セイヨウキヅタ (学名:Hedera helix) は、ヨーロッパや西アジアのほとんどの地域で自生しているウコギ科の被子植物である。常緑のつるは、横方向に伝って成長し、家の壁、木の幹、庭園、ゴミ捨て場を覆い尽くす。新たに侵入してきた地域では、侵入生物種として扱われている。 学名のヘデラ(Hedera)はツタの総称である。小名のヘリックス(helix) は古代ギリシャ語の「ねじれ」を意味する言葉から派生した[1]。 セイヨウキヅタは、 常緑のつる植物であり、高さ20-30メートルに成長し、細根を利用して、崖や壁などによじ登って成長する。また、垂直面以外の場所でも地面を覆うようにして成長する。 葉は互生で、長さ50-100mm、葉柄は15-20mmである。葉は若葉のときは掌状で5裂であるが、成葉になると切れ込みが見られず心臓のような形となる。花は、それぞれ直径3-5センチであり、小さな緑がかった黄色をしている。そして蜜が豊富にあり、晩夏から晩秋までのミツバチや他の昆虫のための重要な食料源となる。 果実は直径6-8 mmで、冬の終わり頃に橙黄色から紫黒色に成熟する[2]。人間にとっては有毒であるが、多くの鳥にとっては重要な食料である。 果実には種子が5個あり、鳥に食べられることにより、広範囲に種子が散布される[3][4][5] 壁あるいは木の幹を登るため細根を茎から生やしている セイヨウキヅタは、アイルランド北東部、スカンジナビア半島南部、ポルトガル南部、ウクライナ東部、イランおよびトルコ北部にかけて自生している。 北限地あるいは東限地は冬になると約-2℃になるが、西限地と南西限地では、他種のキヅタに遷移している[3][4][5][6][7][8]。 アグドにあるモミジバスズカケノキに絡みつくセイヨウキヅタ セイヨウキヅタは、観賞植物として広く栽培されている。自生地では、他の生物を数多く集めている。花には、70種以上の昆虫が蜜を求めて集まり、少なくとも16種の鳥が実を食べている。葉は密集した状態になることから緑の避難所としての役割を提供し、また、シカの餌となる[3][9]。 セイヨウキヅタは、管理していないと、すぐに生垣、木、境界線を超えて侵入し、庭園の厄介な植物となり、管理されていない空き地にも侵入することがある。栽培品種として30種以上あり、黄色、白、 多色(例えば「氷河(Glacier)」)、葉に深い切れ込みがあるもの(例えば「Sagittifolia 」)、紫色の茎、矮小品種などのような特徴をもつ品種が選抜されている[10]。 自然のサポニンを多く含むため、昔からイギリスやフランス等のヨーロッパやアメリカでは洗濯洗剤や食器洗剤として使用されてきました。洗剤の作り方は簡単です。葉っぱを刻んで水で煮出して、24時間浸し置きし、絞って残りの液を使用します。 マルボルク城のエントランスを覆うセイヨウキヅタ セイヨウキヅタは、他の外来種のように主に人の手によって世界中に広がった。セイヨウキヅタはアメリカの多くの地域で侵入種として指定され、オレゴン州では、販売または輸入は禁止されている[11]。 第三紀の現在より湿度の高かったとき、温帯雨林が地中海沿岸の地域を覆っており、その名残としてゲッケイジュとセイヨウヒイラギが広く自生している。氷河作用により、セイヨウキヅタはいったん姿を消したが、温暖な気候に戻った時、鳥により再び大陸に広がったと考えられている[12]。 セイヨウキヅタの適用能力により、原産地であるヨーロッパと似た気候であればどの地域でも生育することができ、いくつかの種への分化も見られている。 古い建物の壁を覆うアイビーの姿は、多くの場合魅力的な光景である。断熱効果の利点があるが、管理されていなければ問題が生じる。特にセイヨウキヅタは、非常に急速に成長し、茎全体に沿って生えてくる細根によってしがみつく。これらは、壁に見苦しい「あしあと」を残すことになる。除去するのが困難であり、場合によっては高価な再舗装作業を行う必要が出てくることもある。さらに、溝や屋根裏に侵入し、タイルを持ち上げて、排水路を塞ぐこともある。そのことが、ネズミなどの厄介生物の住処となる場合もある。再び生えてこなくするには、根元で切断し、切り株を掘り上げて根絶やしにする必要がある[13]。
目次
1 語源
2 概要
3 自生範囲
4 栽培と用途
5 侵入生物種
6 建物への被害
7 脚注
8 外部リンク
語源
概要
自生範囲
栽培と用途
侵入生物種
建物への被害
脚注^ Harrison, Lorraine (2012). RHS Latin for gardeners. United Kingdom: Mitchell Beazley. p. 224. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/65/Lock-green.svg/9px-Lock-green.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg/9px-Lock-gray-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/aa/Lock-red-alt-2.svg/9px-Lock-red-alt-2.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration{color:#555}.mw-parser-output .cs1-subscription span,.mw-parser-output .cs1-registration span{border-bottom:1px dotted;cursor:help}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4c/Wikisource-logo.svg/12px-Wikisource-logo.svg.png")no-repeat;background-position:right .1em center}.mw-parser-output code.cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:inherit;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-visible-error{font-size:100%}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#33aa33;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-subscription,.mw-parser-output .cs1-registration,.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right,.mw-parser-output .cs1-kern-wl-right{padding-right:0.2em}ISBN 978-1-84533-731-5.
^ RHS A-Z encyclopedia of garden plants. United Kingdom: Dorling Kindersley. (2008). p. 1136. ISBN 1-4053-3296-4.
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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