スーパーバイク世界選手権
[Wikipedia|▼Menu]

スーパーバイク世界選手権
カテゴリオートバイレース
国・地域国際
開始年1988年 (36年前) (1988)
チーム5 マニファクチャラー (ドゥカティ, BMW, ホンダ, カワサキ, ヤマハ
ライダーズ
チャンピオン アルバロ・バウティスタ
チーム
チャンピオン Aruba.it レーシング - ドゥカティ
マニュファクチャラーズ
チャンピオン ドゥカティ
公式サイトThe Official SBK Website
現在のシーズン

スーパーバイク世界選手権(スーパーバイクせかいせんしゅけん、SBK[1]、もしくはWorld Superbike Championship(略称:WSBまたはWSBK))とは、4ストロークの2・3・4気筒エンジン搭載[2]の市販自動二輪車を用い、舗装されたクローズドサーキットで行われるオートバイレースの世界選手権である。

国際モーターサイクリズム連盟(FIM)が統括、ドルナスポーツが主催している。2012年までの主催者はイタリアのFGスポーツであった。
概要スタート風景(2008年、Brno)

AMAライダーのスティーブ・マクラフリンが車種の多様な4ストロークエンジンの市販車を用いたレースとして発案。1988年よりFIM公認の世界選手権として開催されている。ロードレース世界選手権(MotoGP)と異なりレース専用に開発された車両ではなく、市販車をベースとした改造車両で行われる。4輪レースのフォーミュラカー選手権に対するGT選手権に例えられるが、同一サーキットにおけるラップタイムの差は4輪のそれに比べ非常に小さく、条件次第ではMotoGPマシンのラップタイムを凌駕することもある。

世界の主なオートバイメーカーがスーパースポーツカテゴリーの旗艦モデルを投入し、レース参戦から得た技術を競い市販車にフィードバック、ブランドイメージの向上と技術開発の場としての側面もある。

レースは主に欧州を中心とした世界各国で開催される。年間13ラウンド前後で行われているが、2020年COVID-19の世界的な蔓延により8ラウンドに短縮されて行われた。日本でも開幕初年度からスポーツランドSUGOでも開催されていたが、2004年以降は開催されていない。

レース方式でMotoGPとの差別化が図られているが、中でも最大の違いは1大会につき複数の決勝レースが行われる事である(2003年からMotoGPでも土曜に行われるスプリントレースが導入されているが、公式の勝利数としてカウントされないなど「決勝レース」と位置づけられていない)。予選方式にも特徴があり、過去様々な方式が導入された。表彰式では優勝したライダーの国歌と共に優勝車両のマニュファクチャラーの国歌も流される事もスーパーバイク世界選手権の特徴である。

サポートレースとして、600cc級のスーパースポーツ世界選手権、300cc級のスーパースポーツ300世界選手権が併催されている。かつてはスーパーストック1000、スーパーストック600、ヨーロピアンジュニアカップもサポートレースとして併催されていた。
エントラント
ライダー2015年・2016年・2017年・2018年・2019年・2020年と、前人未到の6年連続でスーパーバイク世界選手権のチャンピオンとなったジョナサン・レイ。近年の当大会ライダーの代表格である。

主に世界各国の国内選手権の上位成績者やロードレース世界選手権からの転向者が参戦している。

歴代の最多タイトル獲得・最多勝ライダーはジョナサン・レイで、2015年の初タイトル獲得から2020年まで前人未到の6連覇を達成、勝利数は2022年シーズン終了時点で118勝である。タイトル数・勝利数の次点はカール・フォガティで、1994年1995年1998年1999年の計4回のタイトル、通算59勝である。

日本人ライダーもこれまでに計15名超が参戦している(→#主な日本人ライダー)。2021年まで日本人ライダーによるタイトル獲得は達成されておらず、芳賀紀行の年間ランキング2位(2000年2007年2009年)が最高位である。直近では2021年から2年間、GRTヤマハWSBKジュニアチームより野左根航汰が参戦した。なお、最年少優勝記録は1996年の日本ラウンドにワイルドカード参戦した武田雄一(当時18歳8ヶ月27日)によるものであるが、これは日本人ライダーの初優勝でもある。
マニュファクチャラー(メーカー)

スーパースポーツ車両を製造する世界各国の主要なオートバイメーカーが参戦しており、2022年シーズンでは、カワサキ(ニンジャZX-10RR)、ドゥカティ(パニガーレV4R)、ヤマハ[3](YZF-R1)、ホンダ(CBR1000RR-R)、BMW(M1000RR)の5社がフル参戦した。参戦メーカーは世界的な景気動向や他の選手権への注力、倒産などにより度々変動しており、かつてはスズキアプリリアMVアグスタビモータビューエル等も参戦していた。なお、フル参戦を取りやめているメーカーの車両がスポット参戦することもあり、2021年にはスペイン選手権に参戦中の浦本修充スズキGSX-R1000Rで第7戦ナバラに参戦した。

マニュファクチャラーズタイトルの獲得数はドゥカティが1位で2022年までの35シーズン中17回と圧倒している。ただし、2002年までのレギュレーションは明らかにドゥカティが走らせていた2気筒車両に有利なもので、17回中11回は2002年以前に獲得したものである。次点はカワサキの6回で2015年の初獲得以降2020年まで6連覇を達成、以下アプリリアとホンダが4回、ヤマハが3回、スズキが1回である。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}各マニファクチャラーの車体とライダーのイメージ(2007年の例)

カワサキ・ニンジャZX-10Rを駆るフォンシ・ニエト

ホンダ・CBR1000RRを駆るジェームス・トスランド

スズキ・GSX-R1000 K7を駆るマックス・ビアッジ

ヤマハ・YZF-R1を駆る芳賀紀行

ドゥカティ・999F07を駆るen:Lorenzo Lanzi

タイヤ

2003年まではミシュランダンロップ等複数のタイヤメーカーが参戦していたが、2002年以降ミシュランの性能が突出、2002年と2003年はミシュランタイヤを使用するごく一部のチームに勝者が集中するようになってしまったため、2004年からタイヤワンメイクが導入された。以来現在に至るまでピレリ一社が供給している。

ピレリのスーパーバイクレース用スリックタイヤはコンパウンドが柔らかい物から順にSCX、SC0、SC1、SC2、SC3の5種類(SCXはリアのみ)存在するが、近年のレースでは主にフロントタイヤはSC1とSC2、リアタイヤはSCXとSC0が使用されており、これらに加えて予選タイヤに相当するスーパーポールおよびスーパーポールレース用のハイグリップなリアタイヤとしてSCQが供給されている。2023年シーズンよりフロントタイヤにもSC0が導入されている。ウェットコンディション用にはインターミディエイトタイヤ(INT/SCW)とレインタイヤ(SCR1、SCR2)が供給されている。

これらの標準タイヤに加え、「開発ソリューション」と呼ばれる新開発のタイヤが実戦テストを兼ねて供給されることもある。これは次世代の標準タイヤ候補であり、良好な結果が得られた物は後に標準タイヤとして採用される。

SCXは2019年、スーパーポールレースの導入に合わせて新たに導入されたリアタイヤである。本来10周のスーパーポールレースでの使用を想定して作られたもので、SC0よりもグリップ力が強く好タイムが得られるが、上手く使えば20周前後の距離でも保たせる事ができるためレース1・レース2でも使用されるようになった。一般論としてレース用タイヤは路面温度が低い場合にソフトタイヤが、高い場合にハードタイヤが適すると言われているが、SCXはSC0よりもソフトなタイヤでありながら高い路面温度でその性能が発揮されるため、実際のレースでは路面温度が高い場合にSCXが、逆に低い場合にSC0が使用される事が多い。

SCQは2022年から予選タイヤに代わるものとして新たに導入されたタイヤである。2021年まではスーパーポール(予選)セッション専用にタイムアタックに特化した予選用リアタイヤが供給されていたが、予選タイヤはわずか1?2周で役目を終えるタイヤであり、環境問題の観点からFIMはこれを廃止するよう要望していたこともあってピレリは2021年限りで従来の予選タイヤを廃止、代わってSCQが2022年より予選における1周のタイムアタックから10周のスーパーポールレースまで対応可能なハイグリップタイヤとして供給されている。なお、SCQはレース1・レース2での使用は禁止されている[4]

供給されるタイヤの種類はサーキットによって異なり、開催時期やサーキットの性質に合わせて供給される。安全性などの理由によりSCQやSCXタイヤが供給されないサーキット(これらの場合、SCXがSCQの、SC0がSCXの代用となる)やSCXがレース1・レース2では使用できないサーキットも存在する。

リヤタイヤの種類はタイヤ左側面のラベルの色で識別することができるが、サイズが小さく、左側にしか無いため確認はやや困難である。ラベルの色は以下の通りである。

SCQ:紫、SCX:赤、SC0:白、SC1:青、SC2:緑
選手権の概要

決勝レースの着順に応じたポイントの合計により、ライダー、マニュファクチャラーの年間タイトルを競う。マニュファクチャラーズタイトルは各レースにおける同一メーカー最高位ライダーのポイントの年間合計により競われる。
ポイントシステム

レース1・レース2のポイントシステム着順123456789101112131415
得点252016131110987654321

スーパーポールレースのポイントシステム着順123456789
得点1297654321

予選

1998年より「スーパーポール」の呼称が使用されているが、その内容は開催時期により大きく異る。
現行(2019年-)

スーパーポールは全車一斉走行で行われる一般的な計時予選である。土曜午前のスーパーポールセッションにおけるラップタイムにより土曜午後に行うレース1のグリッドを決定する。スーパーポールレースのグリッドはレース1のグリッドと共通である。レース2のグリッドはスーパーポールレースの9位までの着順との組み合わせで決定する。
過去の予選方式
1998-2008年

金曜の午後と土曜の午前に計時予選を行い、下位(17番グリッド以降)のグリッドはこの2つの予選で決定された。予選上位16名のライダーは決勝前日午後のスーパーポールに進出、最終的なグリッドはこのセッションでのタイムにより決定、予選結果は2つのレース両方のグリッドに適用された。

当時のスーパーポールは鈴鹿8時間耐久レースの予選スペシャルステージ(現在のトップ10トライアル)同様、1台ずつのタイムアタックであった。他者に邪魔されない純粋なラップタイムを競うため好評だったが進行に時間がかかり、セッション中の天候の変化が公平を欠くなどの問題もあった。
2009年-2013年

スーパーポールはノックアウト方式に改められた。3セッション(ウエット宣言された場合は2セッション)で行われ、予選上位16名(2013年は15名)がスーパーポールに進出、SP1、SP2でそれぞれ下位4名(2013年は3名)が脱落、SP3は8名(2013年は9名)で競われた。この3つのセッションに対し各ライダーには合計2本の予選タイヤが供給された。当時の予選タイヤはわずか1-2周しか保たないがレースタイヤより遥かに高いグリップ力を発揮、大幅なラップタイムの短縮が期待され、この2本の予選タイヤを3つのセッションにいかに割り当てるかといった戦略も当時のスーパーポールの見所の一つであった。2014年以降のスーパーポールでも予選タイヤもしくはそれに近いスーパーソフトタイヤは使用されているが、単純にタイムアタックのために使用されており、当時の様な戦略性は失われている。
2014年-2018年

2014年、参戦台数確保のために導入されたEvoクラスのTV放送における露出を確保することを目的にMotoGPと同じ予選方法が導入された。

これまでのスーパーポールは予選上位ライダーのみが参加する特別セッションの位置付けであったが、2014年以降は全てのライダーが参加する予選セッションとなった。金曜・土曜の予選セッションは廃止(フリー走行に変更)され、予選はSP1・SP2、2つのセッションに集約された。フリー走行のラップタイム上位10名にはSP2の進出権が与えられ、11位以降のライダーはSP1を走行、SP1の上位2名にもSP2への進出権が与えられた。SP1で3位以降のライダーは13位以降でグリッド確定、SP2の結果によりポールポジションから12位までのグリッドが確定した。

2016年まで、予選結果は2つのレース両方のグリッドに適用されていた。

2017年・2018年はスーパーポールの結果はレース1のグリッドにのみ適用され、レース2のグリッドはレース1の着順により決定する、変則リバースグリッドが採用されていた。レース2のPPはレース1で4位のライダー、以下2列目6番グリッドまでをレース1の9位までのライダーが着順に割り当てられ、3列目は1位のライダーが9番、2位のライダーが8番、3位のライダーが7番グリッドからのスタートであった。
決勝

現在は1ラウンドに付き3レース制で、土曜午後にレース1、日曜午前にスーパーポールレース、午後にレース2を行う。

2018年まではレース1・レース2の2レース制で行われていた。2015年までは原則として両レース共に日曜に行われており、当時はレース2を控えているためレース1の表彰式ではシャンパンファイトは行われなかった。2016年以降、レース1を土曜、レース2を日曜に行うよう改められ、以降両レース共に表彰台でのシャンパンファイトが行われるようになった。スーパーポールレースが導入されたのは2019年からで、スーパーポールレースはレース2の予選を兼ねている。スーパーポールレースの表彰式は略式で表彰台のセレモニーは省略されているが、公式記録上3位以内のライダーは表彰台獲得者として記録されている。
参戦車両

出場できる車両は、FIMのホモロゲーション認証を受けた2・3・4気筒自然吸気4ストロークエンジンの市販自動二輪車。あくまでも市販車改造のレースであり、レースに特化した少数生産の競技専用車両の参戦を規制するため150台以上を製造・販売する事がホモロゲーション取得の条件となっており、参戦コストの高騰を防ぐため車両価格にも上限(44,000ユーロ)が設定されている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:99 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef