セイタカアワダチソウ
[Wikipedia|▼Menu]

セイタカアワダチソウ
セイタカアワダチソウ Solidago canadensis
分類

:植物界 Plantae
階級なし:被子植物 Angiosperms
階級なし:真正双子葉類 Eudicots
階級なし:キク類 Asterids
:キク目 Asterales
:キク科 Asteraceae
:アキノキリンソウ属 Solidago
:セイタカアワダチソウ S. canadensis

学名
Solidago canadensis var. scabra
L.
シノニム

Solidago altissima
和名
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)
英名
Tall goldenrod

セイタカアワダチソウ(背高泡立草、学名:Solidago canadensis var. scabra または Solidago altissima)は、キク科アキノキリンソウ属多年草で、帰化植物。日本では代萩とも呼ばれる。茎を乾燥したものは、すだれや、お茶などの材料に利用される。花粉症の原因とされるのはセイタカアワダチソウによく似たブタクサという種である。
概要 セイタカアワダチソウの花

北アメリカ原産で、日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物外来種)であり、ススキなどの在来種と競合する。11月頃まで開花している。河原や空き地などに群生し、高さは1 - 2.5m、良く肥えた土地では3.5 - 4.5m程度にもなる[1]は、下の方ではほとんど枝分かれがなく、先の方でを付ける枝を多数出す。花期は秋で、濃黄色の小さな花を多く付ける。種子だけでなく地下茎でも増える[2]アレロパシーを有する(後述)。

日本における分布状況は、北海道の一部から沖縄までとなっており[3][4]、一部調査で北限の変化が確認されたことから、繁殖域が北上している可能性がある[3]

同時期(次節参照)に増えた、帰化植物のブタクサと時折間違われ、花粉症の原因だと言われるが、別の植物である。

英語ではカナダ・ゴールデンロッド(Canada Goldenrod)、カナディアン・ゴールデンロッド(Canadian Goldenrod)、レイト・ゴールデンロッド(Late Goldenrod)、トール・ゴールデンロッド(Tall Goldenrod、ただしこの語は「ジャイアント・ゴールデンロッド」ことオオアワダチソウのことを指すこともある)、などと言う。

アキノキリンソウ属の植物を総称して『ゴールデンロッド』と呼ばれるが、セイタカアワダチソウの原産地である北アメリカ大陸の北中部(カナダのオンタリオ州やアメリカのオハイオ州など)では、単にゴールデンロッドと言うとセイタカアワダチソウを指すことが多い。これらの地域では蜜源植物としても重要である。カナダ・アメリカ・メキシコ北部の至る所に生えている。

学名は「Solidago canadensis」である。ただし「Solidago canadensis」と呼称されている植物は、現代の分子系統学的研究でゲノムを解析した結果、「Solidago altissima(Solidago canadensis var. scabra(シノニム)」や「Solidago anthropogena(Solidago canadensis L)」など、複数の種を内在していることが分かっており、つまり種複合体(species complex、複数の種が一括りにされたもの)である。

日本のセイタカアワダチソウは、Solidago canadensis種複合体の中では「Solidago altissima」ではないかとされている。
特徴 教会の前に咲くセイタカアワダチソウ

背の高くなる多年生草本[5]地下茎を伸ばして良く増え、大きな群落を作る。背は高く、1-2mに達する。葉は茎に沿って多数が密生して付き、披針形で先端は伸びて尖り、長さ6-13センチメートル、幅1-2センチメートル。葉脈は主脈と1対の側脈、計3本の脈が目立つ。また茎や葉の全体に短くて固い毛が多く、手触りがざらついている。ロゼットで越冬する[6]

花は10-11月に咲く。花序は全体としては円錐花序となり、個々の枝は小さな頭花を総状に多数つけ、そのような横枝が主軸に対して直角に近い大きな角度を成して広がる。つまり主軸が上に伸びるのに対し、多数の花をつけた横枝が水平に近い方向へ伸びる。総苞は長さ3.2-5mm、舌状花の花冠は長さ4mm。
類似の種

やはり帰化植物オオアワダチソウ S. gigantea var. leiophylla は本種に似ているが全体に毛がない。また開花はやや早くて7-9月である。同属の日本産のものにアキノキリンソウ S. virgaurea があり、これは変異に富む種で、複数の変異を含み、一部は別種とされることもあるが、総じて小型で背丈は大きくても80センチメートル程度である。また花序は枝が広がらず、花数は遙かに少なく、個々の花はより大きい[7]
日本への侵入と拡散

日本国内への移入は、明治時代末期に園芸目的で持ち込まれ[8][9][10]、「昭和の初めには既に帰化が知られている」との記述が牧野日本植物図鑑にある[11]。その存在が目立つようになったのは第二次世界大戦後で、アメリカ軍の輸入物資に付いていた種子によるもの[8]等が拡大起因とされており、昭和40年代以降には全国、北海道では比較的少ないが関東以西から九州にて特に大繁殖するようになった[8]。沖縄県へも侵入しているが、沖縄本島久米島などの一部地域で小規模な繁茂に留まっている[3][4]

1970年代までは、環境適用性が高さや蜜源がすくなくなる10月から11月にかけて花を咲かせる特徴から養蜂家に注目され、養蜂家の自家栽培などによって増殖や配布が行われたが、採取される蜂蜜には特有の臭みがあり二級品としての評価しか得られなかった[6][12]

外来生物法により要注意外来生物に指定されているほか、日本生態学会によって日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれている[13]

昭和40年代に、日本でセイタカアワダチソウが社会問題となった理由として、戦後の減反政策によって、休耕田となった土地に今まで見たことのない外来種の大きい草が突然いっぱい生えてきたという他に、当時は気管支喘息花粉症の元凶だと誤解されていたことも一因であったが、セイタカアワダチソウは虫媒花風媒花ではないので、花粉の生成量は少ない上に比較的重く、形状も風で飛ぶのには不適であるため[11][14]、無関係と考えられている[9][11]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:45 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef