スラヴァ級ミサイル巡洋艦
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この記事は最新の出来事2022年ロシアのウクライナ侵攻)に影響を受ける可能性があります。情報は出来事の進行によって急速に変更される可能性があります。(2022年4月)

スラヴァ級ミサイル巡洋艦

基本情報
種別ミサイル巡洋艦
運用者 ソビエト連邦海軍
 ロシア海軍
建造期間1976年 - 1990年
就役期間1982年 - 現在
計画数10隻
建造数4隻
前級1134型(クレスタI型)
次級1144.1型(キーロフ型)
要目
基準排水量9,300 t
満載排水量11,300 t
全長186 m
最大幅20.8 m
吃水8.4 m
機関方式COGAG方式
主機

M70ガスタービンエンジン(10,000 hp (7,500 kW))×2基

M8KFガスタービンエンジン(27,500 hp (20,500 kW))×4基

補助蒸気タービン(8,000 hp (6,000 kW))×2基

推進器スクリュープロペラ×2軸
出力110,000shp
最大速力32ノット
航続距離7,500海里 (18ノット巡航時)
乗員476名
兵装

AK-130 130mm連装速射砲×1基

AK-630M 30mmCIWS×6基

S-300F SAM 8連装VLS×8基

4K33 短SAM連装発射機×2基

P-1000 SSM連装発射機×8基

RBU-6000対潜ロケット砲×2基

533mm 5連装魚雷発射管×2基

搭載機Ka-25/27哨戒ヘリコプター×1機
FCS

3R41 SAM用×1基

4R33 短SAM用×2基

MR-184 主砲用×1基

MR-123 CIWS用×3基

アルゴン SSM誘導用×1基

レーダー
MR-600 3次元式×1基

MR-710 3次元式×1基

MR-212 航海用×1基

ソナー
MG-335 船底装備式×1基

MG-325 可変深度式×1基

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スラヴァ級ミサイル巡洋艦(スラヴァきゅうミサイルじゅんようかん)は、ソ連ロシア連邦ウクライナミサイル巡洋艦[注 1]の艦級。なおこれはネームシップの当初の艦名に由来しており、同艦がソ連崩壊後「モスクワ」に改名された後も踏襲されている。なおスラヴァ(ロシア語: Слава)は栄光という意味である。

西側諸国でもこの艦級名で呼ぶことが多いが、1番艦の名称が判明するまでは北大西洋条約機構 (NATO) では「クラシナ級」のNATOコードネームで呼んでいた。ソ連海軍での正式名は1164型ミサイル巡洋艦(ロシア語: Ракетный крейсер проекта 1164)、計画名は「アトラーント」(: ≪Атлант≫、アトラースの意)であった[1]

それまで対潜戦闘を重視していたソ連海軍にとって58型(キンダ型)および1134型(クレスタI型)以来久しぶりとなる対水上艦戦闘重視のミサイル巡洋艦であり、より大型の1144.1型ミサイル巡洋艦(キーロフ級)とともに、その強力な防空力・打撃力によって、仮想敵の空母機動部隊への対抗兵力の一翼を担うよう構想されていた。その優れた性能から就役した3隻は進水してから30年以上経った現在も活動を続けており、北方艦隊カスピ小艦隊を除くロシア海軍の各艦隊で旗艦を務めていた[1][注 2]。2022年現在、2番艦マーシャル・ウスチーノフは北方艦隊所属、3番艦ヴァリャークは太平洋艦隊旗艦を務めている。1番艦モスクワは黒海艦隊旗艦を務めていたが2022年に沈没、喪失している。
来歴

1971年、海軍総司令官セルゲイ・ゴルシコフ元帥は、当時建造が進められていた1134B型大型対潜艦(カーラ型)をもとに、その主兵装であったURPK-3「メテル」対潜ミサイル・システム(NATO名: SS-N-14)をP-500「バザーリト」艦対艦ミサイル(NATO名: SS-N-12)に転換した打撃巡洋艦の設計を提案した。ゴルシコフ案では船体を排水量にして2,700トン拡大する必要があるなど、いくつかの問題が指摘されたが、その構想そのものは高く評価され、1972年4月20日、ソ連政府直轄の軍事産業管理委員会は、1134B型の近代化ではなく新設計によるミサイル艦の開発を指示した。これによって開発されたのが本級である[2]

これを受けて第53設計局は予備設計作業に着手、10月には海軍より戦術・技術規則が提示された。主任設計官は当初はルブツォフ設計官、戦術・技術規則提示後はペリコフ局長、1979年以後はムフチヒン次長とされた。1973年には原案が政府の承認を受け、1974年8月には技術案が承認された。しかし当時、本級の建造に当たる予定だったムィコラーイウの第445造船所では依然として1134B型(カーラ型)の建造が続いており、また本級に搭載予定であった新装備の開発も遅延していたことから、1番艦の起工は1976年まで延期された[1]
設計

上記の経緯より、本級の設計は多くの面で1134B型(カーラ型)をベースとしている。このため、海軍中央研究所では、時間と経費の節減のため模型試験を省略したが、これがのちに速力に悪影響を及ぼし、32ノットが速力限界となってしまった[3]

主機関は、基本的には1134B型と同じCOGAG構成とされている。ただし艦型が拡大していることから構成機種は大きく異なっており、両舷2軸の推進器に対して、巡航機としてM70ガスタービンエンジン(単機出力10,000 hp (7,500 kW))が各1基、加速機としてM8KFガスタービンエンジン(単機出力27,500 hp (20,500 kW))が各2基、それぞれ接続されていた。また燃費向上のため、巡航機の排熱を再利用して駆動する補助蒸気タービン機関(単機出力8,000 hp (6,000 kW))が搭載され、COGASAGとも称するべきハイブリッド方式となっていることは、本級の主機関の大きな特徴である。これにより航続距離は1134B型と比しても延伸されているが、一方でその複雑さゆえに整備性は低下し、またガスタービンを含む関連機器の多くがウクライナ製であったこともあり、ソビエト連邦の崩壊に伴いウクライナが分離独立したあとは、整備面の問題が特に大きくなっている[3]
装備

当初、軍事産業管理委員会によって規定された主要任務は下記のとおりであった。
遠洋における各種艦隊および対潜掃討群の掩護

仮想敵の空母機動部隊および大型艦の殲滅

センサー

長距離捜索用の3次元レーダーとしては、1134A型(クレスタII型)以来のMR-600「ヴォスホード」(NATO名「トップ・セイル」)[注 3]が踏襲された。一方、副レーダーとしては、従来採用されてきたアンガラー・シリーズに代えて、新型のMR-710「フレガート-M」(NATO名「トップ・プレート」)[注 4]が搭載されており、また3番艦以降ではさらに改良型のMR-750「フレガート-MA」に更新された[6]


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