 1]あるいは「野ぜり」、水田で栽培されているものを「田ぜり」、畑で栽培されるものを「畑ぜり」と称している[8]。また、田のあぜによくは生えているので、タゼリとよばれる場合もある[5]。 学名の種小名 javanica(ジャヴァニカ)は、セリが東南アジア地域にも分布することから、その代表地名として名づけられたものと考えられている[12]。 日本原産で[13]、シベリア沿海州、サハリン、朝鮮半島、中国、台湾などの東アジアや、インドシナ半島、フィリピン、インドネシアなど東南アジアの北半球一帯と、オーストラリア大陸に渡って広く分布する[12][14]。日本では北海道、本州、四国、九州の各地に分布しており[15]、30種ほどあるセリ科植物のなかでも、セリ(Oenanthe javanica)だけが日本全土に自生する[12]。平地の市街地周辺や農耕地から山地まで分布する[5]。湿地やあぜ道、水田[16]や休耕田など土壌水分の多い場所や、農地の水路、小川のほとりなど細い流れがある水辺に群生する湿地性植物である[17][18][10]。若葉は春の七草で、水田で野菜としても栽培されている[19][14]。 常緑の多年性草本で、高さは20 - 80センチメートル (cm) 程度になり[14]、茎や葉など全草に芳香がある[15]。 春から夏場までの日が長い時期(3 - 9月)は、泥の中や表面を横に這うように根元から白く長い匍匐枝(ほふくし)を多数伸ばして、秋から冬にかけて日が短い低温期は、多数の根生葉を叢生する[20]。秋(9 - 10月)にその匍匐枝の節から盛んに白いひげ根を出して、新しい苗ができて盛んに成長する[17][15][20]。晩秋(10 - 11月)に長い柄のある根出葉を盛んに出して[14]、冬場(12 - 3月)は根出葉の伸長は停止して、枯れることなく冬を越す[20][11]。 葉は根際に集まってつく根生葉と、茎に互生してつく葉に分けられ、ともに1 - 2回3出羽状複葉で、全長は30 cm以上になる[21][14]。
名称
分布・生育地
形態
Size:82 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef