スーパーオキシドアニオン
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超酸化物(ちょうさんかぶつ、英語: superoxide)とは、スーパーオキシドアニオン化学式: O?
2 )を含む化学物質の総称である。自然界では酸素分子(O2)の一電子還元により広範囲に生成している点が重要であり[1]、1つの不対電子を持つ。スーパーオキシドアニオンは、二酸素と同様にフリーラジカルであり、常磁性を有する。一般に活性酸素と呼ばれる化学種の一種である。ルイス式で表したスーパーオキシドアニオン。それぞれの酸素原子に存在する、6つの外殻電子を黒点で表している。周りにある電子対は2つの酸素原子に共有され、左上には不対電子があり、(イオン化の時に)付加した電子による負電荷は赤点で表す。
生成、基本的な反応、構造

超酸化物の酸素原子はそれぞれ酸化数が?1/2である。O?
2 の O–O 結合距離は 1.33 A であり、それに対して、O2 では 1.21 A、O2?
2 では1.49 A である。

O2 とアルカリ金属とを直接反応させることで、超酸化セシウム (CsO2)、超酸化ルビジウム (RbO2)、超酸化カリウム (KO2)、超酸化ナトリウム (NaO2) が生成する[2]。500 °C、300 気圧以下の条件下では過酸化ナトリウム(Na2O2)が生成するので超酸化ナトリウム(NaO2)を生成するには500 °C、300気圧の高温高圧が必要である。MgCaSrBaなどアルカリ土類金属が酸素と反応した場合は相当する過酸化物塩が主生成物となり、副生成物(すなわち不純物)として相当する超酸化物塩が含まれる。

超酸化カリウムは O?
2 試剤として通常採用される試薬である。純度は~96%であり不純物としては過酸化カリウムを含む[3]

還元の過程では結合次数は O2 の2、O?
2 の1.5、O2?
2 の1へと変化する。

超酸化物とアルカリ金属とのは橙?黄色の結晶で乾燥状態では極めて安定である。しかし水に溶かすと、O?
2 は速やかに不均化する[3]。 2 O 2 − + H 2 O ⟶ O 2 ( g ) + HO 2 − + OH − {\displaystyle {\ce {2O2^- + H2O -> O2(g) + HO2^- + OH^-}}} 2 HO 2 − ⟶ O 2 ( g ) + 2 OH − {\displaystyle {\ce {2HO2^- -> O2(g) + 2OH^-}}} (律速)

この反応において O?
2 は強いブレンステッド塩基として作用し、最初は共役酸の HO2(ヒドロペルオキシルラジカル)が生成する。しかしその pKa は4.88であるため、中性条件のpH 7では超酸化物の大部分は O?
2 イオンとして存在する。

固体の塩も加熱により分解する。 2 NaO 2 ⟶ Na 2 O 2 + O 2 ( g ) {\displaystyle {\ce {2NaO2 -> Na2O2 + O2(g)}}}

この反応はスペースシャトル潜水艦で使用される化学酸素発生装置で超酸化カリウムが酸素源として利用される原理となっている。あるいは超酸化物は消防隊員酸素タンクの酸素源としても既に利用されている例がある。下記の反応のように閉鎖系で二酸化炭素の回収剤としても利用される[3]。 4 MO 2 ( s ) + 2 CO 2 ( g ) ⟶ 2 M 2 CO 3 + 3 O 2 ( g ) {\displaystyle {\ce {4MO2(s) + 2CO2(g) -> 2M2CO3 + 3O2(g)}}}

溶液下の O?
2 の反応性が詳しく研究されるようになるのは、O?
2 の酵素反応をESR分光計で追跡したのが始まりである(生体における超酸化物の節で詳しく説明する)。

水溶液中では O?
2 は不安定であるが、DMSO溶液中で、相間移動触媒の 16-C-6 で超酸化カリウムを可溶化した場合は安定化され溶媒との反応は遅い。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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