.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}
「菫」はこの項目へ転送されています。
同じ漢字で表記することもある植物については「トリカブト」をご覧ください。
その他の用法については「すみれ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
スミレ
Viola mandshurica(2006-4-23)
分類(APG III)
スミレ(菫[4])は、スミレ科スミレ属の植物の総称であるが、狭義には、Viola mandshurica という種の和名である。広義のスミレについては「スミレ属」を参照
ここでは種としてのスミレを記す。なお、類似種や近縁種も多く、一般にはそれらを区別せずにスミレと総称していることが多い。それらについても下記を参照されたい。「人間との関わり」「詩歌に詠われたスミレ」「象徴」「日本のスミレ」については、スミレ属を参照されたい。 「スミレ」の名はその花の形状が墨入れ(墨壺)を思わせることによる、という説を牧野富太郎が唱え、牧野の著名さもあって広く一般に流布しているが、定説とは言えない。 学名の種小名 mandshurica は「満州の」という意味である。和名である「スミレ」は、このままだと属名や科名、さらには目名と紛らわしいので、スミレ愛好家は特に本種を指す場合、この名に由来するマンジュリカで呼ぶことがある。 別名、ケナシスミレ[1]、キンモンスミレ[1]、オオバナスミレ[1]、スモウトリバナ[4]ともよばれる。中国植物名は、東北?菜[1]。 北海道から屋久島までの日本列島に広く見られる[5]。国外では朝鮮、中国からウスリーに及ぶ。日当たりのよい土手や野原、道路や山道沿いなどに自生する[4]。平地に普通で、山間部の道ばたから都会まで、都会ではコンクリートのひび割れ等からも顔を出す。 種名としてのスミレ(Viola mandshurica 多年草[4]。草丈は10センチメートル (cm) 前後になる[5]。地下茎は太くて短く、多数の葉を根出状に出す。葉は根際から出て直立し、少し長めの葉柄には翼があり[6]、少しやじり形っぽい先の丸い葉をつける。スミレの仲間には、地上に茎が立ち上がるものと、地上茎がなくて葉がすべて根元から出るものがあるが、本種は後者である[5]。 花期は春[5]。葉よりも高く伸び出た花柄の先に、濃い紫色の花が1個咲く[5]。花は蝶形をした独特の形で、ラッパのような形の花を横向きかやや斜め下向きにつける。5枚の花びらは大きさが同じでなく、下側の1枚が大きいので、花の形は左右対称になる。後方の突起物であるラッパの管に当たる部分は、大きい花弁の奥が隆起したもので距(きょ)といい、その中に花蜜を貯めている[4][5]。花茎は根際から出て、やや立ち上がり、てっぺんで下を向いて花のラッパの管の中程に上側から付く。花には閉鎖花も混じり、虫の助けを借りずに自家受粉して果実をつくる[5]。果実は刮ハで、はじめ下を向いているが熟すと上を向いて3つに裂開して、30 - 50個の褐色の種子が露出する[7]。種子の長さは1.8ミリメートル (mm) ほどの倒卵形で、へそ側が尖り種枕がある[7]。種子の端に、アリが好む脂肪の塊(エライオソーム)をつけていて、種子ごとアリが巣に持ち帰るので生育域を広げることができる[5]。 食べられる野草のひとつとして知られ、若芽、若葉、つぼみ、花を利用する。採取適期は暖地が4 - 5月、寒冷地では5 - 6月ごろとされ、若芽や若葉を葉柄ごと摘み取る[4]。葉は灰汁は少なく、軽く茹でて水にとって冷まし、おひたしや和え物、酢の物、細かく刻んで混ぜご飯にした「スミレ飯」にしたり、生のまま天ぷら、汁の実、サラダにする[4][5]。花の部分はさっと熱湯にくぐらせて酢水で冷まし、酢の物や吸い物の椀ダネ、生のままサラダの彩りや砂糖漬け、寒天寄せ、花酒にする[4]。食味はあくやクセがなく、快い歯触りが楽しめ、花を使うと美しい料理になると評されている[4]。 食用に利用できるのは、本種スミレのほか、タチツボスミレ、オオバキスミレ、スミレサイシン、ノジスミレなどである[4]。
名称
分布
特徴
利用
Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef