スーパーライセンス
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スーパーライセンス(Super Licence)は、国際自動車連盟(FIA)が発給するモータースポーツライセンスのクラスの一つ。競技運転者(ドライバー)としてフォーミュラ1(F1)に参戦するためにはこのスーパーライセンスを所持していることが必須条件。モータースポーツライセンスのトップライセンスである。

FIAのF1 Sporting Regulationによれば、スーパーライセンスには「ドライバー」「チーム」(Competitor)「オフィシャル」の3種類が存在するが、本記事ではその中でも特にドライバーライセンスについて解説する。
ドライバーライセンス

ドライバーがスーパーライセンスの発給を受けるための条件は、FIA国際スポーツ規則補則L項[1]の中で規定されており、2021年現在は以下の条件を満たすことが必要とされている。なお、書面としての「スーパーライセンス」はない。ライセンスは12ヶ月有効であり、下記の条件を満たしていない場合は更新にあたりF1委員会の審査が必要になる。条件を満たしているが発給を受けられなかった場合を考慮し、発給資格は3年間有効とする[2]
FIAの発給する国際A級ライセンスを所持する。

申請時に有効な自動車の運転免許証を取得していること。

最初のレースに参加する時点で18歳以上であること。2015年に、オランダのF1ドライバーマックス・フェルスタッペン(1997年9月30日生 - )が史上最年少となる17歳166日でF1にデビューしたことで、F1ドライバーのさらなる低年齢化や経験不足を懸念する声があったため、2016年から1・2の項目および「下位カテゴリのレース(以下の表に示すレース)に2年以上参戦し、一定のポイントを獲得すること」が追加された。

F1のスポーティングレギュレーションのうち、重要な項目に関する知識を問うテストに合格すること。

申請日までの180日以内に、現行のF1車両を用い最低2日間、300km以上の走行テストを実施する。さらにこのテストを実施国のASN(Authority Sport Nationale、自動車連盟のこと)により証明される。

以下のいずれかに該当すること。
前年のF1世界選手権各大会に5回以上出走している

過去3年のF1世界選手権各大会に15回以上出走している

以下の表に示すレース選手権に2年以上(開催レース数の80%)参戦し、年間順位に応じて与えられるライセンスポイントを、3年間で合計40点以上獲得する

※以下は2024年1月現在。

選手権1位2位3位4位5位6位7位8位9位10位
FIA F2選手権4040403020108643
インディカー・シリーズ40302010864321
FIA F3選手権302520151297532
FIA フォーミュラE選手権30252010864321
FIA WEC ハイパーカー3024201612108642
スーパーフォーミュラ
フォーミュラ リージョナル・ヨーロッパ25201510753210
FIA WEC LMP220161210864200
SUPER GT GT500
IMSA GTP20161210753210
フォーミュラ リージョナル (中東・アジア・アメリカ・ジャパン・オセアニア・インド)18141210643210
DTM
FIA WTCR
スーパーカーズ選手権
NASCARカップ・シリーズ
インディNXT
Wシリーズ
ユーロフォーミュラ・オープン
スーパーフォーミュラ・ライツ1512107532100
FIA F4選手権
FIA WEC LMGT3
FIA WEC LMGTE Pro121075321000
ル・マン・シリーズ LMP2(ELMSAsLMSIMSA)
FIA WEC LMGTE Am
IMSA GTD Pro10864200000
F3国内選手権
F1アカデミー
USF・プロ2000
GB3選手権
NASCAR エクスフィニティ・シリーズ10753100000
国際GT3シリーズ6420000000
FIA 世界カート選手権 シニア4321000000
FIA 大陸カート選手権 シニア
FIA 世界カート選手権 ジュニア3210000000
FIA 大陸カート選手権 ジュニア2100000000


FIA直轄のシリーズでは、参戦中に大きな規約違反を犯さなかった場合、セーフティボーナスポイントとして2点が与えられる[3][4]

1年間でポイントシステムに加算可能なポイントは、2018年までは2シリーズまで認められていたが、2019年からは1シリーズのみとなる[5]。またポイントシステム自体も毎年見直しが行われており、同じシリーズでも年によって獲得できるポイントには変動がある。

ポイントシステムの要件を満たさないドライバーへのライセンス発給が一切認められないというわけではなく、例えば2010年ミハエル・シューマッハのケース(一時引退により3年間のブランクがあった)では「特例としてライセンスを発給するだろう」としている[6]。実際にロバート・クビサに対しては、怪我等のため2010年を最後にF1の実戦から離れておりポイントシステムの要件を満たしていなかったものの、過去の実績及び復帰後のテストでの走行結果から、2017年にライセンス発給が認められている[7]

年度の途中でスーパーライセンスの発給申請がなされた場合、前年までに獲得したポイントに加え当該年度のレースで獲得できる見込みのポイントを考慮に入れることで発給が認められる場合がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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