スルーズ(古ノルド語: Trudr、ラテン文字: ThrudまたはThrud)は、北欧神話の登場人物であり、その名は「強き者」を意味する[1] 。トールとシヴの娘として知られているほか、スルーズという名前はヴァルハラでエインヘリャルにエールをふるまうワルキューレの一柱の名前としてもあがっている[2]。トールとシヴの娘としてのスルーズと、ワルキューレとしてのスルーズが同一人物であったか否は定かではない[3]。
『古エッダ』の『アルヴィースの言葉』において、ドヴェルグのアルヴィースが「トールの娘を嫁にもらう」と言う場面があり、娘の名について言及はないものの、この娘はスルーズのことではないかとされている。 スノッリのエッダの『詩語法』 (4) においてトールが「スルーズの父」(fadir Trudar)というケニングで呼ばれる場面があり、Eysteinn Valdason ブラギ・ボッダソン
主なエピソードヴァルハラで死者たちにエールをふるまう、ワルキューレのヒルドルとスルーズとフレック(英語版)
『古エッダ』
『スノッリのエッダ』
スノッリがトールとフルングニルの戦いについて言及している『詩語法』 (17)では、全く異なる原因について言及されており、スカルド詩人フヴィーンのショーゾールヴル(英語版)の『長き秋』では理由もなく戦う様子が描写されているだけである。
『長き秋』では「巨人スィアチによるイズンの拉致」と「トールとフルングニルの戦い」が『スノッリのエッダ』への引用という形で現存している。スカルド詩の研究者であるマーガレット・クルーニーズ・ロス(英語版)は、いずれの話も巨人が女神を拉致して失敗に終わった挙句殺されるという内容であることから、これらの2つのエピソードは補足的なものではないかとみている[4]。
また、エイリーヴル・ゴズルーナルソン(英語版)のスカルド詩『ソール頌歌』(18)では、トールに対して「スルーズに対して激しい熱望を抱く者」(tramodnir Trudar)というケニングが使われている[4]。
エーランド島のルーン石碑(Karlevi Runestone)詳細は「en:Karlevi Runestone」を参照
スルーズの存在はエーランド島にあるKarlevi Runestoneというルーン石碑の中でも言及されている。10世紀に作られたこの石碑には、リーダー格の人物が「スルーズの木」(tree of Trudr)と呼ばれる箇所が存在する[5]。 前述のルーン石碑をはじめ、スルーズの名はリーダー格の人物や女性に対するケニングとして用いられた。後者の使用例として、Ormr Steintorssonが女性を題材とした詩の中で用いたhrosta ludrs gai-Trudrというケニングがある。研究者のAnthony Faulkesはこのケニングについて「麦芽の箱(あるいは麦芽汁の桶)およびエール瓶を持つ者」であるとみている[6]。
ケニング
関連項目
スルーズヴァンガル - トールの領土
マグニ - トールの息子で、スルーズの兄
脚注.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、スルーズに関連するカテゴリがあります。^ Lindow (2001:291).