スマートシティ
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スマートでサステイナブルなモビリティの実現に向けて

スマートシティ(: smart city)は、2020年代に日本で導入が検討されている都市計画。国の「第5期科学技術基本計画」で示された社会像「Society5.0」の一環として企画立案され[1]、「ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域」と内閣府で定義されている[2]。すなわち、新技術を活かして住みやすい都市をつくることである。
解説

スマートシティは特に、
再生可能エネルギーの供給を安定させるために情報通信技術によって電力の質を管理する(エネルギーの枯渇防止)

二酸化炭素排出量を減らし気候変動を抑制する(地球温暖化抑制)

都市の再編を行うことで地域活性化再生可能エネルギーの導入、都市空間の整備による減災(少子高齢化対策)

の3つの課題解決につながる[3]

一方で、実際に導入するには住民との連携が必要なため、企業の実験段階で止まっていることがほとんどである[4]
スマートシティとは
スマートシティに取り組む上での基本理念、基本原則に基づき

新技術や官民各種のデータを活用した市民一人一人に寄り添ったサービスの提供や、各種分野におけるマネジメントの高度化等により

都市や地域が抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける

持続可能な都市や地域

“都市“での取組ばかりではく、里山里海などを有する地域における豊かな自然と共生した地域づくり(スマートローカル)もスマートシティの仲間である[5]

スマートシティとは、さまざまな種類の電子的手法、音声活性化方法、センサーを使用して特定のデータを収集する、技術的に近代的な都市部のことである。そのデータから得られる情報は、資産資源サービスを効率的に管理するために使用され、その見返りとして、そのデータは都市全体の運用を改善するために使用される。これには、市民デバイス建物資産から収集したデータを処理・分析し、交通・輸送システム、発電所公共事業、給水ネットワーク、廃棄物、犯罪検知[6]、情報システム、学校、図書館、病院、その他のコミュニティサービスを監視・管理することが含まれる[7][8]。ただし、スマートシティは、政府がテクノロジーを活用するだけではなく、都市の監視、分析、計画、統治方法においてもスマートである[9]

スマートシティのコンセプトは、ICT(情報通信技術)と、IoT(モノのインターネットネットワーク[要曖昧さ回避]に接続されたさまざまな物理デバイスを統合し、都市の運営とサービスの効率を最適化し、市民とつながることである[10][11]。スマートシティ技術によって、都市の職員がコミュニティと都市のインフラの両方と直接対話し、都市で何が起こっているか、どのように都市が進化しているかを観察することができる。ICTは、都市サービスの質、性能、双方向性を高め、コストと資源消費を削減し、市民と行政の接触を増やすために使用される[12]。スマートシティアプリケーションは、都市の流れ(往来)を管理し、リアルタイムで対応できるように開発されている[13]。したがって、スマートシティは市民と単純な「取引」関係を持つ都市よりも課題に対応する準備ができているかもしれない[14][15]。しかし、用語自体の詳細が不明で、したがって多くの解釈の可能性が残っている[16]
定義

スマートシティの用語の下で実装されている技術の幅が広いため、スマートシティの正確な定義を抽出することは困難である。ディーキン(Deakin)とアル・Al Waer[17]は、スマートシティの定義に貢献する4つの要素を挙げている。

幅広い電子技術やデジタル技術をコミュニティや都市に適用していること。

ICT(情報通信技術)の活用により、地域内の生活や労働環境が変革されること。

そのような情報通信技術が行政システムに組み込まれていること。

ICTと人々を結びつけ、彼らが提供するイノベーションと知識を強化する実践の領域化。

ディーキンは、ICTを活用して市場(市民)の要求に応える都市をスマートシティと定義し、そのプロセスへのコミュニティの関与がスマートシティには必要であるとしている[18]。 したがって、スマートシティとは、特定の分野においてICT技術を保有するだけでなく、その技術を地域コミュニティにプラスの影響を与える形で実装した都市であるといえるだろう。

別の定義としては、以下のようなものがある:

ビジネス辞書: 経済、移動、環境、人、生活、行政の複数の主要分野に優れ、持続可能な経済発展と高い生活の質を実現する先進的な都市圏。これらの主要分野で優れることは、強力な人的資本、社会資本、および/またはICTインフラを通じて可能となる。[19]

Caragliu and Nijkamp 2009年: 都市は、人的・社会的資本と伝統的(交通)・近代的(ICT)通信インフラへの投資が、参加型行動と関与を通じて、天然資源の賢明な管理とともに、持続可能な経済発展と高い生活の質を促進するとき、「スマート」と定義することができる[20]

ビジネス・イノベーション・技能省、UK 2023年: コンセプトは静的なものではなく、スマートシティの絶対的な定義や終点はなく、むしろ都市がより「住みやすく」、弾力的になり、その結果、新しい課題に迅速に対応できるようになるプロセス、あるいは一連のステップである。[21]

欧州委員会: "スマートシティとは、住民やビジネスの利益のために、従来のネットワークやサービスがデジタルソリューションの利用により効率化された場所である。"

フロスト&サリバン(Frost & Sullivan) 2014年: スマートシティを定義する8つの重要な側面として、スマートガバナンス、スマートエネルギー、スマートビルディング、スマートモビリティ、スマートインフラストラクチャー、スマートテクノロジー、スマートヘルスケア、スマートシチズンを挙げている[22]

ギフィンガー(Giffinger)ら2007年: 地域競争力、交通と情報通信技術の経済性、天然資源、人的・社会的資本、生活の質、都市の統治への市民の参加[23]

インド政府 2015年: スマートシティは、教育、技能、所得水準に関係なく、幅広い層の住民に経済活動や雇用機会の面で持続可能性を提供する[24]

米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers)のスマートシティ: "スマートシティは、テクノロジー、政府、社会をまとめ、次のような特徴を実現する。スマートシティ、スマートエコノミー、スマートモビリティ、スマート環境、スマートピープル、スマートリビング、スマートガバナンス"

スマートシティ協議会: スマートシティとは、すべての都市機能にわたってデジタル技術が組み込まれている[25]ものである[26]

特長

スマートシティ(コミュニティ、ビジネスクラスタ、都市の集合体、地域も含む)は、情報技術を利用して次のようなことを行うことが示唆されている:

人工知能とデータ分析によって物理インフラ(道路、建築環境、その他の物理的資産)をより効率的に利用し、強力で健全な経済、社会、文化の発展を支援する
[27]

オープンイノベーションプロセスと“e-Participation”(電子的参加)の利用により、ローカルガバナンスの関係者と効果的に関わり、市民参加とコ・デザイン(実際の利用者や利害関係者たちとプロジェクトのなかで積極的にかかわりながら行うデザイン)に重点を置いたe-ガバメント(電子政府)によって、都市機関の集合知を向上させる[13]

都市の知性を向上させることで、学習、適応、革新を行い、それによってより効果的かつ迅速に状況の変化に対応する[13][28]

それらは、人間の知能、集合的な知能、そして都市内の人工知能のあらゆる次元を強力に統合する方向へと進化する[29]。都市の知性は「デジタル通信ネットワーク(神経)、至る所に埋め込まれた知性(脳)、センサーとタグ(感覚器官)、ソフトウェア(知識と認知能力)のますます効果的な組み合わせに存在する」[30]とされる。

こうしたスマートシティにおけるインテリジェンスの形態は、3つの方法で実証されている:ブレッチリー・パーク(Bletchley Park)はしばしば世界最初のスマートコミュニティとされている
オーケストレーション[注釈 1]・インテリジェンス:[13] 都市が制度やコミュニティベースの問題解決や共同作業を確立する場所。


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