セグウェイ
[Wikipedia|▼Menu]
ロボットミュージアム in 名古屋にて展示されたセグウェイHT(2007年)ザールブリュッケンの警察官によるセグウェイPTの運用試験(2006年)

セグウェイ (: Segway Personal Transporter, Segway PT) とは、アメリカの発明家ディーン・ケーメンを中心に開発され、Segway Inc.によって販売された電動二輪車。

立ち乗りで、車輪が2つ並んだ「並行二輪車」の一種である。アクセルハンドルなどを備えず、操縦は乗り手が体重移動によって行うという特徴がある。バッテリーを搭載し電動で動く。名称は音楽用語の「Segue」に由来し「ある状態からなめらかに移行する」といった意味とした。またロゴマークは直立した人間が風を切って走る形を図案化した[1]
歴史

平行二輪車の技術はケーメンが「フレッド」の名で開発していた高機能車椅子iBOT(英語版)から派生したものである。アメリカでiBOTの認可がなかなか下りないためにセグウェイの販売を先行させたとされる。
秘密裏の開発と期待の肥大化
初期モデル (Segway HT) 開発時のコードネームは「ジンジャー」 (Ginger)だった。2001年12月の発表以前は、その実体は極秘とされていた。その上で実物を見たビル・ゲイツスティーブ・ジョブズジェフ・ベゾスといったIT界の著名人達が「人間の移動形態を変える革命的な製品」と絶賛した。そのため、正体不明の「ジンジャー」に対する米マスコミ期待は過熱し、マスコミはこぞって正体不明の「ジンジャー」の話題をさかんに伝えた。ケーメンの持つ特許に関する情報からの、ほぼ正しい予想も少数ながらあったものの、他方で「空中に浮かぶスケートボード」「タイムマシン」といった過大な予想も多かった。
マーケティング分析の失敗と販売低迷
発売当初の価格は、Amazon.comで5,000ドル、日本円で約60万円だった。当初、「米国で100万台を販売した後に世界進出」が目標とされていたが、この高価格がネックとなり販売は低迷。実際の3年間の販売数はわずか約6,000台に留まった。ガソリンを使わない移動手段なので、発売当時は「環境にやさしい近距離圏の車」といった訴求点をアピールした。しかし、車両としては最高速度が19km/hでは遅すぎるし小さすぎる、歩行の代わりとしては自転車があるといった矛盾が指摘された。米国では肥満社会問題化しており、このような高価格製品を購入できる層は歩行ジョギングを重視しているのでセグウェイを買う気にはならず、セグウェイ社はターゲット層を見誤った、とする分析が、コトラーなどマーケティングの専門家によってなされている[2]セグウェイでパトロール中のニューヨーク警察官(2008年)。主な購入者はセグウェイ社が当初設定したターゲット層ではなかった。アメリカの一部の地域の警察郵便局に無料で貸し出された後、その機動力や 乗り手が周囲とコミュニケーションしやすいことが評価されて、各地の警察や民間警備会社などで正式に導入された。米国では歩道での乗り物の走行を禁じているサンフランシスコのように、セグウェイの公道利用を認めていない自治体も一部あるものの、多くの州で歩道で一部の乗り物の走行が可能な法体系となっている。加えて、日本と違って自転車道の整備も進んでいるので、こうした導入がすんなり可能となった。2004年時点ではアメリカ航空宇宙局国防高等研究計画局の協力のもと、セグウェイを応用して開発中の宇宙用ロボット(ロボノート)を移動させる研究も行われていた[3]
転倒の多発とイメージの悪化
当時の米大統領だったブッシュも購入し、父親のブッシュ元大統領にも誕生日プレゼントとしてセグウェイを贈った。その大統領が休暇中、電源投入後で起動準備中のセグウェイに搭乗しようとして転びそうになった場面[4]テレビで放映された事でセグウェイの製品イメージが悪化し、売上を落とす一因となった[5]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:58 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef