ズーチェック運動
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アンチ・ズー団体による動物園ボイコットのデモ行動 (PETA)[1]

ズーチェック運動(ズーチェックうんどう、: Zoo Check Campaign)とは、動物園を監視する“動物園調査”(Zoo Check , Zoo Investigation)を通して、「貧弱[2]」「わびしい[2][注釈 1]などと形容される展示を行う動物園に対して抗議活動などをし、それによって、人間に“搾取”される動物の削減を行うことを目的としている市民活動のことである[注釈 2]
概説動物園ボランティアの作業風景(米)

動物権利運動[注釈 3]に伴い、“動物園廃止運動”として1970年代の欧州からはじまり、80-90年代に広まった[3]。この運動は、動物園の飼育動物の環境改善を目指す動物福祉の向上を狙う目的だけではなく、公衆から“わびしい展示”が見えなければいいとする大衆運動でもあり[注釈 4]、動物園調査の結果、動物福祉が劣るとみなされた動物園は、閉鎖勧告を受けるなどの攻撃対象にされ、対象とされた動物園は閉鎖に至ったり、雇用が失われたり、動物の殺処分や自然減が行われる[注釈 5]

この市民活動や時代の変化に対応する形で、動物園の展示技術の向上や、飼育動物の環境エンリッチメント (environmental enrichment) の概念が1980年代の米国で成長し[3]、動物園で様々な試みが行われ、そして善い変革を行うよう推奨する市民活動も「市民ZOOネットワーク」などにより行われる[注釈 6]
動物園調査とは
意味

動物園調査は狭義には、1980年代に英国人が始めたとされ、ズーチェック団体[注釈 7]や教育機関などが用意する“独自の調査法”[注釈 8]に基づき、動物園に飼養される動物に関して、市民が改善点[注釈 9]を探す私的調査、外部調査を指す[4][5]。狭義の動物園調査(ズーチェック)は、米国では1980年に[3]、英国では1984年に[6]、日本では1996年に[7]、中国では2010年に[5]、幾つかの動物園で行われた。

広義の動物園調査とは、ズーチェック団体の考えた狭義の調査法とは無関係に、従来通り、動物園への市民・消費者からの苦情や要望、あるいは専門家の意見まで、外部から様々な改善点を見つけることである[注釈 10][8][9][10][11]。調査の目的は様々であるが、その時代に見合った「動物園の正常化」を目指すもので、学術権威が意見する場合もある[12]。日本での広義の動物園調査は1905年の上野動物園のゾウ飼育にさかのぼることができる[13]

“動物園調査”を示す「ズーチェック」という呼称が造られる以前から、動物園には人びとの様々な考えが寄せられていたが、その「考えを見つけること」が動物園調査である[注釈 11]。なお、公的機関が動物園を検査する場合は“査察”であり、施設の開設前に行われる査察は“審査”と呼ばれ、何れも一般市民の動物園調査とは異なり法定権限や指導力、専門性を持つ。また、動物園が自園を調査することは一般に内部調査でありズーチェック(動物園調査)とは呼ばない。[注釈 12]
市民参加と公表

狭義の動物園調査(ズーチェック)は専門家だけではなく広く大衆が行えるように、動物の典型的なストレス行動の例や、わびしい展示の例、動物園の抱える課題などを書籍やインターネットなどで予め啓発する[4][14][15]。広く大衆に啓発するのは、市民(消費者)の意識向上の狙いがある。また、ズーチェック団体自身も動物園調査を行い、結果を公表し抗議活動を行う場合もある。例えば、東京の動物権利団体による動物園調査の結果[7]、神奈川県小田原市の小田原動物園が狭いことが判り、その団体の抗議活動などが行われ、2012年現在、閉園する方向となっている[注釈 13]
チェックリストの内容

著名なズーチェック団体が掲げるチェックリストでは、動物の把握、飼養場の把握、環境の把握、給餌と給水の把握、安全策などに分類される調査内容を最低限含むこととされている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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